上 下
7 / 11

流れ星、片付けて!

しおりを挟む
 しばらくすると、ゾラの周りに白く輝く星がたくさん現れた。

「せっかく星に手が届くんだ。どうして流れ星を落とさないんだい?」

「そんなことができるの?」

「星を掴んで放り投げるんだ」

 ゾラがためしに一番近くにあった星を思いっきり投げてみると、シャラララッと綺麗な音をたて、ほうき星が夜空を滑っていった。

「好きなだけ投げればいいさ」

「でも、片付けなきゃ。夜空が星で散らかっちゃうよ」

「別にいいよ。どうせまた他の誰かが散らかすんだ」

「だって、大好きな星がどこかに消えたら悲しむ人がいるかもしれない。ちゃんとあるべき場所に戻すべきだよ」

「人生はきりがないことばっかりなのさ」

「ダメだよ、片付けて!」

 すると、ジャスパーがぷくっと頬を膨らませた。

「なんだい、えらそうに。今、片付けようかと思ったのに」

 おや、なんだか今日の自分とそっくりだと、ゾラは噴き出しそうになった。

「じゃあ、なんて言えばよかったの?」

「ゾラはパパとママからどんな風に叱られたら素直になれるんだい?」

「ううん、わからないや」

「ははは、そうだろうな。きっと、パパもママもわかってないんだろうけどな」

 ジャスパーはまるでおじいさんのようにゆっくりうなずいていた。
しおりを挟む

処理中です...