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「凛さん」
「?」
「行こう。置いてかれるよ」
「っ!?」
声をかけて来たのは、転校先でも一番のイケメンの男子生徒の松本悠希だった。彼は、結愛の双子の片割れで、修学旅行の班決めで女の子に誘われまくって大変なことになっていたのを結愛が見かねて、同じ班にと連れて来た経緯がある。
それこそ、ギリギリで班が決まったことで、凛はやっかみにあいかけていたが、それを何とか回避できたのだ。
班が一緒になれないなら、同じルートを回ろうとした班がちらほらいたようだが、その方面に誤報を流したらしい。
それもこれも、凛が前にやった回ったフリして別行動というのを聞いて、追っかけを出しぬくプランが用いられたようだ。
おかげで、ゆっくりと廻れているのだが、それがこんなことになるとは思うまい。
(そもそも、あっちがここを通るとか知らなかったんだよね。広いはずなのに世間って物凄く狭いな)
凛の手を握って、引っ張られて移動することになったのだ。
「っ、凄いイケメン!」
「え? 何、凛のカレシ?!」
「え、いや……」
「まだ、違うよ。これから、アプローチするとこ」
そんなことを言うせいで、友達の何人かが黄色い悲鳴をあげていたが、凛は別の理由で悲鳴をあげたくなっていた。
「おい、狡いぞ。抜け駆けすんな」
もう一方の手を別の男子生徒に凛は取られることになった。彼もまた美形で、女ったらしだと色々と噂されている一人だ。
二人とも、凛と同じ班だ。班は確かに同じだが、こんな風に話しかけられたことはなかった。
(ど、どうなってるの??)
凛は、騒ぎ立てる周りから引き離されるように班が同じメンバーがいる方に連れて行かれることになったが、湊はそんな凛をぽかんとして見ていた。
明穂は、驚いていたかと思えば、鬼の形相で凛のことを睨んでいた。
だが、凛はそれどころではない。
(何で? いや、やり返せることがあれば何でもいいとは思ったけど、これはどういう状況なの??)
元カレと付き合っているのを隠していたのか。隠していたわけでなくて、別れたあとで付き合ったのかはわからないが、湊と明穂のことなんてそんなことは、もうどうでもいい。
こんな風にばったり会うことになっても、見せつけるように手を握り続けていたのも、どうだっていい。
凛にとって、二人を罵倒し返すことでスッキリすると思っていたが、それができずに悔しくて仕方がなかったが、それがとんでもないことでやり返せたような、二人以上に驚いているのが凛だったりするが。
凛が混乱状態にある中で、二人に睨まれなきゃならない理由なんてないはずだが、それにすら気づいていなかった。
(そもそも、この手は、何??)
「ちょっと、二人とも、凛さんが困ってるでしょ!」
そこに最初に声をかけて来た男子の双子の片割れである結愛が声をかけてきて、手を繋いだままの二人を蹴散らしてくれた。
その横には、結愛のカレシの碧人がいた。
そんなことをしている間に前の学校の面々は移動しているようだ。
「凛さん、さっきの学校の人たちって……」
「うん。転校する前に通ってた学校の人たち」
「そっか。あの学校の制服も、中々だよね。でも、ここの学校と比べるとやっぱ、こっちが可愛いよね~」
「同じこと思ってた」
凛は笑えていると思っていたが、上手く笑えてはいなかったようだ。
「さぁ、次、行こう!」
結愛が、張り切りだして、凛の手を握って移動しようとするも、碧人は……。
「結愛。こっちだ」
道を間違えていて、悠希がそれを笑ったことで双子は喧嘩することになったが、その隙に別の男子が凛の手を握ってきて、それで双子とその生徒が喧嘩することになり、凛と碧人はそれをあしらって目的地に行くまでにげんなりしてしまった。
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