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第2章
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しおりを挟む一方のフィオレンティーナは、留学生とのピクニック時に約束したことを果たすために次の日には、再びキャトリンヌと会った。そこに彼女の婚約者とリュシアンも一緒にいた。
その姿を見て、フィオレンティーナは……。
(本当に仲がいいのね)
フィオレンティーナは、刺繍を見たくて集まっているとは全く思っていなかったことで、仲がいいのだと思って見ていた。
彼女の目には見えてはいないが、妖精たちも押しかけていた。
留学生は三人とも、妖精ともみくちゃになりながら、そわそわしていた。
(何だか、凄い威圧感を感じるな。何でだろ??)
妖精たちが凄いことになっていて、フィオレンティーナでもそんなことを思うほどになっていた。
「凄い!」
キャトリンヌは、フィオレンティーナの持って来たハンカチを見るなり目を輝かせて、大はしゃぎしていた。
ジョスランも、リュシアンも、一緒になって目を輝かせていた。
妖精たちも、そうだ。モチーフとなっている花の妖精は、狂喜乱舞して喜んでいた。それに嫉妬することなく、他の妖精たちも凄いと褒めていたが、それを留学生たちは見ていなかった。
三人とも、刺繍に夢中になっていた。
「どれも、美しいな」
「えぇ、キャトリンヌが羨ましいですね」
「あぁ」
キャトリンヌは見たことないほど真剣になって、どれにしようかとハンカチを眺めていた。そんな真剣な表情をリュシアンも、ジョスランも見たことがなかった。それも無理はないと思うほどの刺繍だったし、キャトリンヌが羨ましくて仕方がなかった。それほどのものだった。
だが、真剣に見ていたキャトリンヌも長く続かなかった。
「あぅ~」
「ど、どうしました?」
「選べない」
「へ?」
キャトリンヌが涙目になって、フィオレンティーナを見つめた。今にも泣き出しそうで慌てたが、その理由にフィオレンティーナは間抜けな声を出してしまった。
「これは、難しいですね」
「ん~。どれも、素敵」
「じゃあ。全部あげます」
「「「!?」」」
それにキャトリンヌは、驚いた。ジョスランとリュシアンも同じようにフィオレンティーナの言葉に驚いた顔をしていたが、フィオレンティーナは何でもないように話を続けた。
「その代わり、お花で染めるのに向いているお花のことや方法を教えてください」
「それ、駄目!」
キャトリンヌは、すぐに駄目だと言って首を振った。それはもう必死になっていて、首をおかしくしないかと思うほどだった。
「え?」
(何で??)
フィオレンティーナは、そんな反応をされるとは思っていなくて驚いてしまった。
妖精たちも、駄目だとキャトリンヌと同じ反応をしていた。
「交換、足りない。それだと、2つ!」
「えっと、3つくらいだと思いますよ。ハンカチの交換とお花の種類と染め方ですし」
「ん~」
キャトリンヌがフィオレンティーナに全部と言われて喜んでいたが、すぐさまもらいすぎだと言い出し、3つと言われて不思議な顔をして、悩み始めた。
そういうことには律儀というか。拘りが強いようだ。
その近くでは、妖精たちも同じように悩んでいた。
「えっと、じゃあ、この間のお料理のレシピも、いいですか?」
「お料理? ジョスラン」
キャトリンヌは、チラッとジョスランを見て名を呼んだ。ジョスランは、それに目を輝かせてフィオレンティーナを見た。
「姉上に聞いて、レシピをまとめてもらいます。若い女性に人気なものも、姉上なら知っているはずです」
(お姉様がいらっしゃるのね。……ん? でも、そうなると大変そうね)
フィオレンティーナは、姉だけでは大変そうだと気づいてしまった。
「ジョスランの姉様、料理上手! 姉様、いい?」
「いいですよ。なら、2枚ですね」
「え、いや……」
ジョスランは、2枚と言われてしどろもどろになった。それは珍しい光景だった。
「お母様にも差し上げてください」
「っ、いいんですか?!」
「はい」
「ありがとうございます!」
「姉様、これ! おば様、こっち!」
「そうですね。二人とも、その花が好きですから」
「ふふっ、なら尚更、3枚ですね。キャトリンヌ様が、同じ数では他の方が受け取りづらくなってしまいます。キャトリンヌ様が2枚とキャトリンヌ様のお母様が1枚で、3枚。どうですか?」
「うん! これとこれ、キャトリンヌ。こっち、母様!」
キャトリンヌは、フィオレンティーナの言葉にやっと納得したようだ。すぐさま選んだ。
するとチラッとキャトリンヌは、リュシアンを見た。そして、すぐにフィオレンティーナを見た。
ジョスランも浮かれていたが、リュシアンのことをすっかり忘れていて焦っていた。
「フィオレンティーナ嬢。他にないか?」
「へ?」
リュシアンから、名前を呼ばれたことが初めてで驚いてしまった。
「俺には母はいないが、叔母上に差し上げたいんだ。交換したいものはないか?」
リュシアンの言葉にフィオレンティーナは、目をパチクリさせた。彼に真剣な目で見つめられたのも初めてだったが、普通の人間ならそれだけで顔を真っ赤にさせて大変なことになっていただろう。
だが、フィオレンティーナはそんなことになるような女性ではなかった。
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