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しおりを挟むベルティーユは、第1王子と婚約して、彼が王太子となったことをエルヴィールと一緒になって喜びつつ、サポートができるように頑張り続けることをやめることはなかった。
それこそ、父と幼い頃に約束した通り、ダンスを踊ってみせたのだ。リハビリや手術だけでなくて、新薬がベルティーユたちに劇的な変化をもたらしたのだ。
父は、感極まって泣きながら嬉しそうに娘とダンスを踊った。その姿に多くの者が涙した。
バージンロードも、杖なしで父と歩いた。王太子も、松葉杖もなく立っていた。
頑張り続けたことが無駄になることはなかったのだ。それを間近で見ていたエルヴィールは、自分も頑張るのだと辛いリハビリを必死に頑張り、ベルティーユと同じく好きな人とダンスができるまでになるのに数年かかっても、成し遂げた。
その頃には、ベルティーユは母親となっていて、子供が同じ病気を発症して苦しむことがないように医療が進歩していることに感謝しないことはなかった。
もっとも、その頃には、アレクサンドラがどうしているのかを考えないようにしていた。
縁はとっくに切れているのもあるが、同じような目にあっても、ベルティーユは遺伝したものであり、その遺伝子を持っている母方の親族を恨んだことがないのだ。
でも、アレクサンドラはベルティーユのせいだと思い続けるのをあの調子でやめることはなかったはずだ。
それに隣国では、新薬が出ているとわかっていながら、そんな病になるのは生前の行いが悪かったせいだと思って、毛嫌いが強いところらしく、未だに病気になる者が新薬や手術で治療することに偏見まであるようだ。
病気を発症した者はあるがままに受け止めて、悔い改めろみたいなところが強いようだ。だから、歩けなくなって、車椅子に乗れずに引きずって動く人々を嘲笑ったりしているらしく、それを耳にして幼い頃にアレクサンドラに言われたことが思い起こされてならなかった。
「這いつくばってばっかりいるんだもの。まともに歩けないなら、人間やめたら?」
後にも先にも、あれがベルティーユは1番傷ついたが、それがアレクサンドラに特大ブーメランで突き刺さることになるとは思いもしなかった。
「ベルティーユ」
「殿下」
王太子は、スタスタと歩いて来てベルティーユに優しい笑みを向けてくれた。
「まぁ、お2人がいるわ」
「本当に仲睦まじいわよね」
子供が数人生まれても、そんなことがわからないほど、若々しい2人を羨ましく思うものが多くいた。
エルヴィールも、2人に負けず劣らずの相手を見つけて幸せそうにしていて、それを見てもベルティーユたちは微笑ましそうにしていた。
こうして、ベルティーユは諦めることなく、コツコツと努力をし続けることをやめなかったことで、素晴らしい未来を手にすることになった。
彼女の周りは笑顔が溢れ、楽しそうにする者たちが自然と集まるようになって、光り輝く人生を愛してやまない人と共に謳歌することができたのだった。
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