私より婚約者に詳しい男爵令嬢に同じ物を贈っているのに浮気を認めないまま婚約破棄となりまましたが、彼はその後も認めていません

珠宮さくら

文字の大きさ
12 / 12

12

しおりを挟む

(オルランド視点)


妹たちのことで頭を悩ませていたかというとそんなことはなかった。私とて王女と幸せになるためにあれこれ考えていた。

その障害が、あの王太子だった。

どうしたものかと思っていた。先にこちらから仕掛けるわけにはいかなかった。仕掛ける口実は、あちらからでなければ困る。

そんな時にオルテンシアに気があることがわかり、どうにかして婚約しようとしていることがわかった。引く手あまたなオルテンシアが、フィエロのようなのと婚約したのは、私が手を回したからではない。

むしろ、何もしなかったことで起こったことでしかなかった。父はそういうのを見定めることも、回避するのも上手くはないため、私が何もしなかったことで、オルテンシアがフィエロと婚約したようなものだった。

そう、ステファニアのことは言えないのだ。きちんと謝罪して謝らなければならないのは、私の方が大きかったが、その後の罪滅ぼしのようにオルテンシアが幸せになる未来を託せる人物も見つけた。


「お前、そんなことしたと知られたら嫌われるんじゃないか?」


留学先の王太子であるジェミニアーノにそんなことを言われたことがあった。

その時は、その時だと思ってはいたが、言葉にはできなかった。とても情けない顔をしていたと思う。


「お前でも、そんな顔をするんだな」
「……煩い。あまり言うとオルテンシアとの間を取り持つのをやめるぞ」
「そんなこと言うとお前が何をしたかをうっかり話すかも知れないぞ」
「そんなことしたら、嫌われるだけだ」


ジェミニアーノとそんなやりとりをずいぶん前にしたことがある。

そもそも、オルテンシアにバレないわけがないと思っていた。私に似て聡明で、ちゃんと見ようと思えば見れるのだ。そこに心情や配慮やら、兄妹をそんな人物だと思いたくないという気持ちが大きくなりすぎて上手く使えないだけだ。

優しすぎるところがあるが家族以外では、婚約者にも甘くなるところもあって、フィエロの酷さよりもよくしようとしてくれているのだと思って、あのプレゼントの話を周りにしていたのも、肌身離さずにつけていたのも、そういうことだったにすぎない。

それをお気に入りかのように言っていたのも、配慮だ。オルテンシアの好みからしたら、違っていたことに私以外気づいていなかったのではなかろうか。

オーダーメイドで作られた根の張る贈り物は、あんなことになって、すぐにオルテンシアの目に入らないところに追いやられた。

今は、ジェミニアーノが選んだものを肌身離さずつけられている。それは、好みかはあえて言わないでおく。

オルテンシアの好みを正しく理解できるのは、まだ譲る気はない。オルテンシアの唯一の兄の特権だ。


「オルランド。また、妹さんたちのことを考えていたでしょ?」
「……そんなにわかりやすいか?」
「えぇ、わかりやすいわ。あなたのシスコンっぷりも含めて私は好きだから、とてもよくわかるわ」


王女は、そんなことを言って笑っていた。誰と婚約しても、2人の兄であることをやめる気はないとも最初に言ったが、それでも構わないから側にいたいと言われて、こうなった。

周りからは妹たちに負けず劣らず仲睦まじくしていると思われていたが、蓋を開ければ中身はこんな感じだ。

それごと好きだと言ってくれるから、私も王女が望むものとして応えているに過ぎない。

あの元王太子である自分の幸せしか考えられない兄とは違う王女の理想とする兄として、存在しているだけだ。

それで、こんなにも幸せだと思えるのだから、私たちは似た者同士なのだろう。


「王女様とオルランド様だわ」
「本当にお似合いね」


何も知らない周りに、そんなことを言われているのを耳にして、私たちは笑い合った。



しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

幼馴染最優先の婚約者に愛想が尽きたので、笑って家出しました ― 笑顔で去っただけなのに、なぜ泣いているのですか

ラムネ
恋愛
侯爵令嬢リオナは、婚約者アルベルトが「幼馴染が可哀想だから」と約束を破り続ける日々に耐えていた。領地再建の帳簿も契約も、実はリオナが陰で支えていたのに、彼は「君は強いから」と当然のように扱う。決定的な侮辱の夜、リオナは怒らず泣かず、完璧な笑顔で婚約指輪だけを返して屋敷を去った――引継ぎは、何一つ残さずに。 翌日から止まる交易、崩れる資金繰り、露出する不正。追いすがるアルベルトを置き去りに、リオナは王立監査院の臨時任官で辺境へ。冷徹と噂される監察騎士レオンハルトと共に、数字と契約で不正を断ち、交易路を再生していく。 笑顔で去っただけなのに、泣くのは捨てた側だった。

愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?

日々埋没。
恋愛
 公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。 「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」  しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。 「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」  嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。    ※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。  またこの作品とは別に、ハーメルンなど他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

婚約した幼馴染の彼と妹がベッドで寝てた。婚約破棄は嫌だと泣き叫んで復縁をしつこく迫る。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のオリビアは幼馴染と婚約して限りない喜びに満ちていました。相手はアルフィ皇太子殿下です。二人は心から幸福を感じている。 しかし、オリビアが聖女に選ばれてから会える時間が減っていく。それに対してアルフィは不満でした。オリビアも彼といる時間を大切にしたいと言う思いでしたが、心にすれ違いを生じてしまう。 そんな時、オリビアは過密スケジュールで約束していたデートを直前で取り消してしまい、アルフィと喧嘩になる。気を取り直して再びアルフィに謝りに行きますが……

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

処理中です...