大事な思い出を預かるあやかしの店主との出会いによって、私は輝くような人生を手にして幸せになれました

珠宮さくら

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「探そうとしても見つからないでしょう。あいつは、そういうあやかしなんです。生まれ持った性とも言える。だから、実家からも縁を切られています」
「……」


なんだろう。聞けば聞くほど、クズすぎないだろうか。

あかりは、半眼になってしまっていた。別に目の前の絢世が悪いわけではないのに。

あかりの両脇のタマとポチが心配そうにあかりに体を刷り寄せた。


「大丈夫。ちょっと、呆れただけだよ」
「まぁ、そんなあやかしばかりではありませんよ」
「……」


言いながら、絢世は煎餅を食べてお茶を啜った。勝手にお邪魔してしまったあかりが言うのも何だが、あやかしはみんな、ゴーイングマイウェイなのかも知れない。


「それにしても、思い出を見れるっていいですね」
「……その話しましたっけ?」
「あぁ、見えてなければ、ここまて来れませんよ」


よくわからないが、そういうものらしい。


「えっと、謝った方がいいですか?」
「なぜです?」
「いや、お客になれないのにいきなり押しかけてしまったので」
「あなた、今どきのあやかしですね」
「今どき?」


そこから、いかにあやかしが自己中なのかを聞くことになったが、今どきとやらは人間っぽいのが多いらしい。


「この2匹も、こんな感じなので、仲間内では居場所がなくて、ここで店番してるんですよ」
「……」


果たして番ができているのかが、怪しいところだ。あかりは、ついそんなことを心配してしまった。


「あなたが珍しいから、侵入者として追い出せなかったんですよ」
「……そうなんですね」


何がどう珍しくて、追い出すとなったら、どうなるのかをあかりは聞くことはなかった。

そこから、中々いなくなった能力持ちだから、バイトをしないかと誘われた。


「バイトですか?」
「えぇ、それとあやかしと人間が通う高校もあるんですよ」
「そんなところが?」
「えぇ、どちらの存在もちゃんとわかっている者しかいません」
「……その高校って、試験とかあるんですか?」
「保護者が、しっかりしていれば通りますよ」
「……」


なら駄目だなとあかりは思った。だが、絢世は……。


「私でよければ、保護者になりますよ?」
「え?」
「まぁ、そうなるとここでバイトしてもらうのが必須になりますが」
 

そんなこんなで、絢世の店でバイトすることになり、トントン拍子であかりは高校を選ぶことになった。

それによって、勧誘していた高校が色々言って来たかというと何もなかった。


「そうか。ようやく決めたのか。よかったな」


担任も、周りの生徒も、あっさりとしたものだった。

絢世いわく、そういう効力を発揮するところで詮索できないようになっているらしい。

あかりは、直感で選んでよかったと思っていた。……緊張で気が変になるまでは。


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