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マルジョリーの婚約者だった子息は、マリユス・ジオネと言う名前の顔だけはいい男だった。
マルジョリーが、見初めたわけでもなければ、見初められたわけでもない。
全ては勘違いから、婚約することになったのだ。それもありえないことだが、マリユスとではなくてマルジョリーの両親は彼の弟と婚約させようとしていたのを彼の両親は見た目がいい方の息子と婚約したいのだと勘違いしたのだ。
マルジョリーの家はマルジョリーが跡を継ぐことが決まっているため、跡を継ぎとなっているマリユスと婚約なんてさせるわけがないのだが、あちらはそれを全く知らずに手続きにはなれているからとしてくれたことで、気づいた時にはマルジョリーはマリユスと婚約させらていた。
それを知ったブリジットは……。
「マリユス様と婚約するなんて、マルジョリーが羨ましいわ」
本当にそう思っているかのようにマルジョリーに行って来た。マルジョリーにそんなことを言って羨ましがるのは、ブリジットのようにイケメンを婚約者にと思っている令嬢ばかりだった。
「どうやって、婚約させてもらったの?」
「え、ど、どうやってって、何が?」
「惚けないでよ。マルジョリーみたいな地味で冴えない令嬢が、あんなイケメンと婚約できるなんて親に頼み込んだんじゃないの?」
「……」
そう言って来たのは、ブリジットではなかった。流石にブリジットは、マルジョリーに直にそれを聞いては来なかったが、周りには両親がマリユスの家で何かしたに違いないかのように言っていたようだ。
何かしたのは、向こうだ。勝手に勘違いしたのだ。
マリユスは、両親が勘違いして婚約させたとわかっていながら、そのままにしたのは婚約したがる令嬢たちが多いせいが大きかった。
おかげで、マルジョリーはマリユスの浮気相手の令嬢たちにどれだけ意地悪いことをされてきたことか。
「何で、あなたみたいな地味なのを婚約者に選んだのかしらね」
「信じられない。こんなのに私が負けるなんて」
「あなた、彼のことを脅したの?」
そう、1人になれば、それを見計らったように嫌味を言われた。それが嫌なのもあり、マルジョリーはそんなことを言わない令嬢たちといるようにしたが、それがブリジットの悪口を聞くことになってしまって、マルジョリーには居心地のよい空間はルシス国の学園には少なかった。
そのうち、あからさまな浮気が目立つようになっていった。
「その日は、出かける」
「……」
先約があると言っても婚約したのだ。その自覚が全くないマリユスは、浮気相手との先約を優先し続けて、誰と出かけるとも言わずにそんなことを言うせいで、断られた浮気相手たちは、マルジョリーと出かけるのに忙しいとみんな勘違いしたのだ。
勘弁してほしい。マルジョリーは、婚約してからマリユスと出かけたことなどない。そうないのだが、浮気相手たちはみんな婚約者が独占していると勘違いして、マルジョリーの話を全く聞こうともしなかった。
それは、ブリジット以上に煩わしいものだった。一対一ならまだしも、浮気相手が複数いるせいで、ブリジットのようなのが何人もいるかのようになっていて、それにどれだけ迷惑と苦労をさせられてきたことか。
そのうち、マリユスの母親にこんなことをマルジョリーの母親が言われ始めたのだ。
「婚約したからって、息子に強請りすぎではないかしらね」
「え?」
「あら、ご存じないの?」
そこから、ネチネチとマルジョリーの母は、嫌味を言われたようだ。
「マルジョリー!!」
「……はい?」
その日、怒り心頭でマルジョリーの母が帰って来て、マルジョリーはいきなり怒鳴られることになった。
「……つまり、マリユス様のお母様が私が婚約者に物を買わせすぎていると?」
「そうよ!」
「あの、私、未だに何一つ買ってもらったことがありませんけど?」
「は? 毎週出かけているのではないの?」
それを聞いてマルジョリーは、呆れた顔をしてしまった。母が1番マルジョリーが何をしているかを知っているはずなのにおかしなことを聞く。
「毎週って、お母様。私、休日はお母様と刺繍をしたり、お菓子を作ったりしているではありませんか」
「あら、そうね」
「……」
この母は天然なところがある。マリユスに言われるままにその通りだと思い込んで帰って来たようだ。
そんな母にマルジョリーは、ため息をつきたくなった。
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