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しおりを挟むトレイシーに踊らされて、ミュリエルが恥をかかないためにと色々言ってくれていたというのに酷いことを言って傷つけてしまったオリーヴは、周りにいる令嬢たちの助言を元にようやく謝罪の手紙をミュリエルに出すことができた。
オリーヴは、それからそわそわとしていた。それを見ている令嬢たちも変に励ますわけにもいかず、気をそらさせるわけではないが、それによって疎かになっていることを思い出させながら、男爵令嬢に寄り添って過ごしていた。
どうにも、こうだと思ったら、とことんな性格をしているのが、オリーヴという令嬢よようだ。器用ではないところもまた、世話をやきたくなったミュリエルの気持ちがわかってしまい、オリーヴの周りには彼女を気にかける者が常にいた。
そうさせる素直さが、彼女にあったからなのが大きかった。どこかの誰かさんとは、全然違っていた。ミュリエルが、何度も注意していたのは、それをしたら素敵な令嬢になると思っていたのもあり、それがわかったからこそ、周りも同じようにしていた。
しばらくして、オリーヴのところにミュリエルから返事が来たようだ。これまたわかりやすいことにオリーヴは、泣きながら令嬢たちに話をしてくれて周りも喜んだ。
「ゆ、許してもらえるどころか。あんな、お優しい手紙をもらえるなんて思わなくて……」
「ミュリエル様は、お優しいもの」
「そうよ。だからこそ、恥をかかせたくなくて厳しくおっしゃっていたのよ」
それを聞いて、オリーヴはこくこくと頷いた。トレイシーが、姉は悪くないと泣いていた時の嘘くささは欠片もなかった。それが、彼女が他の令嬢たちに好かれる理由だ。本心でそう言って泣いているのだ。
「よかったわね。ほら、泣かないで」
「そうよ。私たちが泣かせてるみたいだわ」
そんな風に和やかに話していたところを見ている者がいた。
それこそ、そんなことで許されたと周りと一喜一憂しているのをトレイシーは呆れて見ていた。だが、そんな彼女を見て、どれだけの人たちがまだやっているのかと思っていることには全く気づいていない。
オリーヴのことをどうこう言えるような令嬢ではない。以前よりも更に酷い存在として、更に下があるのかと思えるほどになっていた。トレイシー以上に面倒くさい令嬢はいないかのようになっていた。
それにすら本人は全く気づいていないが、王太子が日に日にやつれていっているのにも気づいていない。
そんな王太子に不用意に近づいたら、トレイシーに威嚇されるというか。目の敵にされるため、誰もそこまでして気遣うことはしなかった。
こうなった相手に謝罪すらしていない人物を許す気にならないからなのも大きい。
そんな彼女が、姉と同じことを婚約者に言われる日が来るとは思っていなかった。
「トレイシー。君との婚約を破棄にして、彼女と婚約することにする」
「っ!?」
それは、もうじき1年が経とうとしているミュリエルにしたことと同じことだったが、王太子は藁にもすがる思いで、それを口にしていることを誰も知らなかった。
王太子はトレイシーより酷い目にあうはずがない。そんな思いがあってしたことだが、そんなわけがないことをこの時は知りもしなかった。もっと最悪な方向に突き進むことになったと思ったのは、それを見ていた面々だ。
「あの方が王太子なのも、もうすぐ終わりが見えそうだな」
「よりにもよって、あの女を選ぶとはな」
「前の男爵令嬢より酷いよな」
「それは比べる方がおかしいだろ。あの令嬢は、まともになっただろ」
そんなことを言われていても、王太子はトレイシーをどうにかできたことに浮かれていてま、るでわかっていなかった。
ただ開放感に笑顔となっていて、親の敵のように殺気だつトレイシーを見てもいなかった。
「人を殺せそうな顔をしているわね」
「あんな形相それているのに気づいていない王太子も凄いけど、あんなのを更に選ぶ方だと思うと納得してしまうわね」
「そうね」
そこから、すんなり婚約破棄などする気のないトレイシーが怒鳴り散らしていたが、王太子はもう婚約者ではないとばかりに素気なくしていて、新しく婚約した令嬢も……。
「破棄されたのに受け入れられないって、見ていられないわ」
「な、何ですって!?」
日に油を注いでいたが、トレイシーのことなど怖くもなさそうにしていて、貴族となって間もない令嬢は怖いもの知らずなことばかりをしていて、トレイシーを煽りに煽っても負けてはいないのに見ていると者たちは感心していいのかがわからなくなっていた。
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