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第2章
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しおりを挟むチェレスティーナは、留学生たちとフィオレンティーナが一緒にいたことにイライラしていた。合同授業の時を見ていれば、それも納得しそうなものだが、チェレスティーナはそんなことで納得などできる令嬢ではなかった。
何より双子の姉が、自分よりも上手く立ち回っていることが許せるわけがなかった。
「何よ! 私が、仲良くしてあげようと思ったのに。何でフィオレンティーナなんかと一緒にいるのよ!!」
双子の姉は勉強もできた。それに比べて双子の妹は……と最近では残念そうにされ、笑われ、嫌味まで言われることも増えた。
前まで、誰もそんなことチェレスティーナに直接言わなかっただけなのだが、ガーデンパーティーが散々なことになったと噂されて、婚約者のアンセルモからも疎まれ始めていた。
そのため、ここにきて本音がちらほらチェレスティーナの耳にも届くようになったのだが、彼女はそんなこと考えもしなかった。元々、そんな風に思われていたことが頭の片隅にもなかったのだ。
それこそ、フィオレンティーナからチェレスティーナに婚約者を変更したこともあり、アンセルモも周りに色々と言われていた。チェレスティーナよりフィオレンティーナの方が、マシだったとすら思われ始めて、本人も後悔し始めていた。
フィオレンティーナの方が、明らかに留学生たちに好かれているのも大きかった。それをたくさんの者が目撃していて、アンセルモも見たことがあった。本当に仲良さそうに留学生たちが、フィオレンティーナと話していたのだ。
それを見てしまえば、姉であるフィオレンティーナの方が婚約者としては自慢できる。庭を台無しにしようとしたと聞いてはいても、実際にしたのを見てはいないのだ。
フィオレンティーナを見ているとどうにも、そんなことをする令嬢には見えない。大方、チェレスティーナが姉を貶めようとでもして、両親が鵜呑みにしたのではないかと言われ始めてもいた。
アンセルモも、それが正解な気がし始めていて、婚約者を替えたことをここ最近はずっと後悔しかしていなかった。
そんなことを婚約者から直接聞いたわけでもないが、そんな風に思われている気がしてならなかった。チェレスティーナは悔しくて仕方がなかった。よりにもよって、フィオレンティーナに劣ると思われていることが許せなかった。
それに一番ムカついていた。寮生活でなければ、両親にフィオレンティーナの悪口を吹き込んでいるところだ。そうすれば、部屋から出さないようにしたに違いない。
土いじりを好むような貴族らしからぬ令嬢なのに。婚約者だって、フィオレンティーナより、チェレスティーナの方がまともだと学園でもみんなが言ってくれていたのに。
成績がいまいちだとわかってからの婚約者は信じられない顔をよくチェレスティーナにしてばかりいた。
「こんなこともわからないのか?」
「っ、」
「はぁ~、子爵家の令嬢だろ? 勘弁してくれ。私まで恥をかく」
「っ、!?」
そんな風に言われて、どれだけ悔しかったことか。恥をかかせるのは、フィオレンティーナだけだったはずなのに。自分が言われることになったことを認められずにいた。
チェレスティーナの取り巻きたちもいなくなった。あの庭のことで、近づいてきていた面々が、親から庭が大したことなくなったと聞いたと言ってからは、散々なことばかり続いていた。
どれも誤解なはずなのに。
「留学生たちと仲良くなるより、婚約者と仲良くなった方がよくないかしらね」
「っ、」
チェレスティーナが、苛立っていたのを見ていた者がいたようだ。
「そうよ。それに留学生たちの機嫌を損ねたら、来年以降の留学生が来なくなりかねないわ。あちらの国から、短期間でも留学生が来てくれないとこの国が大変なことになることくらい、あなたでも知ってるでしょ?」
「煩い! 私に指図しないで!」
「……」
「あっ、そう。忠告しただけよ。勝手にすればいいわ」
「何よ。あれ」
「何様のつもりなのかしらね」
「っ、」
「未だに勘違いしているんでしょ。見た目からも、よくわかることじゃない。行きましょ」
そう言ってチェレスティーナに冷めた目を向けて、令嬢たちは最後の方で笑いながら去って行った。
久しぶりに話しかけられたが、そんなことを言われたチェレスティーナは怒り心頭だった。その上、笑われることなど身に覚えのないチェレスティーナはムッとしていた。
それもこれも、フィオレンティーナのせいだとチェレスティーナは、すぐに思った。
彼女の思考は何をしても、姉が悪いと思うところにしか行き着かないようだ。自分が悪いと思うことがない生き方をしてきたせいで、肝心なものが何も見えていないままだった。
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