愛でられ囲われ堕ちるのか

ほたる

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17.

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ギルドに入り2階の応接室へ向かう。
まだ誰も来ていないようだ、とりあえず立って待っていたらいいのだろうか。
部屋の隅で壁に背を向け待ち続ける。

到着予定より20分早く入室したエルは、チームメイトとなる冒険者達は一体どんな人達なのか気になっていた。
しばらくして騒がしい声と人の足音が聞こえ、部屋のドアが開けられる。


「おい早く歩けって」


「でさー、あの後限界までエールを飲み続けたってわけよ。
いやー負けたくねぇー!ってなっちまうぉお!?」


「うっせぇな、人の話を聞けよ」


「も~急になに~?」


「あ、すまんっ!えっと…誰??」


話しに夢中だった3人がどうやら俺に気がついたみたいだ。


「…あ?ガキがなんでここにいんだよ」


「ーあ!

あなた、もしかしてチームに参加してくれる子かな~?」
    

「俺はエーテル、職業は剣士。
今日から2日間よろしく頼む」


軽く自己紹介をすればそれぞれ違った反応が返ってくる。


「オレはカイト!職業は野伏レンジャー、罠や射撃も専売特許なんでよろしくな!!」


赤い髪を跳ねさせて前へ身をのりだして挨拶をされる。


「私はレウォーナ、レナって呼んでね。職業は治療師ヒーラーよ、怪我したら治してあげる~。あと薬草とかにも詳しいから聞いてね」


薄いピンク色のローブを纏った小柄の女性が笑顔で自己紹介をする。


「…テトだ、職業は守護者ガーディアン、足引っ張るなよ」


「あはは…、あいつはほっとこうぜ」


「そ、そうね~!自己紹介も出来たし早いとこ行っちゃおう~~」


ソロとしての活動が長い俺を見て不機嫌になるのはごもっともだ。
足手まといになるつもりはないが実践で答えるしかないだろう。

気まずい空気が流れる中、一行は目的地へと歩き出したのだった。


今回のクエストはガルシア獣国へ向かう途中にあるディガエーの尾という溪谷だ、この一帯に砂鼠ガラッタが大量発生したらしく緊急クエストとして討伐しに行くことになった。
砂鼠ガラッタは独自のコロニーを生成し集団で岩場に生息する魔物で、群れからはぐれた個体はわずが数日で死んでしまうらしい。
臆病な性格で人間を襲うことはないがこのまま放置しておくと崖崩れが発生しやすくなり、自由に行き来出来なくなってしまう。


「目星はつけてあるからそこら辺はオレに任せてくれよな!」


砂鼠ガラッタちゃんには悪いけどお肉が美味しいのよね~!今回のクエスト、当たりかもっ!!」


「しかも皮も売れるし使えるしで一石二鳥だよな!
な、テトもそう思うだろ??」


「てめぇは勝手に俺の肉食いやがっただろーが、取り分少しよこせ」


「一口だけじゃーん、ケチ」


「毎度一口がでかすぎんだっつーの、ふざけんな」


「二人ともみっともないわ~…恥ずかしいからやめて。
…ねね、エーテル君は何歳なの??」


間に挟まれていたレウォーナはため息を吐き2人を止めようとエーテルに話しかけた。


「それオレも気になる!
14?もっと下?教えろよ~」


いきなり話を振られ不覚にも驚く。
2人の熱い視線が向けられ、俺は若干引き気味に答える。


「…17、だ」


「「え」」


「なんだよ、ガキじゃねぇんだったらちゃんと言え」


「募集の欄に年齢と名前を書いて提出したはずだ」


「17なの!?私と2つしか変わらないじゃない!」


そういうが否やテトは紙を引っ張りだし、名前が載っている欄を凝視する。少し間を空けて再びエーテルに話しかけた。


「おい、…エーテルだっけか?
ガキとか言って悪かったな」


「別に気にしてない」


「…そうか」


再び気まずい空気が流れ始めた所でエーテルの前に2匹の一角獣兎ホーンラビットが飛び出してきた。

(あ、あの角)

前から欲しかったと思っていたから嬉しい。
俺はなるべく一角獣兎ホーンラビットを傷つけない様、氷を付与した剣で正確に2匹の角だけを切り落とす。驚いた一角獣兎ホーンラビットらは慌てて草むらに隠れどこかへ消えていった。


「お前…魔法が使えんのか?」


落ちた角を拾い鞄へ入れ込むと、テトが驚いた顔で見ていた。


「すっっげぇえ!
え、エーテル属性持ちだったん?!」


「凄いのか?」


「凄いことよ~!属性持ちって相性が悪いと付与できないし、魔力がすぐ底をついちゃってなかなか魔法が使えないんだよね」


「やるじゃねーかお前。
その剣技はかなりの腕前だろ」


「俺も魔法使えたらなー…!
待って、今テト誉めてたよな?あのテトが初対面のやつを誉めた!?」


「うっせぇな口閉じろ」


「あ、照れてるー笑」


「こいつうぜーわ、まじ」


「ちょっと2人とも!!エーテルちゃんも止めてぇ!」


「……お、落ち着こう?」


「あはははははっっなんで疑問なんだよっ、あははっ!!」





いつの間にか気まずい雰囲気が消え、少しだけお互いの距離が縮まっていく一行であった。
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