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第3部 古都アーセンバリ篇
17 これは、違う
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所長、セスト、シシェン、ナナカは、いつもよりかなり遅れて大寺院に帰り着いた。いつもの3倍不機嫌で無愛想な「飛ばし屋」に、所長が「今日は済まなかった、帰りにこれで1杯やってくれ」とポケットマネーからチップを渡して、それでようやく彼の不機嫌も普段並みに戻った。
「すみません。あたしが急にいなくなったりしたから…」
ナナカは所長の肩を叩いて、注意を向けてから言う。
「いやいや、気にする必要はない。ナナカにはいつも助けられている。安いもんさ。ナナカとセスト導師が廃坑の中で診療所の『分室』を開いてくれてから、命に関わる怪我をして運ばれてくるハンターはグッと減った。感謝しているよ」
「そう言ってもらえると、あたしも嬉しいです」
ナナカははにかんだ。その表情を見てつられて微笑んでいるセストの脇腹を、シシェンが肘で小突く。シシェンの顔を見ると、ニヤニヤしながらセストを見ていたので眉間に皺を寄せて睨みつけた。言うまでもなくシシェンは何のダメージも受けない。
「でも不思議。所長さんやシシェンは、他の人よりずっとあたしに気付きやすいみたい」
「私の想像でしかないが」所長が言う。「ナナカは完全均衡の魂の持ち主とはいえ、関係性が近しい者はその影響を受けにくいのだと思う」
「…だからあたしは、両親に見捨てられず、飢え死にすることもなかったんでしょうか」
「おそらくはな。しかし、そのことに無理に感謝する必要はない。親として当然のことをしただけだ。その魂のせいで、辛いこともあっただろう。受けた傷をなかったことにはできないし、傷を癒すこともできないかもしれないが、きみが自分の仕方で恢復することを私はいつも願っているよ」
所長の笑った目尻に皺が刻まれる。ナナカは何も言わず、ただ目を伏せた。
「俺は、事務所に寄りますので」
セストが所長とシシェンに言う。
「そうか。ではここで失礼するよ」
4人はそこで別れた。
「あの、セスト、あたしも一緒に行っていい? 宝玉を壊しちゃったこと、大僧侶様に謝らなきゃ…」
「俺もそのつもりだった。行こう。大僧侶は許してくださるだろうけど、筋は通さないとな」
大寺院の秘宝をただの石ころにしてしまったことを報告するのは気が重かったが、仕方ない。
今度の面会の申し込みもまた、拍子抜けするくらい簡単に認められ、2人は大僧侶の部屋に通された。
2人が無言で待っていると、扉が開いて大僧侶が現れた。
「頑張っているようですね。2人の話は聞いていますよ」
大僧侶はいつものように柔らかい声で言った。
「今日は謝罪に来ました」
立ったまま、セストが単刀直入に切り出した。
「せっかくいただいた宝玉が…」
セストの後を継いで、ナナカがおずおずと言う。ネックレスを外し、ただの石ころになってしまった宝玉を大僧侶に見せた。
「どうぞ、お気になさらずに」大僧侶は微笑みを浮かべたままで言う。「それはあなたに差し上げたものです。同じものが他にないので、新しいものを差し上げることができないのが残念ですが」
「そんな、そんなこと。これをもらえただけで十分でした。憧れてた『普通』になれました。あたしの夢を叶えてくださって、ありがとうございました」
ナナカは目を伏せた。それを見て、大僧侶は微笑んだ。
「それは良かった。しかし、気にかかることがあります」
大僧侶が何に言及しようとしているのか気づいて、ナナカは慌てて言う。
「待って、待ってください、大僧侶様。それは言わないでください。お願いします」
セストは思わず隣に立っているナナカを見た。その表情は何かに怯えているような、泣き出しそうな、そんな顔に見えた。
「あなたがそう言うのなら」
大僧侶は頷いた。
「しかし、いいのですか? あなたはセスト導師に助けを求めることもできるのですよ?」
「それは…」
ナナカは胸の前で手を握り合わせた。
「ナナカ、ひとつ、言っておきましょう。『それ』はあなたの外なる存在です。宝玉の守りがなくなった今、『それ』は再びあなたに手を伸ばしてくる。ひとりで、戦えますか?」
(戦う?)
セストはナナカをもう一度見る。
「これは。これは、あたしの問題です。セスト導師を巻き込みたくありません」
「ナナカ、一体何があるんだ? 俺は、きみを助けたい」
セストはナナカに言う。セストを見上げたナナカの目は、涙をはらんで赤く潤んでいた。
「違うの。違う、これは、違う」
ナナカは必死に首を振る。
「どうしたんだ。何が違うんだ。教えてくれ」
「…だめ。それだけは、だめ」
「…」
ナナカの必死の拒絶にあって、セストはそれ以上追及することができなくなる。
「ナナカ、では、本当にどうしようもなくなったら、セスト導師を呼びなさい。いつでも、どこにいても。わかりますね?」
大僧侶が子どもに言い含めるように、優しく言う。ナナカは俯いて、しかし素直に頷いた。
大僧侶の部屋を出ても、今日はラッジはいなかった。
「ナナカ。いつでも呼んでくれ。本当に」
「うん…。ありがとう」
ナナカは小さな声で言った。そこには明らかに「嘘」があった。
「ナナカ、頼むよ。きみを苦しめてるものは、何なんだ。教えてくれないか」
セストはナナカの肩に手を置いて、俯いてしまった顔を下から覗き込む。
「言えない」
ナナカは歯を食いしばって、何とかそれだけを言った。その唇がわなわなと震えたかと思うと、固く瞑った両目から涙が流れた。
「言えない。あなたには、あなただけには、言えない。違う、これは、違う。違う。違う。ちが…っ」
ナナカは口元を片手で覆って、涙を流しながら首を振る。
「わかった。わかった、済まない。もう訊かないから。済まなかった」
セストはナナカの肩に腕を回す。こんなに近くにいるのに、2人の間には断絶がある。その断絶を飛び越えて、ナナカの隣に行きたいとセストは願う。しかし今は、その方法がわからない。顔を覆って悲しげに、苦しげに泣いているナナカを、ただ見ているしかない。
(俺は馬鹿だ。そして、無力だ)
泣きじゃくるばかりで何も喋らなくなってしまったナナカを女性寮に送り届け、セストは僧侶の寮に割り当てられた自室に戻った。
疲れていた。
廃坑で魔物の攻撃を受けて瀕死の重傷を負ったが、それはナナカが宝玉と引き換えに癒してくれた。これは肉体の疲労ではない。
無力感。
僧侶になったのは、単に人助けがしたかったからだ。治癒法を学んで、救えた命もあった。しかしながら、力が及ばず、目の前で去っていった命もあった。その時にはいつも、無力感に苛まれる。どれほど努力を重ねても、無力感から逃れることはできなかった。
固く目を閉じて、眉根を寄せて涙を流しているナナカの顔が脳裏にちらつく。見えない断絶を飛び越えて、隣に行けたなら。その孤独に触れられたなら。その魂に触れられたなら。
(俺は無力だ)
セストは自分の大きな両手のひらをじっと見つめた。かつては、全てが調和の中にあった。全てのものがわかりあっていた。世界は歓びの歌で満ちていた。それなのに今は、大切な人が苦しんでいる理由もわからない。
(笑った顔が見たい)
「すみません。あたしが急にいなくなったりしたから…」
ナナカは所長の肩を叩いて、注意を向けてから言う。
「いやいや、気にする必要はない。ナナカにはいつも助けられている。安いもんさ。ナナカとセスト導師が廃坑の中で診療所の『分室』を開いてくれてから、命に関わる怪我をして運ばれてくるハンターはグッと減った。感謝しているよ」
「そう言ってもらえると、あたしも嬉しいです」
ナナカははにかんだ。その表情を見てつられて微笑んでいるセストの脇腹を、シシェンが肘で小突く。シシェンの顔を見ると、ニヤニヤしながらセストを見ていたので眉間に皺を寄せて睨みつけた。言うまでもなくシシェンは何のダメージも受けない。
「でも不思議。所長さんやシシェンは、他の人よりずっとあたしに気付きやすいみたい」
「私の想像でしかないが」所長が言う。「ナナカは完全均衡の魂の持ち主とはいえ、関係性が近しい者はその影響を受けにくいのだと思う」
「…だからあたしは、両親に見捨てられず、飢え死にすることもなかったんでしょうか」
「おそらくはな。しかし、そのことに無理に感謝する必要はない。親として当然のことをしただけだ。その魂のせいで、辛いこともあっただろう。受けた傷をなかったことにはできないし、傷を癒すこともできないかもしれないが、きみが自分の仕方で恢復することを私はいつも願っているよ」
所長の笑った目尻に皺が刻まれる。ナナカは何も言わず、ただ目を伏せた。
「俺は、事務所に寄りますので」
セストが所長とシシェンに言う。
「そうか。ではここで失礼するよ」
4人はそこで別れた。
「あの、セスト、あたしも一緒に行っていい? 宝玉を壊しちゃったこと、大僧侶様に謝らなきゃ…」
「俺もそのつもりだった。行こう。大僧侶は許してくださるだろうけど、筋は通さないとな」
大寺院の秘宝をただの石ころにしてしまったことを報告するのは気が重かったが、仕方ない。
今度の面会の申し込みもまた、拍子抜けするくらい簡単に認められ、2人は大僧侶の部屋に通された。
2人が無言で待っていると、扉が開いて大僧侶が現れた。
「頑張っているようですね。2人の話は聞いていますよ」
大僧侶はいつものように柔らかい声で言った。
「今日は謝罪に来ました」
立ったまま、セストが単刀直入に切り出した。
「せっかくいただいた宝玉が…」
セストの後を継いで、ナナカがおずおずと言う。ネックレスを外し、ただの石ころになってしまった宝玉を大僧侶に見せた。
「どうぞ、お気になさらずに」大僧侶は微笑みを浮かべたままで言う。「それはあなたに差し上げたものです。同じものが他にないので、新しいものを差し上げることができないのが残念ですが」
「そんな、そんなこと。これをもらえただけで十分でした。憧れてた『普通』になれました。あたしの夢を叶えてくださって、ありがとうございました」
ナナカは目を伏せた。それを見て、大僧侶は微笑んだ。
「それは良かった。しかし、気にかかることがあります」
大僧侶が何に言及しようとしているのか気づいて、ナナカは慌てて言う。
「待って、待ってください、大僧侶様。それは言わないでください。お願いします」
セストは思わず隣に立っているナナカを見た。その表情は何かに怯えているような、泣き出しそうな、そんな顔に見えた。
「あなたがそう言うのなら」
大僧侶は頷いた。
「しかし、いいのですか? あなたはセスト導師に助けを求めることもできるのですよ?」
「それは…」
ナナカは胸の前で手を握り合わせた。
「ナナカ、ひとつ、言っておきましょう。『それ』はあなたの外なる存在です。宝玉の守りがなくなった今、『それ』は再びあなたに手を伸ばしてくる。ひとりで、戦えますか?」
(戦う?)
セストはナナカをもう一度見る。
「これは。これは、あたしの問題です。セスト導師を巻き込みたくありません」
「ナナカ、一体何があるんだ? 俺は、きみを助けたい」
セストはナナカに言う。セストを見上げたナナカの目は、涙をはらんで赤く潤んでいた。
「違うの。違う、これは、違う」
ナナカは必死に首を振る。
「どうしたんだ。何が違うんだ。教えてくれ」
「…だめ。それだけは、だめ」
「…」
ナナカの必死の拒絶にあって、セストはそれ以上追及することができなくなる。
「ナナカ、では、本当にどうしようもなくなったら、セスト導師を呼びなさい。いつでも、どこにいても。わかりますね?」
大僧侶が子どもに言い含めるように、優しく言う。ナナカは俯いて、しかし素直に頷いた。
大僧侶の部屋を出ても、今日はラッジはいなかった。
「ナナカ。いつでも呼んでくれ。本当に」
「うん…。ありがとう」
ナナカは小さな声で言った。そこには明らかに「嘘」があった。
「ナナカ、頼むよ。きみを苦しめてるものは、何なんだ。教えてくれないか」
セストはナナカの肩に手を置いて、俯いてしまった顔を下から覗き込む。
「言えない」
ナナカは歯を食いしばって、何とかそれだけを言った。その唇がわなわなと震えたかと思うと、固く瞑った両目から涙が流れた。
「言えない。あなたには、あなただけには、言えない。違う、これは、違う。違う。違う。ちが…っ」
ナナカは口元を片手で覆って、涙を流しながら首を振る。
「わかった。わかった、済まない。もう訊かないから。済まなかった」
セストはナナカの肩に腕を回す。こんなに近くにいるのに、2人の間には断絶がある。その断絶を飛び越えて、ナナカの隣に行きたいとセストは願う。しかし今は、その方法がわからない。顔を覆って悲しげに、苦しげに泣いているナナカを、ただ見ているしかない。
(俺は馬鹿だ。そして、無力だ)
泣きじゃくるばかりで何も喋らなくなってしまったナナカを女性寮に送り届け、セストは僧侶の寮に割り当てられた自室に戻った。
疲れていた。
廃坑で魔物の攻撃を受けて瀕死の重傷を負ったが、それはナナカが宝玉と引き換えに癒してくれた。これは肉体の疲労ではない。
無力感。
僧侶になったのは、単に人助けがしたかったからだ。治癒法を学んで、救えた命もあった。しかしながら、力が及ばず、目の前で去っていった命もあった。その時にはいつも、無力感に苛まれる。どれほど努力を重ねても、無力感から逃れることはできなかった。
固く目を閉じて、眉根を寄せて涙を流しているナナカの顔が脳裏にちらつく。見えない断絶を飛び越えて、隣に行けたなら。その孤独に触れられたなら。その魂に触れられたなら。
(俺は無力だ)
セストは自分の大きな両手のひらをじっと見つめた。かつては、全てが調和の中にあった。全てのものがわかりあっていた。世界は歓びの歌で満ちていた。それなのに今は、大切な人が苦しんでいる理由もわからない。
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