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第4部 帝都地下神殿篇
23 魂の持ち物
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リコはしゃくりあげ、目を真っ赤にして泣いていた。
バルクはベッドに腰掛けて壁に身体を預けると、膝の上にリコを座らせた。リコはバルクの背中に腕を回して、胸元に顔を押しつけてくる。バルクは黙って、泣いているリコの頬を撫でた。
「ごめん……バルクが、いてくれるのに……、こんなに、寂しがっちゃ、いけない、のに……」
リコはしゃくりあげながら、どうにか言う。
「いや、いいんだ。僕は確かに血縁者と呼べる人はいないけど、それでも、血のつながった人との別れが特別だってことは知ってるよ。しかも、きみときみのママは一心同体だった。文字どおりね。悲しくて当然だよ」
バルクは親指で、流れ続けるリコの涙を拭った。
〈わたしがいなければ、ママは腐った魂になんか、ならなかったのかな……。そもそも、今でも元気に生きていたのかな……〉
うまく喋れないからか、リコはこれまでの「声」を使った。
「さあ、どうだろう。全ては推測だし、仮定にすぎない。……あったかもしれないことを考えすぎちゃいけない」
バルクはリコを横たえると、腕枕をして抱き寄せた。
「もう少し眠った方がいい。僕がついてるから。安心して」
「……バルクは、どこにも行かないで。ずっと一緒にいて」
リコが腕の中からバルクを見上げる。
「大丈夫。どこにも行かない。約束する」
そう言って前髪にキスすると、リコは安心したように大きく息を吐いて、目を閉じた。
***
すり鉢状に造られた円形の石造りの空間に、低く甘い調べが流れる。すり鉢の底にあたるステージには、ほんのりと光る四弦の楽器が置かれていて、弓がひとりでに動いて音楽を奏でていた。緩やかな傾斜には石段が刻まれていて座席のようになっているが、観客の姿はない。
石の壁を抜けて、光の馬に騎乗した黄金の騎士が現れる。騎士は馬を降りると、音楽を奏でつづける楽器の隣に腰を下ろした。
楽器と馬の光に照らされた座席に、ゆらりと影が現れて人の姿を取る。まだまだ働き盛りに見える、壮年の男性だった。男性はきょろきょろとあたりを見回す。はっきりと人の姿を取っているものの、男性は既にこの世のものではない。
男性はしばらく所在なげにしていたが、諦めたように腰掛けると、目を閉じて心地よい音楽に聴き入った。彼はしばらくそうしていたが、ふと目を開いて立ち上げると、透明になって浮かびあがり、天井を抜けていった。
「いつの時代も、死者が思いを残しているのは同じだ。確かに戦はなくなったが、世の中は複雑になり、人の心の闇は却って増している気すらする……」
土の精霊は男性が消えていったあたりを見たまま、誰にともなく言う。光の馬が頭を下げて、鼻を精霊に寄せる。精霊は鼻面を撫でてやった。
「約束は、本当に果たされようとしているのだろうか。確かにあれは……。しかし、魂の属性が違う。私がここにこうしているせいなのか……。そなたはどう思う」
光の馬に尋ねるが、当然馬は言葉を返さない。
「レイフ……どこにいる。姿を見せてくれ」
***
リコが目を覚ましたのは真夜中だった。隣ではバルクが寝息を立てている。リコはそっとベッドを抜け出した。いつもであればすぐに気がついて目を覚ますバルクだが、今日は戦闘の疲労か、目を覚ます気配はなかった。
皆を起こさないようにそっとシャワーを浴びる。
「よう、リコ。起きたのか?」
水でも飲もうとキッチンに入るとシェフが現れた。
「腹減ってるだろ? ちょっとでもいいから食っとけ。腹が減ってると碌なことがねえぞ。守らなきゃならないもんも守れねえ」
「うん……」
リコは言われるままに食卓についた。夕飯の温め直しだが、と言いながらシェフがシチューを出してくれる。食欲はそれほどなかったが、リコは冷めないうちにせっせと食べた。
ジュイユがその向かいに座る。
「生まれ変わった気分はどうだ」
「……わからない。何かが、足りない感じ」
「しかし、力はむしろ強まっている。腐った魂を押さえつけるのにかなりの力を割いていたのだな」
「……」
リコは両手のひらをじっと見つめた。
「……わからない」
リコの隣に黒い靄が現れ、すぐに形を取る。真っ黒のウエディングドレス。しかしドレスから覗くのは肌ではなく黒い甲冑だった。顔以外は一部の隙もなく鎧で覆われている。兜はなく、代わりに黒いレースで作られたヴェールで顔を覆っている。透けて見えるその面差しは、リコと瓜二つだ。
「あたしがいるじゃない」
闇の精霊はリコの肩に金属のグローブに覆われた手を乗せた。
「そうだね」
リコは闇の精霊の手に自分の手を重ねた。
「ねえ、あの闇の来訪者と戦いに行こうよ。今度こそ封印食らわせてやろ?」
「まあ待て。世の中には準備というものが必要なことがある。生身の人間には休息も必要だ」
ジュイユが呆れたように言う。
「でもジュイユも今すぐ行きたいでしょ?」
「まあな」
ジュイユは口の端を歪めてニヤリと笑った。
「おやおや、相変わらずイカれておいでで」
ヴィラントがジュイユの傍に現れる。
「イカれてるってなによ」
闇の精霊がヴィラントに食ってかかる。
「おお、これは申し訳ございません。つい本当のことを」
「なんなのこの骨。失礼なんだけど。リコ、なんとか言ってよ」
闇の精霊はリコの肩を揺さぶる。リコは手で額を覆った。
「あなた様は」ヴィラントが闇の精霊に言う。「随分精霊らしくなられましたね。この前お目にかかった時は精霊なのに魂を持っておいでで、なんという異形の存在かと思いましたが」
「うっさいな! あんたに言われたくない、この、牛アタマ!」
「はっ!? レイフ様から賜ったこの愛らしさ100点満点中1億点のこの頭蓋骨を貶めることは承服いたしかねますが!?」
「しーっ、みんなが起きちゃう」
リコが唇に人差し指を当てる。
「ほら、あなた様のせいでリコ様に叱られたではございませんか」
「あんたのせいでしょ!」
「だから!」
リコはすぐに声が大きくなる2体を叱りつける。
「ハハッ、お前さんが妙な気を起こすんじゃないかと心配していたが、どうやらその必要はなさそうだな」
ジュイユは枯れ木のような手でリコの頭を撫でた。
「悲しみは消えない。しかし、いずれそれはお前さんの魂の一部になる。その悲しみも、お前さんの持ち物だ。大切にしろ。……お前さんの爺さんが言っていた。ひどく衰弱した臨月のアイナが村にふらりと戻ってきて、今までのことを尋ねる間もなくお産が始まったと。アイナはなんとかお前さんを出産したが、赤ん坊の首には臍の緒が巻きついていて、仮死状態だったそうだ。蘇生をしている間にアイナは大量出血を起こして亡くなり、抱かせてもやれなかった、と爺さんは酷く悔いていた。あの男も不器用な人間だ。そんなこともあって、お前さんにどう接すればいいのか、わからないのだろうよ」
「……おじいちゃんは、単にわたしのことを恨んでるんだと思ってた。だって、わたしがいなければ、きっとママはまだ元気で生きていたはずだから」
リコが目を伏せると、長い睫毛が影を落とす。
「そうだとしてもお前さんに罪はない。これは、爺さんの持ち物だ。他人には代わりに持ってやることも消してやることもできんよ。そしてお前さんもまた、爺さんにされた仕打ちを許す必要もない」
「……どうして今、その話をしてくれたの?」
「さてな」ジュイユは緩く腕を組んだ。「言うべき時がきたと感じた。だから言った。ただそれだけだ」
「教えてくれてありがとう。ずっと知りたかった。『その時』何があったのか」
「お前さんは強くなった。このことを受け止め、自分のものにできるほどにな」
「みんなが、わたしを強くしてくれたの」
「……そうだな」
ジュイユはこれまでの日々を思って目蓋を閉じた。夜の時間は静かに穏やかに進んだ。
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リコはしゃくりあげながら、どうにか言う。
「いや、いいんだ。僕は確かに血縁者と呼べる人はいないけど、それでも、血のつながった人との別れが特別だってことは知ってるよ。しかも、きみときみのママは一心同体だった。文字どおりね。悲しくて当然だよ」
バルクは親指で、流れ続けるリコの涙を拭った。
〈わたしがいなければ、ママは腐った魂になんか、ならなかったのかな……。そもそも、今でも元気に生きていたのかな……〉
うまく喋れないからか、リコはこれまでの「声」を使った。
「さあ、どうだろう。全ては推測だし、仮定にすぎない。……あったかもしれないことを考えすぎちゃいけない」
バルクはリコを横たえると、腕枕をして抱き寄せた。
「もう少し眠った方がいい。僕がついてるから。安心して」
「……バルクは、どこにも行かないで。ずっと一緒にいて」
リコが腕の中からバルクを見上げる。
「大丈夫。どこにも行かない。約束する」
そう言って前髪にキスすると、リコは安心したように大きく息を吐いて、目を閉じた。
***
すり鉢状に造られた円形の石造りの空間に、低く甘い調べが流れる。すり鉢の底にあたるステージには、ほんのりと光る四弦の楽器が置かれていて、弓がひとりでに動いて音楽を奏でていた。緩やかな傾斜には石段が刻まれていて座席のようになっているが、観客の姿はない。
石の壁を抜けて、光の馬に騎乗した黄金の騎士が現れる。騎士は馬を降りると、音楽を奏でつづける楽器の隣に腰を下ろした。
楽器と馬の光に照らされた座席に、ゆらりと影が現れて人の姿を取る。まだまだ働き盛りに見える、壮年の男性だった。男性はきょろきょろとあたりを見回す。はっきりと人の姿を取っているものの、男性は既にこの世のものではない。
男性はしばらく所在なげにしていたが、諦めたように腰掛けると、目を閉じて心地よい音楽に聴き入った。彼はしばらくそうしていたが、ふと目を開いて立ち上げると、透明になって浮かびあがり、天井を抜けていった。
「いつの時代も、死者が思いを残しているのは同じだ。確かに戦はなくなったが、世の中は複雑になり、人の心の闇は却って増している気すらする……」
土の精霊は男性が消えていったあたりを見たまま、誰にともなく言う。光の馬が頭を下げて、鼻を精霊に寄せる。精霊は鼻面を撫でてやった。
「約束は、本当に果たされようとしているのだろうか。確かにあれは……。しかし、魂の属性が違う。私がここにこうしているせいなのか……。そなたはどう思う」
光の馬に尋ねるが、当然馬は言葉を返さない。
「レイフ……どこにいる。姿を見せてくれ」
***
リコが目を覚ましたのは真夜中だった。隣ではバルクが寝息を立てている。リコはそっとベッドを抜け出した。いつもであればすぐに気がついて目を覚ますバルクだが、今日は戦闘の疲労か、目を覚ます気配はなかった。
皆を起こさないようにそっとシャワーを浴びる。
「よう、リコ。起きたのか?」
水でも飲もうとキッチンに入るとシェフが現れた。
「腹減ってるだろ? ちょっとでもいいから食っとけ。腹が減ってると碌なことがねえぞ。守らなきゃならないもんも守れねえ」
「うん……」
リコは言われるままに食卓についた。夕飯の温め直しだが、と言いながらシェフがシチューを出してくれる。食欲はそれほどなかったが、リコは冷めないうちにせっせと食べた。
ジュイユがその向かいに座る。
「生まれ変わった気分はどうだ」
「……わからない。何かが、足りない感じ」
「しかし、力はむしろ強まっている。腐った魂を押さえつけるのにかなりの力を割いていたのだな」
「……」
リコは両手のひらをじっと見つめた。
「……わからない」
リコの隣に黒い靄が現れ、すぐに形を取る。真っ黒のウエディングドレス。しかしドレスから覗くのは肌ではなく黒い甲冑だった。顔以外は一部の隙もなく鎧で覆われている。兜はなく、代わりに黒いレースで作られたヴェールで顔を覆っている。透けて見えるその面差しは、リコと瓜二つだ。
「あたしがいるじゃない」
闇の精霊はリコの肩に金属のグローブに覆われた手を乗せた。
「そうだね」
リコは闇の精霊の手に自分の手を重ねた。
「ねえ、あの闇の来訪者と戦いに行こうよ。今度こそ封印食らわせてやろ?」
「まあ待て。世の中には準備というものが必要なことがある。生身の人間には休息も必要だ」
ジュイユが呆れたように言う。
「でもジュイユも今すぐ行きたいでしょ?」
「まあな」
ジュイユは口の端を歪めてニヤリと笑った。
「おやおや、相変わらずイカれておいでで」
ヴィラントがジュイユの傍に現れる。
「イカれてるってなによ」
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「おお、これは申し訳ございません。つい本当のことを」
「なんなのこの骨。失礼なんだけど。リコ、なんとか言ってよ」
闇の精霊はリコの肩を揺さぶる。リコは手で額を覆った。
「あなた様は」ヴィラントが闇の精霊に言う。「随分精霊らしくなられましたね。この前お目にかかった時は精霊なのに魂を持っておいでで、なんという異形の存在かと思いましたが」
「うっさいな! あんたに言われたくない、この、牛アタマ!」
「はっ!? レイフ様から賜ったこの愛らしさ100点満点中1億点のこの頭蓋骨を貶めることは承服いたしかねますが!?」
「しーっ、みんなが起きちゃう」
リコが唇に人差し指を当てる。
「ほら、あなた様のせいでリコ様に叱られたではございませんか」
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「だから!」
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「ハハッ、お前さんが妙な気を起こすんじゃないかと心配していたが、どうやらその必要はなさそうだな」
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「……どうして今、その話をしてくれたの?」
「さてな」ジュイユは緩く腕を組んだ。「言うべき時がきたと感じた。だから言った。ただそれだけだ」
「教えてくれてありがとう。ずっと知りたかった。『その時』何があったのか」
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