前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです

珠宮さくら

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第1章

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フィオレンティーナが行動に出ようとしたのは、子爵家の庭を見て絶望感に苛まれ、ストレスが溜まり始めたからだった。日に日に庭が気になって仕方がなくなってしまったからに他ならなかった。

使用人から、子爵令嬢が使用人のように扱われるようになる前のことだ。


(どうしたら、あんなに酷い庭にできるの? 自然に荒れていく方が、まだマシな気がする。これは、庭師を雇うお金をケチっているから?)


庭は、人の目につく時だけ、手入れをさせていたようだ。たまにガーデンパーティーをやるとなると庭師を雇って、それなりに見せようとしていたようだ。


(やっぱり見栄っ張りみたいね。どうせなら、もっと上手く隠した見栄の張り方をしてくれたらいいけど、それも期待は無理そうよね。じゃなきゃ、センスのなさを披露する物を身にまとって堂々となんかしていられないもの。それに両親が雇う庭師が、きちんと仕事してくれるといいけど)


庭師ならば素敵な庭に近づけるものと信じて疑わなかった。フィオレンティーナは、庭がどうなるのだろうかと見つからないようにこっそりと見学していた。この世界の庭師が気になったのも大きかった。

最高の庭師は、フィオレンティーナにとって前世の祖母だった。そのため、フィオレンティーナの理想とする人は最高すぎていて、そんな人を雇えるお金を出すような両親ではないから、そこまで期待をしていなかった。

でも、大した期待をしていなかったはずなのにそれを大きく下回った庭師と呼べるレベルですらない庭師が来て何とも言えない顔をしたのは、すぐだった。


(……あれが、この世界の庭師なの? 全然、思っていたのと違うわ。期待してはいなかったけど、ここまでとは、逆の意味で凄いかも。それとも、両親が選んだ庭師だから? ケチったお金に見合う人ってだけかも。……じゃないとこの世界の庭師は、みんなあんなレベルだってことになる。そんなの悲しすぎる)


期待はあまりしていなかったが、ちょっとでも職人の技を見ることになるかもとは思っていたから、それなりに期待してしまっていたようだ。

素人が庭をいじったよりも酷くさえ見えるほど、花のことも、土のことも、何もかもが何と言うか雑だった。植物のことを何一つわかろうとしないで、見映えというか。見栄を重視した庭が出来上がったのを見て、さらなる絶望感を感じずにはいられなかった。

両親やチェレスティーナの内面を表現したら、こんな庭だろうなというものになっていた。そう考えるとこれぞ、子爵家と言える庭になっていた。


(こんな庭で、ガーデンパーティーなんてして盛り上がるとは思えないけど。私なら、長居なんてしたくないな)


そんな庭で開いたガーデンパーティーは大して盛り上がらないまま、お開きになった。そうなるだろうと思っていたのは、フィオレンティーナだけではなかったようだが、フィオレンティーナ以外の家族がそれに気づくことはなかった。

それどころか。母親たちは庭のことを全く気にしていないようだ。センスの悪さに全く気づいていないため、招待客が早く帰りたそうにしていることにも気づいていなかった。

だからこそ、両親的には今回のガーデンパーティーも成功したというレベルだったようだ。全く盛り上がってすらいなかったが、子爵家ではそれが当たり前になっていた。


「今年も、ガーデンパーティーが無事に終わったわ」


それを聞いてフィオレンティーナは、絶句してしまった。


(無事に終わった……? あれで?? まぁ、それはいいとして、もしかして、庭のことを終わりにする気じゃないわよね?)


気になる単語に嫌な予感はしたが、思った通りにガーデンパーティーが終わった途端、放置されることに庭はなった。フィオレンティーナから見たら、あり得ないものでしかなかった。


(あのパーティーのために数日で、どうこうできるわけがないのに。それにせっかく植えた花も終わったら放置するなんて、あり得ない。どうして、そんなことができるのよ!?)


そんな庭を見ていられず、フィオレンティーナが世話をするようになった。それを両親も、双子の妹のチェレスティーナも、貴族の令嬢としてあるまじきだとして、恥ずかしいからやめろとよく言っていた。

そう、最初はすぐに見つかってしまって、散々なまでに怒られてしまった。


「土いじりをするなんて、何を考えているんだ! お前は、子爵令嬢なんだぞ!」
「そうよ。それにそんなに服を汚して、いくらしたと思っているのよ!」
「しんじられない。はずかしいから、やめてよね」
「……」


それでもやめずにこそこそとしているうちに使用人たちが黙っていてやるからとやらせてくれるようになった。

最初は、みんなフィオレンティーナのことを家族に知られないように隠そうとしてくれて、純粋に協力してくれていたと……思う。

それが段々とただでは協力したくないとばかりに酷くなっていって、黙っている見返りに使用人の仕事をフィオレンティーナにやらせるようになったのだ。


「え? 掃除……?」


(それって、使用人の仕事じゃない)


「嫌なら、別にいいんですよ。貴族らしくしていてさえくだされば、あたしらが叱られることにならないんですから」
「そうですよ。知られたら、私たちが叱られるんですから、このくらいはしてもらわないと」


使用人たちは、そんなことを言って来た。フィオレンティーナは、最初は掃除だけだと思っていた。

それが、いつの間にか全部を押し付けられるまでになって、流石にと思った。でも、それを拒めば……。


(それで花の世話ができる。仕方がないよね)


いつしか、味をしめた使用人たちはフィオレンティーナへの扱いも、注文も酷いものとなっていった。使用人たちも知られれば、ただでは済まないことになるはずだが、それすらフィオレンティーナがどうしてもやりたいと言ったと泣きつくつもりでいるようで、言い逃れる気でいたのは明らかだった。

そういうのが好きな変わり者の令嬢だからと自分たちの仕事を全て押し付けるには丁度いいとばかりにされていた。黙っている代わりにフィオレンティーナは花の世話をやる代わりに家の全ての使用人の仕事をやらされ、あれこれと注文までつけられるようになるのも時間の問題でしかなかった。


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