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そんなことがあって、幼なじみに巻き込まれて留学したのだ。
巻き込まれずにルシス国にいたら、別の厄介ごとにマルジョリーが巻き込まれていたことを知って、ゾッとしてしまった。
そういえば、久々に戻って来たマルジョリーに両親が何か言いたげな顔をしていたような気がするが、幼なじみと元婚約者のことだったのかもしれない。
それこそ、幼なじみが彼女の母親そっくりだとようやく気づいて、留学させたのもまずかったのかもしれないとか。あちらも、色々と考えてマルジョリーに何と説明していいかがわからなかったのかもしれない。
そんなことが初日にあったマルジョリーは、本物の友達だと思っていた面々が、ウージェニーのしていることを馬鹿にしきって頭がおかしいと言っているのに耐えられなくなったのも、すぐだった。
それだけでなくて、マルジョリーはマリユスの弟のリオネル・ジオネになぜかつきまとわれていた。
「マルジョリー嬢、ここにいたんですね」
「……何か?」
「いえ、いつも一緒にいる令嬢たちが見かけていないと言うので、心配になって」
「用事でも?」
「いえ、ただ、勝手に心配しただけです」
「……」
留学から戻って来て、そんな感じでマルジョリーは眉を顰めたくなることが増えた。
まぁ、そのおかげで友達だと思っていた令嬢たちも、できれば遠慮したい令嬢たちも遠慮してマルジョリーの側にいないようになり、リオネルの相手をさせられることになってマルジョリーはげんなりしてしまった。
マリユスと婚約していた時は、マルジョリーに挨拶一つきちんと返したことがなかった。ずっと無視していたのだ。それが、どうして何もなかったかのようにつきまとうのかがマルジョリーには全くわからなかった。
それこそ、何か重くもない物を持っていれば……。
「マルジョリー嬢。私が持とう」
「結構です」
素気なく断れば、リオネルはしょんぼりとした。
「マルジョリー嬢」
「ご要件は?」
「あ、いや、その……」
「ないのなら、行きますね」
そんなことを繰り返すうちに周りから……。
「マルジョリー。あれじゃ、可哀想よ」
「そうよ。あなたたち、婚約したのでしょう。いくら、元婚約者が酷いことをしたとしても、彼の弟でも、新しい婚約者には関係ないじゃない」
令嬢たちに取り囲まれてマルジョリーは、一瞬何を言われたのかがわからなかった。……というか、聞き間違えたと思いたかった。
「……待って。誰が、婚約したの?」
「あなたとリオネル様よ」
他の令嬢たちも、そうだとばかりに頷いていたり、非難めいた目を向けられていた。最近、マルジョリーが話しかけても面倒な人に話しかけられたとばかりにされていた理由は、これのせいだったようだ。何とも頭の痛いことが起こっていたようだ。
「は? 違うけど」
「え?」
「違うの?」
「違うわ」
「でも、婚約したのでしょう?」
「えぇ、したけど」
「マルジョリー」
「え?」
そこにマルジョリーは婚約者の声がして驚いて、そちらを見た。
「グウェナエル様……?」
「ふふっ、うん。驚いた?」
そこには、ダサい格好ばかりしていた子息とは見違えるほど素敵な人がいた。声は婚約者のもので間違いようがないが、見た目の変わりっぷりにマルジョリーは目を見開いて驚いてしまった。
でも、格好良さよりもルシス国にいることに驚いた。
「なぜ、こちらに?」
「留学しに来た」
「そうでしたか」
「君のご両親にも挨拶したくてね。第1印象が大事だとイメチェンさせられた。母上と従姉妹たちにおもちゃにされたが、どうかな?」
「おもちゃですか。大変でしたね。でも、とてもお似合いです」
「ふふっ、うん。マルジョリーが、そう言うならいいや」
グウェナエルは、思い出しただけでげんなりするようだが、マルジョリーがわかってくれて似合うと言うなら、それでいいかのようにした。
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