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しおりを挟む次の日の昼頃に国王から呼び出されて、両親は出向いて謝罪されたが、その時に公爵令嬢だったペルマは姿を見せなかった。
ペルマは破棄されたとして、両親から公爵家の恥さらしだと即座に勘当されてしまったのだ。
ならばと隣国の子供のいない叔母夫妻は自分たちの養女にすると朝早くに公爵家を出発したため、国王の呼び出しも知らなかった。
用意周到に叔父様が持参していた書類に父がサインしてくれたので、隣国に着くなり正式に受理された。
毎回、会う機会があるたびに養女に出来ないかと書類を持ち歩いていたらしい。
叔母だけが、姪バカだと思っていたら、叔父も中々の義姪バカだったようだ。
「あぁ、やっと、あなたを義娘に出来たわ」
「旦那様。国王陛下より、戻り次第、登城しろとのことです」
「は?」
「義娘を紹介しろ。ちゃんと連れて来い。王妃が暴れる前に……だそうです」
「あぁ、義姉上か。それは、行かなくてはな」
「あら、王妃様が、ご存じなのね。ペルマちゃん、着替えなくては……」
何というか、みんなフレンドリーの感じがした。
(それに比べて、17歳の特別な誕生日を台無しにされた娘を婚約破棄された恥さらしでしかないと思うなんて……。やっぱり、私のこと、娘というより、使える駒としか思ってなかったのね)
王宮に住むことになり、滅多に会えない娘の誕生日パーティーも、祝うためより見せびらかしたかっただけのようだ。
(そういえば、結局、おめでとうとは言ってくれなかったわね)
あちらの国王から、養女となった私に正式に会って謝罪したいと言って来たのを拒否した。
あれだけのことをしたのに第一王子のステオスと男爵令嬢のフォセカとの婚約を許したのだ。
聖女となる令嬢との婚約のチャンスは逃せなかったのだろう。
あくまでも、憶測であって、正式の神殿の通知も何もなかったことなのだが、ただの噂話を信じているのだ。
(素質があるとわかっていたら、とっくに教育を開始していなきゃ、聖女の力を習得するまで、どれだけかかることか。王子妃教育よりも、厳しいというのにね)
ペルマ以外の聖女候補たちも、王子の妻になる教育からは辞退出来ても、素質ありとされたら聖女の勉強をしないわけにはいかない。片方だけでも、とてつもなく大変だ。それを両立出来た者は一握りもいない。
聖女の認定式が行われた。だが、聖女として選ばれた者は一人もいなかった。いないどころか、聖女だと光るはずの水晶が、フォセカの時にはどす黒くなったことでどよめきが起きた。
「なんてことだ。水晶が黒く染まったぞ」
「あれが、候補だったのか?」
「いや、神殿からの通達は何もなかったそうだ」
「は? そうなのか?」
「そもそも、通達があれば、とっくに聖女としての勉強をしていなくてはならないはずよね?」
「えぇ、やはり、あれは、あくまでも噂でしたのね」
未だかつて水晶を黒く染めた娘はいない。よほどのことだ。内面の清らかさが反映されるとか、言われていた頃もあったが、あの水晶が読み取るのは心だ。
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