18 / 27
第三部 琥珀色の明日
第2話 カルメンのような人
しおりを挟む
女みたいな顔が嫌だと言った俺に、凛々子さんは「十年後に笑うのはお前だよ」と笑った。
当時は意味がわからなかったけど、今となれば嫌でもわかる。
「ずっと先輩のこと好きでした。付き合ってください」
屋上にいる俺の目の前で、顔を真っ赤にしながら言う大人しそうな女の子。
はっきり言って、初めて目にする顔だ。
うん、嫌いな顔じゃない。可愛いとは思うし、健気な感じもするし、なによりこうして一生懸命伝えようとしてくれるのは嬉しい。このまま付き合っても良さそうだけど......。そう悩んだとき、俺は必ずこう訊くことにしている。
「どうして俺なの?」
彼女は「え」と短く声を漏らす。
「だって、俺と話したこともないでしょ?」
俺の言葉に、彼女は戸惑いながらも、ぶつぶつと呟くように答えた。
「......あの、えっと、先輩は優しいし、素敵だと思って」
残念。それは模範解答であって、俺の望んだ答えじゃない。それじゃあ、俺の心は踊らないんだ。
「気持ちは嬉しいけど、ごめんね。俺には特別な人がいるから」
「......それって、響歌先輩のことですか? 先輩、別れたんじゃないんですか?」
響歌って......。俺はその名に思わずため息をもらした。
「そうだよ。とっくに別れてる。だから、響歌じゃないよ」
「私じゃ駄目なんですか?」
大人しそうな顔して、意外と食い下がるんだな。
「悪いけど、これからその人に会いにいくから。ごめんね」
みるみるうちに女の子の目に涙が溢れ、屋上の出入り口に駆け出して行く。
......参った。振られるほうも辛いと思うんだけど、振るほうもしんどいんだぞ。
俺は女みたいな顔に生んでくれた両親に感謝していいやら、文句を言いたいやら、複雑な気分になった。
「澪、もう終わった?」
女の子と入れ違いに、ニヤニヤした男が歩み寄って来た。一年の炯人だ。琥珀亭のバーテンダーである志帆さんの息子で、俺とは幼なじみだった。
「なんだ、待ってたのか」
「うん。一緒に帰ろうと思って教室に行ったらここだって聞いた」
彼は父親似の浅黒い顔から白い歯を覗かせた。
「で、またあの問答したの?」
炯人が言うのは、俺の『どうして俺なの?』という質問のことだろう。
「なんで、いつもそんなこと訊くんだよ? 今の子、一年の間でも人気あるんだよ。勿体ないなぁ」
「気持ちが動かないのに付き合うなんて、中途半端なことできないよ」
「だからって、あんな質問繰り返すから変なあだ名がつくんだぞ」
「なんて?」
「なぞなぞ王子。もしくはスフィンクス」
なぞなぞ王子というネーミングセンスには眉根をひそめたけど、スフィンクスにはもっとげんなりだ。ギリシャ神話のスフィンクスは旅人をつかまえてはなぞなぞを出し、間違えたら食い殺す怪物だ。オイディプスが正解を答えたとき、海に身を投げて死んだはず。でも......。
「言っておくけど、ギリシャ神話のスフィンクスって女だぞ」
「いいじゃん、お前、女みたいな顔してるし......いてぇ!」
俺は炯人の頭を小突き、歩き出した。
「文句なら文音に言えよ。あいつが名付け親だから」
ぶつくさ言う炯人に、俺はため息を漏らした。凛々子さんのひ孫の文音は、俺の妹みたいな存在だ。本ばかり読んでいるあいつらしいネーミングだよ。
......でも、あながち間違っちゃいない。俺は待ってるんだ。彼女が聞かせてくれた、あの答えを。それが聞けるまで、俺は誰かの恋心を食い殺し続けるんだろう。
だけど、その答えが聞けたとき、きっと俺は恋の海に身を投げるんだ。なんとなくだけど、そう信じていた。
俺と炯人が電車に乗っているときだった。
「おい、澪」
炯人がふと、俺に目配せする。彼の視線を追うと、隣の車両で仲睦まじく会話している男と女の姿が見えた。
その女を見て、俺は思わず目を細める。彼女は琥珀亭の向かいにある古本屋の孫娘で、響歌だ。響く歌と書いてキョウカと読む名前は、凛々子さんも名付けるときに一役かったって聞いた。
一つ年上の彼女は春から大学生になっていた。情熱的な女で、奔放だった。学校とか部活とか、そういう縛りが嫌いなところがあったっけ。そのくせ勉強はできて、今は医学部に通っている。それが、俺が以前付き合っていた彼女だった。
「なんかさ、響歌ねえちゃんって、見るたびに男違うよな」
「......あぁ」
炯人は俺と響歌が付き合っていたことを勿論知っている。まぁ、付き合っていたと言っても、すごく短かったけど。優しいところがある彼は、俺の気持ちを察してか、複雑そうな顔をしていた。
「なんか、大学行ってから綺麗になったなぁ」
「......そうだな」
内心、苦々しい。俺じゃ、あんな風に輝かせられなかったから。同時に、なんだか他人事みたいな気もする。ふと響歌が言っていた言葉を思い出す。
「あなたって醒めた目をしてるの。それがいつでも、私を惨めにさせるのよ」
それが、彼女との最後だったな。勝ち気な響歌は物心ついたときから、俺をリードしていた。一つ年上ってせいもあるけど、どちらかというと自分を主張しない俺をぐいぐい引っ張っていってくれたっけ。
二年生になった夏、俺は響歌に突然キスされた。初めてのキスだった。
「どうして?」
目を丸くした俺に、彼女は笑った。
「したくなったから」
「......どうして俺なの?」
いつもの質問を口にすると、彼女は猫が喉を鳴らすように笑う。
「キスしたいって心には勝てないから」
彼女は半分だけ、俺の待っていた正解を言った。
『心には勝てない』
それが、俺の待っている答えの半分だ。でも、残りの半分はまだ誰も言ってくれたことがなかった。それでも、俺は彼女にキスを返した。半分だけでも嬉しかったんだ。
初めて女の子と付き合った俺は、響歌との日々にのぼせた。大人でもないけど、もう子どもでもなかったから。
彼女の噛み付くようなキスが好きだった。抱き合う響歌が乱れるたびに、俺を満足させた。触れたい気持ちに勝てなかった。
彼女はカルメンの『恋は野の鳥』みたいな女だ。強気で、男を焦らすような魅惑的な唇で俺を誘う。手の中にいると思ったら、遠くにいて、ままならない小鳥。なだめすかしても、骨折り損。
秋が来る頃、彼女は言ったんだ。
「あなたっていつも醒めた目をしてるの。知ってた?」
「そう?」
「そうよ。なんでも見聞きはするけど、夢中になれずに『それがどうしたの』って顔をしてる。私にもね」
「そんなことないだろ」
「いいえ、そうよ。澪は私に恋をしてないわ。だから、私は惨めになるの」
そして、俺たちは別れた。今思えば、彼女の言葉は当たってたんだと思う。遠ざかる背中を追いかける気にもなれなかったから。映画でも観てるみたいに、ただただ黙って彼女の小さくなる姿を見てた。あぁ、あの髪、好きだったな。そんなことをぼんやり考えながら。
あれが初恋だと思ってたけど、彼女は恋じゃないと言った。じゃあ、俺の初恋ってどこにあるんだろう? 好きだと言ってくれる子もいるけど、嬉しいだけだ。舞い上がりはしない。
熱中できない性格は若い頃の親父に似たって言われるけど、今や親父はお袋とお酒に夢中だ。俺が本当にスフィンクスだったら、誰にでもいいから訊きたいよ。
『俺が夢中になれるものって、どこにあるの?』
響歌とこんな話をしていたことがある。
「澪は、琥珀亭を継ぐの?」
「さぁ、どうかな。響歌は古本屋を継ぐの?」
古本屋を経営していた響歌の祖父はとっくに他界し、今では彼女の母親が引き継いでいる。響歌は静かに首を横に振った。
「私は医者になりたいの。死んだおじいちゃんがよく言ってたから。もう少し医学が進歩してれば、お前におばあちゃんの顔を見せてあげられたのにって」
俺は、響歌のこういうところが好きだった。彼女は高校生にしては大人びていた。だけど、たまにこういう純粋な顔をちらつかせる。......今思えば、純粋だからこそ、恋愛にも思いっきり身を焦がすんだろうけど。
「そうか。いいな、夢があって」
「澪は何も見つけようとしていないだけよ」
響歌が肩をすくめた。
「このまま何も考えず琥珀亭のバーテンダーになるつもり?」
俺は何も言えなかった。正直、それでもいいかって気持ちがあった。けど、俺が本当にやりたいことは他にあるんじゃないかって気もしていたから。
「そこにレールがあるからって、ほいほいその上に乗るなんて、つまらないと思わない?」
「でもさ、俺にできることってわかんないし」
「バイオリンは?」
「それで食っていく自信はないよ」
「つまらない人ね」
「はいはい、響歌のパワフルさをちょっとは分けてほしいよ」
考えてみると、その頃から響歌は俺に興味がなくなった気がする。でもさ、だからってどうしようもないじゃないか。迷うものは迷うんだよ。俺にはまだ、お前みたいな火がついてないんだ。ただ、それだけだよ。
当時は意味がわからなかったけど、今となれば嫌でもわかる。
「ずっと先輩のこと好きでした。付き合ってください」
屋上にいる俺の目の前で、顔を真っ赤にしながら言う大人しそうな女の子。
はっきり言って、初めて目にする顔だ。
うん、嫌いな顔じゃない。可愛いとは思うし、健気な感じもするし、なによりこうして一生懸命伝えようとしてくれるのは嬉しい。このまま付き合っても良さそうだけど......。そう悩んだとき、俺は必ずこう訊くことにしている。
「どうして俺なの?」
彼女は「え」と短く声を漏らす。
「だって、俺と話したこともないでしょ?」
俺の言葉に、彼女は戸惑いながらも、ぶつぶつと呟くように答えた。
「......あの、えっと、先輩は優しいし、素敵だと思って」
残念。それは模範解答であって、俺の望んだ答えじゃない。それじゃあ、俺の心は踊らないんだ。
「気持ちは嬉しいけど、ごめんね。俺には特別な人がいるから」
「......それって、響歌先輩のことですか? 先輩、別れたんじゃないんですか?」
響歌って......。俺はその名に思わずため息をもらした。
「そうだよ。とっくに別れてる。だから、響歌じゃないよ」
「私じゃ駄目なんですか?」
大人しそうな顔して、意外と食い下がるんだな。
「悪いけど、これからその人に会いにいくから。ごめんね」
みるみるうちに女の子の目に涙が溢れ、屋上の出入り口に駆け出して行く。
......参った。振られるほうも辛いと思うんだけど、振るほうもしんどいんだぞ。
俺は女みたいな顔に生んでくれた両親に感謝していいやら、文句を言いたいやら、複雑な気分になった。
「澪、もう終わった?」
女の子と入れ違いに、ニヤニヤした男が歩み寄って来た。一年の炯人だ。琥珀亭のバーテンダーである志帆さんの息子で、俺とは幼なじみだった。
「なんだ、待ってたのか」
「うん。一緒に帰ろうと思って教室に行ったらここだって聞いた」
彼は父親似の浅黒い顔から白い歯を覗かせた。
「で、またあの問答したの?」
炯人が言うのは、俺の『どうして俺なの?』という質問のことだろう。
「なんで、いつもそんなこと訊くんだよ? 今の子、一年の間でも人気あるんだよ。勿体ないなぁ」
「気持ちが動かないのに付き合うなんて、中途半端なことできないよ」
「だからって、あんな質問繰り返すから変なあだ名がつくんだぞ」
「なんて?」
「なぞなぞ王子。もしくはスフィンクス」
なぞなぞ王子というネーミングセンスには眉根をひそめたけど、スフィンクスにはもっとげんなりだ。ギリシャ神話のスフィンクスは旅人をつかまえてはなぞなぞを出し、間違えたら食い殺す怪物だ。オイディプスが正解を答えたとき、海に身を投げて死んだはず。でも......。
「言っておくけど、ギリシャ神話のスフィンクスって女だぞ」
「いいじゃん、お前、女みたいな顔してるし......いてぇ!」
俺は炯人の頭を小突き、歩き出した。
「文句なら文音に言えよ。あいつが名付け親だから」
ぶつくさ言う炯人に、俺はため息を漏らした。凛々子さんのひ孫の文音は、俺の妹みたいな存在だ。本ばかり読んでいるあいつらしいネーミングだよ。
......でも、あながち間違っちゃいない。俺は待ってるんだ。彼女が聞かせてくれた、あの答えを。それが聞けるまで、俺は誰かの恋心を食い殺し続けるんだろう。
だけど、その答えが聞けたとき、きっと俺は恋の海に身を投げるんだ。なんとなくだけど、そう信じていた。
俺と炯人が電車に乗っているときだった。
「おい、澪」
炯人がふと、俺に目配せする。彼の視線を追うと、隣の車両で仲睦まじく会話している男と女の姿が見えた。
その女を見て、俺は思わず目を細める。彼女は琥珀亭の向かいにある古本屋の孫娘で、響歌だ。響く歌と書いてキョウカと読む名前は、凛々子さんも名付けるときに一役かったって聞いた。
一つ年上の彼女は春から大学生になっていた。情熱的な女で、奔放だった。学校とか部活とか、そういう縛りが嫌いなところがあったっけ。そのくせ勉強はできて、今は医学部に通っている。それが、俺が以前付き合っていた彼女だった。
「なんかさ、響歌ねえちゃんって、見るたびに男違うよな」
「......あぁ」
炯人は俺と響歌が付き合っていたことを勿論知っている。まぁ、付き合っていたと言っても、すごく短かったけど。優しいところがある彼は、俺の気持ちを察してか、複雑そうな顔をしていた。
「なんか、大学行ってから綺麗になったなぁ」
「......そうだな」
内心、苦々しい。俺じゃ、あんな風に輝かせられなかったから。同時に、なんだか他人事みたいな気もする。ふと響歌が言っていた言葉を思い出す。
「あなたって醒めた目をしてるの。それがいつでも、私を惨めにさせるのよ」
それが、彼女との最後だったな。勝ち気な響歌は物心ついたときから、俺をリードしていた。一つ年上ってせいもあるけど、どちらかというと自分を主張しない俺をぐいぐい引っ張っていってくれたっけ。
二年生になった夏、俺は響歌に突然キスされた。初めてのキスだった。
「どうして?」
目を丸くした俺に、彼女は笑った。
「したくなったから」
「......どうして俺なの?」
いつもの質問を口にすると、彼女は猫が喉を鳴らすように笑う。
「キスしたいって心には勝てないから」
彼女は半分だけ、俺の待っていた正解を言った。
『心には勝てない』
それが、俺の待っている答えの半分だ。でも、残りの半分はまだ誰も言ってくれたことがなかった。それでも、俺は彼女にキスを返した。半分だけでも嬉しかったんだ。
初めて女の子と付き合った俺は、響歌との日々にのぼせた。大人でもないけど、もう子どもでもなかったから。
彼女の噛み付くようなキスが好きだった。抱き合う響歌が乱れるたびに、俺を満足させた。触れたい気持ちに勝てなかった。
彼女はカルメンの『恋は野の鳥』みたいな女だ。強気で、男を焦らすような魅惑的な唇で俺を誘う。手の中にいると思ったら、遠くにいて、ままならない小鳥。なだめすかしても、骨折り損。
秋が来る頃、彼女は言ったんだ。
「あなたっていつも醒めた目をしてるの。知ってた?」
「そう?」
「そうよ。なんでも見聞きはするけど、夢中になれずに『それがどうしたの』って顔をしてる。私にもね」
「そんなことないだろ」
「いいえ、そうよ。澪は私に恋をしてないわ。だから、私は惨めになるの」
そして、俺たちは別れた。今思えば、彼女の言葉は当たってたんだと思う。遠ざかる背中を追いかける気にもなれなかったから。映画でも観てるみたいに、ただただ黙って彼女の小さくなる姿を見てた。あぁ、あの髪、好きだったな。そんなことをぼんやり考えながら。
あれが初恋だと思ってたけど、彼女は恋じゃないと言った。じゃあ、俺の初恋ってどこにあるんだろう? 好きだと言ってくれる子もいるけど、嬉しいだけだ。舞い上がりはしない。
熱中できない性格は若い頃の親父に似たって言われるけど、今や親父はお袋とお酒に夢中だ。俺が本当にスフィンクスだったら、誰にでもいいから訊きたいよ。
『俺が夢中になれるものって、どこにあるの?』
響歌とこんな話をしていたことがある。
「澪は、琥珀亭を継ぐの?」
「さぁ、どうかな。響歌は古本屋を継ぐの?」
古本屋を経営していた響歌の祖父はとっくに他界し、今では彼女の母親が引き継いでいる。響歌は静かに首を横に振った。
「私は医者になりたいの。死んだおじいちゃんがよく言ってたから。もう少し医学が進歩してれば、お前におばあちゃんの顔を見せてあげられたのにって」
俺は、響歌のこういうところが好きだった。彼女は高校生にしては大人びていた。だけど、たまにこういう純粋な顔をちらつかせる。......今思えば、純粋だからこそ、恋愛にも思いっきり身を焦がすんだろうけど。
「そうか。いいな、夢があって」
「澪は何も見つけようとしていないだけよ」
響歌が肩をすくめた。
「このまま何も考えず琥珀亭のバーテンダーになるつもり?」
俺は何も言えなかった。正直、それでもいいかって気持ちがあった。けど、俺が本当にやりたいことは他にあるんじゃないかって気もしていたから。
「そこにレールがあるからって、ほいほいその上に乗るなんて、つまらないと思わない?」
「でもさ、俺にできることってわかんないし」
「バイオリンは?」
「それで食っていく自信はないよ」
「つまらない人ね」
「はいはい、響歌のパワフルさをちょっとは分けてほしいよ」
考えてみると、その頃から響歌は俺に興味がなくなった気がする。でもさ、だからってどうしようもないじゃないか。迷うものは迷うんだよ。俺にはまだ、お前みたいな火がついてないんだ。ただ、それだけだよ。
0
あなたにおすすめの小説
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる