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11 sideリナ
同僚のエレインの結婚が慌ただしく決まり、わたしの仕事がここにきてどっと増えた。
エレインって真面目だし仕事できるし性格いいしで本当に女神のような存在だったんだけど……居なくなるなんてこの皇后宮においては災害級の損失だ。
「リナ、何ブスくれているの?」
「わたしは元からこういう顔なんですぅ」
書類の山を項目ごとに仕分けていると、皇后が揶揄うように扇子でわたしの頬を撫でた。
「あらあら、こんな愛想の悪いおブスはウチには要らないんだけど」
「じゃあさっさと首にしてくださいよー」
「まあそのうちね」
ふふっと笑う皇后は大層ご機嫌だ。
まあそれもそのはず。
なにせ皇后の企み通りアルセン・アンドレ公爵とエレインがくっついてくれたんだから。
わたしは皇后の元で育てられた孤児で、ここに居る誰よりも皇后との付き合いが長い。
知るものは限られているけれど、わたしは皇后の最側近且つ懐刀だ。
ハニトラから暗殺までなんでもござれ。
これまでもあまり人にはいえないような任務を数えきれないほどこなしてきた。
エレインはそんな皇后の裏の顔は知らないままなはずだ。
でも、それでいい。
皇后はいくつもの顔を完璧に使い分けている。
エレインのような根っからの善人は光の元を歩む姿が相応しい。
そんな彼女に「アンドレ公爵を籠絡しろ」なんて命じた時は最初驚いた。
でも、すぐに皇后の真の思惑にわたしは気づいた。
こちらへ引き入れたい有力な貴族に皇后の息のかかった腹心をあてがい、この帝国での皇后の地位を磐石なものにする――なるほど、上手くいけば多方面にハッピーな企みではないか。
で、成功率を上げるために皇后は事前にターゲットに接触し、好みを把握するのだ。
それでアンドレ公爵がどうやらエレインを密かに思っているらしいことに気付いたようだ。
実際上手くいったところを見るに、皇后は中々仲人の素質がある。
これからも腹心を使ってどんどんこの計画を進めるつもりのようだけれど、わたしは結婚なんて向いてないし一人の男に縛られるなんて真っ平ごめんだ。
まあ、幸い皇后も私をそっちの要員に組み入れる気はないようだけれど。
さて、次はどこの子が選ばれことやら……穴埋めをするこっちの身にもなってほしいと内心悪態つきながら、今日もわたしはエレインから引き継いだ業務に忙殺されるのだった。
エレインって真面目だし仕事できるし性格いいしで本当に女神のような存在だったんだけど……居なくなるなんてこの皇后宮においては災害級の損失だ。
「リナ、何ブスくれているの?」
「わたしは元からこういう顔なんですぅ」
書類の山を項目ごとに仕分けていると、皇后が揶揄うように扇子でわたしの頬を撫でた。
「あらあら、こんな愛想の悪いおブスはウチには要らないんだけど」
「じゃあさっさと首にしてくださいよー」
「まあそのうちね」
ふふっと笑う皇后は大層ご機嫌だ。
まあそれもそのはず。
なにせ皇后の企み通りアルセン・アンドレ公爵とエレインがくっついてくれたんだから。
わたしは皇后の元で育てられた孤児で、ここに居る誰よりも皇后との付き合いが長い。
知るものは限られているけれど、わたしは皇后の最側近且つ懐刀だ。
ハニトラから暗殺までなんでもござれ。
これまでもあまり人にはいえないような任務を数えきれないほどこなしてきた。
エレインはそんな皇后の裏の顔は知らないままなはずだ。
でも、それでいい。
皇后はいくつもの顔を完璧に使い分けている。
エレインのような根っからの善人は光の元を歩む姿が相応しい。
そんな彼女に「アンドレ公爵を籠絡しろ」なんて命じた時は最初驚いた。
でも、すぐに皇后の真の思惑にわたしは気づいた。
こちらへ引き入れたい有力な貴族に皇后の息のかかった腹心をあてがい、この帝国での皇后の地位を磐石なものにする――なるほど、上手くいけば多方面にハッピーな企みではないか。
で、成功率を上げるために皇后は事前にターゲットに接触し、好みを把握するのだ。
それでアンドレ公爵がどうやらエレインを密かに思っているらしいことに気付いたようだ。
実際上手くいったところを見るに、皇后は中々仲人の素質がある。
これからも腹心を使ってどんどんこの計画を進めるつもりのようだけれど、わたしは結婚なんて向いてないし一人の男に縛られるなんて真っ平ごめんだ。
まあ、幸い皇后も私をそっちの要員に組み入れる気はないようだけれど。
さて、次はどこの子が選ばれことやら……穴埋めをするこっちの身にもなってほしいと内心悪態つきながら、今日もわたしはエレインから引き継いだ業務に忙殺されるのだった。
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