私より婚約者に詳しい男爵令嬢に同じ物を贈っているのに浮気を認めないまま婚約破棄となりまましたが、彼はその後も認めていません

珠宮さくら

文字の大きさ
11 / 12

11

しおりを挟む

ステファニアが婚約して、オルテンシアもようやく留学先の王太子に好かれていて、熱烈なアピールをされるようになって気づかないわけにはいかなくて、たじたじになっていた頃には、留学先の王太子のジェミニアーノと婚約をしていた。

婚約したのを見届けるかのようにして、オルランドは留学を終えて帰国した。

あちらで、王女と婚約をして、ステファニアとよりを戻せるならしようとしたミケーレにとどめをさしたことも、オルテンシアはだいぶ経ってから知ることになった。


「オルテンシア。どうした?」
「いえ、何でもありません」


ジェミニアーノは兄に負けず劣らず情報に疎いなんてことはありえないため、知っていてあえてオルテンシアには伝えていないのだと思った。だから、この話題を今更だと思ってあえて口にしなかった。

ミケーレが全てをやったことにされていた。跡継ぎからも降ろされ、王女との婚約もなくなり、家族からも周りからも信用も信頼も何もかもを一片に失くすことになった。

それも、王女との婚約が解消となって、ステファニアとよりを戻そうとしたから、そうなったようなものだ。大方、ステファニアが公爵家の子息と婚約したこととオルランドが彼の元婚約者の王女と婚約したことで、何があったかにたどり着いたのだろう。

まぁ、たどり着かないわけかないが、そこまでになってステファニアの婚約を台無しにしたのは間違いない。そうでなければ、暴露されることはなかったのだ。

オルランドは可愛い妹の1人であるステファニアのために動いたまでに似すぎない。いざとなれば、自国の王太子が計画していたことをいくらでも崩せる策を講じていたのだ。

それには、あの王太子は気づいていなかったようだ。ミケーレが今更になって暴露されたのも気にかける余裕がなかったのは、オルテンシアがジェミニアーノと婚約したと知って激怒していたからにほかならない。

自分と婚約するはずのオルテンシアが留学から中々戻って来ないだけでなく、そこの王太子と婚約をしたのだ。

しかも、思い通りにいかなかったことがなかったらしく、コケにされたとばかりに余裕もなくなった王太子が、オルテンシアのことを奪いに乗り込んで来るとは思いもしなかった。

もっとも、ジェミニアーノの方はそうなるだろうとわかっていたかのようにオルテンシアを守った。どちらも王太子のはずが、余裕のなくなった方は酷いとしか言いようがなかった。

こんな人にステファニアは唆されたのかと思うほどだった。


「オルテンシア嬢。そんな男より私の方が、君を幸せにできる」
「……あなたがしたことで、今こうして幸せになれています。これ以上の幸せはないと思いますけど」
「っ、オルテンシア嬢」
「私を幸せにしたいとおっしゃるなら、その顔を見せないでいただけますか?」


オルテンシアは、虫唾が走ると言いたかったが言わなかった。

だが、こんなにもあっさりと拒絶されるとは思っていなかったようで、婚約者として連れ帰るとオルテンシアの腕を掴んで、ジェミニアーノがブチギレることになったのは、この後すぐのことだった。

そんなことになった者を王太子にしていけるわけがなかった。あっという間に彼は、これまで貶めて来た人たちと同じく坂を転がるように厄介者として追いやられることになった。

そんなことがあって、ジェミニアーノは隣国の王太子から婚約者を颯爽と守った人物と思われることにもなった。


「素敵ね」
「本当よね。あんな風に私もなりたいわ」


オルテンシアたちはいつ見かけても仲睦まじくしていた。それは、他の兄と妹も同じだった。

伯爵家の3兄妹たちは、こうしてそれぞれが運命の人と添い遂げることになって、誰もが羨むほどの幸せな人生を送ることになった。







ちなみにオルテンシアの元婚約者であるフィエロは、再び侯爵家の跡継ぎとなり、男爵令嬢のカルロッタが黒幕ではなくて、実の弟がしたことで婚約者が全く関与していなかったことがわかってから、怒鳴り散らすのをやめた。

お互い被害者として接するようになったが、それまでの散々なことを言っていたのとフィエロがしていたことではなくて、弟がしていたことだとわかって、カルロッタは婚約していたくないと言っていたが、世間体を気にしたのとそんな風に被害者同士でもあり、弟がやらかしたことの責任を兄として、きっちり取れる人物なのだと見栄を張りたいミケーレによって解消も破棄もしてもらうことは叶わなかった。

そのせいで、益々2人の仲は険悪となったかというとそうではなかった。カルロッタは、侯爵家の跡継ぎとなったミケーレの方と婚約し続けることに異論はなくなっていた。

オーダーメイドのアクセサリーを買えるほどだ。贅沢三昧ができることを考えて、あっさりと機嫌を直したようだ。もっとも、機嫌を取るために散財を繰り返すことになって、結婚してからがもっと大変なことになったが、それはミケーレの自業自得でしかない。

カルロッタも、散々な目にあったが好きなものを買い与えてくれることになって、罵詈雑言を浴びせかけられていた日々があったからこそ、贅沢ができると思って疲れ切っていた。

侯爵家の跡継ぎを産んだ後にひっそりと療養が必要になったと田舎に追いやられて息子にも会わせてもらえなくなる未来が訪れるとも知らず、ましてや療養が必要となってからひっそりと離縁されて、侯爵家に新しい妻が迎え入れられて、その女を息子が母親だと思って育てられることになるとは思いもしなかった。

ただ、ずっと続くことになると思っていた幸せの寿命が物凄く短いことに気づくことなく、あんな目にあったのだから、これからは幸せになる一方だと浮かれてしまったことで、ミケーレにこんな厄介なのを妻にしておけないと早々にどうにかしようと思われていることにも気づかなかった。

ある意味、気づかない間の束の間の幸せが一番だったのかもしれない。

そんな風に元妻を切り捨てたミケーレも、新しい妻を迎えても、彼がこれからは自分が幸せになる番とばかり思っていても、その通りなることはなかったのは、自分がこれまでやったことに反省も謝罪もせずに過ごして来たからだと気づくことはなく、次に目に見えて不幸になるのは自分だと知りもしないまま、己の息子だと思っていた元妻から取り上げた子供が、別の男の子供だと気づくことなく新しい妻が産んだ子供も父親が違うことも気づくことはなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼馴染最優先の婚約者に愛想が尽きたので、笑って家出しました ― 笑顔で去っただけなのに、なぜ泣いているのですか

ラムネ
恋愛
侯爵令嬢リオナは、婚約者アルベルトが「幼馴染が可哀想だから」と約束を破り続ける日々に耐えていた。領地再建の帳簿も契約も、実はリオナが陰で支えていたのに、彼は「君は強いから」と当然のように扱う。決定的な侮辱の夜、リオナは怒らず泣かず、完璧な笑顔で婚約指輪だけを返して屋敷を去った――引継ぎは、何一つ残さずに。 翌日から止まる交易、崩れる資金繰り、露出する不正。追いすがるアルベルトを置き去りに、リオナは王立監査院の臨時任官で辺境へ。冷徹と噂される監察騎士レオンハルトと共に、数字と契約で不正を断ち、交易路を再生していく。 笑顔で去っただけなのに、泣くのは捨てた側だった。

愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?

日々埋没。
恋愛
 公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。 「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」  しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。 「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」  嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。    ※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。  またこの作品とは別に、ハーメルンなど他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

婚約した幼馴染の彼と妹がベッドで寝てた。婚約破棄は嫌だと泣き叫んで復縁をしつこく迫る。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のオリビアは幼馴染と婚約して限りない喜びに満ちていました。相手はアルフィ皇太子殿下です。二人は心から幸福を感じている。 しかし、オリビアが聖女に選ばれてから会える時間が減っていく。それに対してアルフィは不満でした。オリビアも彼といる時間を大切にしたいと言う思いでしたが、心にすれ違いを生じてしまう。 そんな時、オリビアは過密スケジュールで約束していたデートを直前で取り消してしまい、アルフィと喧嘩になる。気を取り直して再びアルフィに謝りに行きますが……

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

処理中です...