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桜の昔語り2
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思った通り、梅子はその日のうちに行動を起こした。
如月菫太郎が私を送った帰り道、偶然を装って出会い、そして家に連れ込んだ。
なぜ、私がそんな事を知っていいるのか、それは普段から探偵を雇って梅子の行動を調べさせていたから。
探偵は以前父が雇ったあのだった。私の不可解な行動に興味を持ち周りを調べ……梅子が化け物になったことまで突き止めていた。
それを彼が告げてきた時、ゆすられるのかと思ったが
「出来れば、あんたの力になりたいんだ……その、初対面の時に一目ぼれしてだな……」
照れながらそう告白される。
戸惑ったけれど、彼の人柄に引かれ、男女の関係になるのに左程時間はかからなかった。その探偵は友岡……後に私の夫になる人だ。
話を戻しましょう。
彼は私の為にと梅子を見張ってくれていた。あの日も梅子は自宅には帰らずに菫太郎が一人になるのを待っていたらしい。そして、あの子を見張っていた友岡に声をかけてきた。
友岡は初めは戸惑ったが、正体を隠すために女を買いに来た男を演じたらしい。
そして茶番劇を経て、二人が別宅に入り事に及んだ所まで見届けると、私に報告に来てくれた。
「君の話だと、あの婚約者さんは妹さんに食われちまうんだろう」
「ええ。けど如月のおじ様も手を焼いていたみたいだし、優秀な甥子さんがいるから如月家自体にはご迷惑は掛からないと思う」
「けど、君の家には迷惑になるのでは?」
「いいのよ。だって没落してくれないと、堂々とあなたと結婚できないもの」
「君は怖い人だなあ……それに協力している俺も同罪だけどね」
そうウインクしながら言う彼に苦笑いしてしまう。
「それにしてもあの妹さんの匂いは恐ろしいもんだな」
友岡が思い出した様に呟いた。
「ああ、あの梅の花みたいな香りの事かしら」
「少しくらっとしてしまったよ、君はよく平気でいられるな」
「私は……生まれつき鼻の効きが悪いからかしらね、全然効かないのよ」
「そうなのか」
「そろそろ行きましょうか」
そして私は彼と共に別宅に向かう。彼に家の中の様子を伺ってもらうが、梅子も菫太郎もリビングには居ない様だった。
餌を食らった後の梅子の行動はいつも同じ、あの温室に行って犠牲者に実を植え付け花にする。
温室の中を伺うと会話が聴こえてくる。どうやら菫太郎はミイラ状態になってもまだ生きていた様だった。梅子は否応なしその口にあの実を食わせて彼を植物にしてしまう。
なんど見てもおぞましい。ひどい光景だった。
菫太郎を花に変え満足そうに笑う梅子。その指にあの実がなっている事に気が付く。
今しかない、そう判断した私は友岡に
「全てを終わらせて来るわ」
と告げ温室の中に入ると梅子に声をかけた。
「梅子……」
私の姿を見た梅子は慌てて駆け寄ってくると何か言い訳を言おうとした、容赦なくその頬を叩き彼女がした事が阿賀家にどれだけ不利な事かを言って聞かせると、梅子は愕然とした顔で「お姉様の為にした事だった」と言って許しを請い号泣している。
「ああ……梅子……」
慰めるふりをして抱きしめ、指先に実がなっている事を再確認する。
その時、梅子は何を勘違いしたのか
「お姉様、一緒に逃げましょう。全て捨てて二人で」
と言い出した。これは利用できると私の心が歓喜に満ちる。
「そうね……逃げましょうか……」
「お姉様」
「けれど、二人同時に居なくなるのはまずいわ……」
「そんな、どうすればいいの?」
思案するふりをしながら梅子の指先を見つめる。梅子もその視線に気が付き指先に生っている実を見た。
「梅子、あなたの指先になる実の事を先生に伺ったんだけどね。あれをあなたが口にすると梅の木の姿になるらしいの」
感情を悟られない様に、慎重に。
「ええ、植物人の特徴の一つらしいわ……だからね、あなた梅の木になりなさい」
嘘をつき、残酷な提案をする。
「そんなに不安そうな顔をしないで、私に考えがあるの」
そして、彼女が絶対に私に逆らわないのを利用して、卑怯な言葉で心を束縛する。
「大丈夫、必ず上手くやるわ。それとも私の事は信じられない?」
その言葉にふるふると首を振った梅子は。
「梅子はお姉様の事を信じています」
そう言う梅子を優しく抱きしめる。
勝った……! 私はそう確信した。
如月菫太郎が私を送った帰り道、偶然を装って出会い、そして家に連れ込んだ。
なぜ、私がそんな事を知っていいるのか、それは普段から探偵を雇って梅子の行動を調べさせていたから。
探偵は以前父が雇ったあのだった。私の不可解な行動に興味を持ち周りを調べ……梅子が化け物になったことまで突き止めていた。
それを彼が告げてきた時、ゆすられるのかと思ったが
「出来れば、あんたの力になりたいんだ……その、初対面の時に一目ぼれしてだな……」
照れながらそう告白される。
戸惑ったけれど、彼の人柄に引かれ、男女の関係になるのに左程時間はかからなかった。その探偵は友岡……後に私の夫になる人だ。
話を戻しましょう。
彼は私の為にと梅子を見張ってくれていた。あの日も梅子は自宅には帰らずに菫太郎が一人になるのを待っていたらしい。そして、あの子を見張っていた友岡に声をかけてきた。
友岡は初めは戸惑ったが、正体を隠すために女を買いに来た男を演じたらしい。
そして茶番劇を経て、二人が別宅に入り事に及んだ所まで見届けると、私に報告に来てくれた。
「君の話だと、あの婚約者さんは妹さんに食われちまうんだろう」
「ええ。けど如月のおじ様も手を焼いていたみたいだし、優秀な甥子さんがいるから如月家自体にはご迷惑は掛からないと思う」
「けど、君の家には迷惑になるのでは?」
「いいのよ。だって没落してくれないと、堂々とあなたと結婚できないもの」
「君は怖い人だなあ……それに協力している俺も同罪だけどね」
そうウインクしながら言う彼に苦笑いしてしまう。
「それにしてもあの妹さんの匂いは恐ろしいもんだな」
友岡が思い出した様に呟いた。
「ああ、あの梅の花みたいな香りの事かしら」
「少しくらっとしてしまったよ、君はよく平気でいられるな」
「私は……生まれつき鼻の効きが悪いからかしらね、全然効かないのよ」
「そうなのか」
「そろそろ行きましょうか」
そして私は彼と共に別宅に向かう。彼に家の中の様子を伺ってもらうが、梅子も菫太郎もリビングには居ない様だった。
餌を食らった後の梅子の行動はいつも同じ、あの温室に行って犠牲者に実を植え付け花にする。
温室の中を伺うと会話が聴こえてくる。どうやら菫太郎はミイラ状態になってもまだ生きていた様だった。梅子は否応なしその口にあの実を食わせて彼を植物にしてしまう。
なんど見てもおぞましい。ひどい光景だった。
菫太郎を花に変え満足そうに笑う梅子。その指にあの実がなっている事に気が付く。
今しかない、そう判断した私は友岡に
「全てを終わらせて来るわ」
と告げ温室の中に入ると梅子に声をかけた。
「梅子……」
私の姿を見た梅子は慌てて駆け寄ってくると何か言い訳を言おうとした、容赦なくその頬を叩き彼女がした事が阿賀家にどれだけ不利な事かを言って聞かせると、梅子は愕然とした顔で「お姉様の為にした事だった」と言って許しを請い号泣している。
「ああ……梅子……」
慰めるふりをして抱きしめ、指先に実がなっている事を再確認する。
その時、梅子は何を勘違いしたのか
「お姉様、一緒に逃げましょう。全て捨てて二人で」
と言い出した。これは利用できると私の心が歓喜に満ちる。
「そうね……逃げましょうか……」
「お姉様」
「けれど、二人同時に居なくなるのはまずいわ……」
「そんな、どうすればいいの?」
思案するふりをしながら梅子の指先を見つめる。梅子もその視線に気が付き指先に生っている実を見た。
「梅子、あなたの指先になる実の事を先生に伺ったんだけどね。あれをあなたが口にすると梅の木の姿になるらしいの」
感情を悟られない様に、慎重に。
「ええ、植物人の特徴の一つらしいわ……だからね、あなた梅の木になりなさい」
嘘をつき、残酷な提案をする。
「そんなに不安そうな顔をしないで、私に考えがあるの」
そして、彼女が絶対に私に逆らわないのを利用して、卑怯な言葉で心を束縛する。
「大丈夫、必ず上手くやるわ。それとも私の事は信じられない?」
その言葉にふるふると首を振った梅子は。
「梅子はお姉様の事を信じています」
そう言う梅子を優しく抱きしめる。
勝った……! 私はそう確信した。
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