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しおりを挟む勘当された兄のキルデリクは、着る服が数着で住む暮らしをして、生き生きと働いていたようだ。
元公爵子息と知らない女性が、イケメンで仕事ができると思って結婚したらしい。周りが、やめておけと言うのを怪訝に思っていたようだ。
「何で、あんな素敵なのにやめとけなんて言うんだか」
妬んで言っていたと思っていた。
だが、優秀だったせいで、どんどん出世してしまい、色んなところに呼ばれて、着る服が増えていく日々にキルデリクは、子育てに追われているというのに服を妻に用意させるようになった。
「は? 服くらい、自分で選んでよ。そこにあるでしょ!」
子供を世話しながらなのに夫まで、世話できるかと思っていた。
「いいから用意しろ! 仕事の取り引きの接待があるんだ。失敗したら、いい暮らしができなぬなるんだぞ!」
「っ、」
家は裕福になっていったが、キルデリクは子育てもせずに仕事のみで、奥さんに家事から身の回りのことまでさせていた。
そのせいで、愛想を尽かされて出て行かれたようだが、お金でできないところをやってもらい、仕事をし続けた。
もっとも、そんなお金があるのなら、妻に何でもやらせずに専門の者を雇えば良かったのだが、キルデリクはそんなことを思うことなく、仕事で成功しても子供たちとも疎遠になっても、構わなかった。
ふと、気づいた時には寂しい老後を送ることになって、自分がこれまで何を頑張っていたのかがわからなくなったようだが、後悔しても元妻たちに会うことはなかった。
その真逆のように公爵家は、養子が跡継ぐ頃には賑やかになっていた。
それは、オデットの嫁ぎ先も、そうだった。ジェラームが跡を継ぐ頃には、オデットの実家の公爵家に負けず劣らずになっていた。
オデットは、愛してやまない家族と幸せいっぱいの毎日を送ることになった。
お互い愛想をつかすことは決してなかった。
喧嘩が絶えない夫婦生活を送ったのは、ジェラームの姉夫妻だ。
ブランシュは、あの調子で夫が妻を心配してばかりいて、束縛するようになっているようだが、姉の時のように尽くしているせいで、どんどん妻の手柄を自分のものとして話す残念な男性になっていた。
それが気になったが、ブランシュはそれで幸せそうにしているから、オデットたちが何か言うことはなかった。
そんな中でも、オデットとジェラームは幸せいっぱいの誰もが憧れる家庭を築くことになり、人生を謳歌することができたのだった。
ちなみにエルマンガルドは、やろうと思えば、双子の片割れよりもできると本気で思っていたが、実際はやろうと思っていても何もできない女性だった。
文字は汚すぎるのと誤字脱字すぎて読めないし、貧困生活で髪も肌もボロボロになっていて、この国一番の美人だったのが、信じられないほどになっていた。
それでも、彼女はちょっとしか変わっていないと思っていて、良い男と結婚して贅沢な暮らしをしようとしていたようだが、それが上手くいくことはなかった。
そんな彼女にキルデリクは晩年になって会ったことがあったが、お互い気づくことはなかった。
その時、お互い、残念なのがいるものだと思ったようだが、傍から見ればどちらも残念でしかないことを知ることはなかった。
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