愛でられ囲われ堕ちるのか

ほたる

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どこだ、どこかにいるはず…!
骨の化け物をかき分け必死に探す。


「いた!!!

エーテルの正面2時方向15メートル先だ!
骨が他のヤツより黒ずんで見えてんぜ!」


即座にカイトが背中に備えていた矢を放ち、目印を立てた。
それに向かってエーテルは紆余曲折して標的の位置まで距離を詰める。


『大地に宿る恵みの水よ、その姿を変え我が前に示せ!ー氷結!!』


小型剣を地面に突き刺し、巧みに逃げ隠れする敵の足元を凍らせ一気に前進する。退路を失った主犯格は、エーテルに向かって手持ちの棍棒をでたらめに振り回してきた。
不規則な動きを見極め、わざと隙を作り誘い込む。そうとは知らずに振り下ろされた棍棒は見事に空を切り、軽やかに棍棒の上を陣取った。

(あれは魔石…!)

禍々しい色の石が額にあるのを発見した。
同時にそれが骨格を動かしている正体だと気づき、素早く剣を構え叩き壊す。


「壊れろ!!」


粉々に石が砕け、呻き声と一緒に音を立てて地面へ崩れ落ちた。
すると群れを成していた骨の化け物達も、砂となって消滅していく。


「お疲れさん、よくやったな」


「やっったぁ~~っ!!」


「ナイス!!見事だったぜ!」


長かった戦闘がようやく終わり、一同は安堵の表情を浮かべお互いを労う。

しかし、まだ終わっていなかった。
主犯格であった化け物が最後の力を振り絞り、腕のみを歪に再生させてエーテルへ鋭く尖った骨を投げつけたのだ。
それからは力尽きたのか、維持できなくなった骨は脆く崩れ消えていった。


「避けろエーテル!!」


テトの叫ぶ声が聞こえる。
だが、すぐに反応出来なかった。石を壊して終わったと油断してしまいその場で立ち尽くしてしまう。
こちらにめがけて飛んでくる骨は目前にまで迫り、咄嗟に両手で被い身構える。
カイトが俺に駆け寄って来る姿が視界の端に見えた。


ーピィイイイイイッ!!


突然響き渡る鳴き声。
風圧が前から感じて顔を上げた。

(鳥…?)

黒い小さな鳥が目の前を横切って骨に突進したのだ。骨は乾いた音を立てて地面に転がる。


「俺を助けてくれたのか…?」


くるくると飛び俺の肩にとまった。
物怖じしないところを見ると人に慣れているように思える。


「エーテルちゃん大丈夫!?
怪我してない?痛いところは?」


「大丈夫だ、この鳥が助けてくれた」


肩にとまっていた小鳥を見せる。
つぶらな瞳で小首をかしげた。


「あまり見かけない子ね…、どこから来たのかしら?」


「俺も見たことないなー…。
でもさ、エーテルを助けたってことはどこかで会ったんじゃね?
なんつーか、めちゃめちゃ懐いてるし?お似合いじゃん」


「確かに~、エーテルちゃんの髪色そっくりだもんね!
これも何かの縁かもよ?パートナーになったら??」


…パートナーか。
初めて会ったと思うが、妙に親近感が湧く…。


「俺でいいのか?」


ひと鳴きして俺の頭の上でくつろぐ。


「お前がいいってよ、良かったじゃねえか。
お前らガキで危なっかしいから似た者同士仲良くしろよ」


「ガキは余計だ」


「減るもんじゃねえし別に気にしてねぇって言ってただろ…いてぇ!
こいつっ!一丁前につつきやがった!」


「ぶはっっ、だせぇええ!

ーちょっタンマタンマ笑っただけじゃん!?」


「てめぇは〆る」


「も~~~このくだり何度目よ!!いい加減にしなさいよ!?

エーテルちゃんっ、あの二人に吹雪をお見舞いしちゃって!!」


『数多ある尊き自然の源よ、ここに一つとなりて我が前にいでーー』


「冗談に聞こえないんだけどな!?」
「ふざけんな止まれ!!」


こうして黒い小鳥が新たなパートナーに加わり旅がつづくのであった。
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