時間

のどあめ

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「1日が24時間って、足りないよなぁ。」
神社の石台に腰掛けながら男はふと呟く
竹箒で落ち葉を掃きながらその男の友人で神社の神主をしているAはふと手を止め、そうかなぁと言った
「まずそもそも大前提の話をすると、1日、や、24時間、という概念があるから短く感じるんじゃないか。」
「君は相変わらずひねくれているなぁ」
続けてくれと苦笑しながら男が言うとAはハハハと笑いながら口を開く
「君は産まれてから何年たったかは分かるだろう、しかし、その時間という概念を使って話を進めると何時間何分何秒たったかまでは正直どうだって良いだろう?」
「ほう」
Aは思い出したように掃き掃除を始めると同時に言葉を続ける
「君はその1日という概念にとらわれすぎだよ。」
「その1日で劇的に目に見えて変わることなんて髭が伸びることくらいだろう、もっと長いスパンで自分自身を客観的に見て判断しなくちゃあその1日1日とやらが忙しすぎるよ」
僕にはそんなの耐えられないねと言いながらAはまたハハハと笑っていた
「それじゃ、掃除も終わったし他愛ない会話はお終いだ、また会おう」
そう言われて気づいた頃には神社に広がる落ち葉は綺麗に片付いていた。
最後にひとつ、と去り際にAは流し目に振り返りながら言葉を付け加えた
「今この僕との会話で時間を意識したかい?しなかっただろう、所詮そんなもんだよ、時間なんていう概念なんてあまり意味を持たないよ」
そう言ってAは去った
相変わらずよく分からない奴だなぁと誰もいない境内で男は呟き去った。

そんな男とAは、630720000秒。20年の付き合いになる。
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