双子の片割れと母に酷いことを言われて傷つきましたが、理解してくれる人と婚約できたはずが、利用価値があったから優しくしてくれたようです

珠宮さくら

文字の大きさ
7 / 14

しおりを挟む

「レオンス様……?」
「ベルティーユ。もっと頼ってくれ」
「え?」


そんなことをなぜ言われるのかがベルティーユには全くわからなかった。


「兄上が頼りがいあるのは、わかる。でも、君と婚約したのは僕だ」
「……」


どうやら、頼りがいがないから頼ってもらえなかったのだと思ったようだ。

ソファに座るベルティーユの足元に跪いて、レオンスはそんなことを言った。ベルティーユは、そんなつもりはなかったのだが、これを聞いてベルティーユは、ぞわっとした。

理由は、女物の香水の匂いがしたからだ。ベルティーユが好んでは絶対使わない香りを彼はまとっていた。

それに全く気づいていないようだ。香りが移る距離にいたのに今はベルティーユの側にいるということだ。ぞわっとするのは無理ないと思う。

だが、ベルティーユはどこで何をしていたかとレオンスに聞くことはなかった。何でもないようにこう言った。


「レオンス様。私こそ、頼りっぱなしで、申し訳なく思っています」
「っ、そんなことない! そんなことないんだ。妹のことも、もっと気にかけていればよかったんだ。あいつ、そもそも、友達がいないんだ」


だから、何だとベルティーユは言いたくなった。妹の気持ちを逆なでするようなことを散々しておいて、友達がいないなんてわざわざ言わなくてもいいはずだ。

段々と彼のやることなすことにイラッとベルティーユはしてならなかった、

ベルティーユは、そんな感情を上手く隠して、別のことを口にした。


「え? でも、いつも学園では周りに人がたくさんいますよね?」


ベルティーユと違い、王女が1人でいるのなんて見たことがなかった。


「あれは、王女だから側にいるだけだ。現に今は喚き散らして悪口しか言わないから、見舞いに来るのもいなくなった」
「……」


車椅子で出かけるのも、人に指図して移動していた。ちょっとでも、自分の思っているのと違うと怒鳴り散らしているのも見かけたが、前より人が側にいなくなった気はしていた。

ベルティーユのせいだと言う王女に合わせているだけで、実際は何があったかを知っているから、王女に冷めた視線を送って遠巻きに見始めているようだ。

それがわかったベルティーユは、王女が可哀想な人に思えてならなかった。

そうなるとアレクサンドラとは違う。ベルティーユのようなよくわからない令嬢に兄たちを取られたくなかっただけで、付き合い方がわからなかっただけのように思えてきた。

それよりも、こんな風に悪化させて、妹をコケ落とすレオンスが嫌だなと思わずにはいられなかった。


「だから、あいつに何を言われても気にしなくていい」


そう来たかとベルティーユは思ってしまったが、知られないように即座にこう言った。


「そうですね。私、王女とお友達になります!」
「え……? ベルティーユ、何で、そうなるんだ??」


レオンスは頭を抱えていたが、ベルティーユにはそんな婚約者のつぶやきなど聞こえていないようだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした

由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。 無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。 再び招かれたのは、かつて母を追放した国。 礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。 これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

私から婚約者を奪うことに成功した姉が、婚約を解消されたと思っていたことに驚かされましたが、厄介なのは姉だけではなかったようです

珠宮さくら
恋愛
ジャクリーン・オールストンは、婚約していた子息がジャクリーンの姉に一目惚れしたからという理由で婚約を解消することになったのだが、そうなった原因の贈られて来たドレスを姉が欲しかったからだと思っていたが、勘違いと誤解とすれ違いがあったからのようです。 でも、それを全く認めない姉の口癖にもうんざりしていたが、それ以上にうんざりしている人がジャクリーンにはいた。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

処理中です...