イケメンと婚約したい幼なじみは、私の悩みを欠片もわかっていなかったようですが、彼女の強引さのおかげで私は幸せになれました

珠宮さくら

文字の大きさ
7 / 12


「マルジョリー。こちらは?」
「こちらは……」


令嬢たちが目を輝かせてグウェナエルを見ていた。グウェナエルは、ようやくマルジョリー以外にも人がいたのかと言う顔をしていた。

それに気づいたマルジョリーは苦笑しつつ、彼を紹介しようとしたのだが……。


「マルジョリー嬢!」
「……まだ、何か?」


そこに走って来たらしいリオネルがやって来た。


「私の婚約者に何か?」
「「は?」」


リオネルは、マルジョリーの前に立ちはだかって、グウェナエルにそう言ったことにマルジョリーとグウェナエルは同じことを言っていた。


「私の婚約者……?」
「ちょっと、何を」
「マルジョリー嬢は、黙っていてください」
「マルジョリー。これは?」
「元婚約者の弟です。あの、私の婚約者は、こちらにいるグウェナエル様です」
「なっ、何で、そんな酷いことを言うんですか!」
「酷い?? そちらこそ、とんでもない勘違いをしてつきまとうのはやめてください」
「でも、あなたは、兄とではなくて、私と婚約したかったんですよね?」
「どなたに聞いたのか知りませんけど、あなた父君が婚約する相手を間違えただけです」
「なら、今からでも私と婚約すればいい」


どうやら、兄より自分と婚約したがっていたと思い込んでいたようだ。


「今からって……」
「それ、私に喧嘩売ってるのかな?」


それまで黙っていたグウェナエルがにっこりとしていたが、その目が怖かった。


「婚約者の目の前で、よくそんなことが言えるよね」
「っ、どうせ、兄みたいに見た目だけで、浮気三昧してマルジョリー嬢を悲しませるに決まっている。そんな男より、私の方が……」
「決めつけるな」
「っ、」
「これまで、散々不愉快な言葉を聞いて来たが、今のが一番不愉快だ」
「グウェナエル様……?」


マルジョリーは彼が怒っている姿を見たのは初めてだった。


「そもそも、婚約者がいるというのにつきまとっている時点で、お前の兄と何が違うんだ?」
「それは、その、婚約したとは聞いていなくて」
「……そうなのか?」
「そのつもりでつきまとわれているとは思わなくて」
「マリユス様!!」
「っ、」


そこにウージェニーが現れた。しかも、ややこしいことにリオネルのことをマリユスと呼んだのだ。


「やっぱり、みんな嘘ばっかり。謹慎か解けたのですね」
「ひ、人違いだ」
「え? でも……」


グウェナエルも、よくわからない顔をしていたが、ことの成り行きを見ていた。

マルジョリーたちも、ウージェニーが婚約したがっていたのが、こっちだったのかと思い始めていた。


「頭、おかしいんじゃないか? みんながそう話しているぞ。私は、リオネルだ。マリユスは兄の名前だ」
「え? ですが、あなたが……」
「煩い! 今、大事な話をしているんだ!!」
「っ!?」


リオネルは、怒鳴りつけてウージェニーを思いっきり突き飛ばした。


「ちょっ、何をするの!」
「そんなイカれた女なんか、構っていられない」


マルジョリーは、尻もちをついたウージェニーの側に駆け寄った。先程までと打って変わって、その姿はマリユスを彷彿とさせた。

似ていないと思っていたが、似ていないことはない気がする。


「……あなた、もしかして、私が彼と婚約している時も同じことしていたんじゃない?」
「は? あなたまで変な言いがかりは……」
「そうよ。その男は、お兄さんのふりして付き合っては、本物が勘違いしてモテていると思って付き合うきっかけを作ってたのは、みんなそいつよ」


どうやら、リオネルはマリユスが浮気しまくっていると印象付けて、マルジョリーとの婚約をなしにして、自分が婚約するはずだったのを正そうとしたようだ。

それが、拗れに拗れてしまい、マルジョリーが留学したがマリユスが色々とやらかしてくれたおかげで、家を勘当されることになり、喜んでいたところにマルジョリーが戻って来た。

そこで、今度こそ本当に婚約しようとしていたようだが、マルジョリーが婚約したのを知らなかったようだ。

何ともややこしい転換にマルジョリーだけでなく、聞いていた周りも頭を抱えたくなった。


あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に

ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。 幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。 だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。 特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。 余計に私が頑張らなければならない。 王妃となり国を支える。 そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。 学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。 なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。 何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。 なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。 はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか? まぁいいわ。 国外追放喜んでお受けいたします。 けれどどうかお忘れにならないでくださいな? 全ての責はあなたにあると言うことを。 後悔しても知りませんわよ。 そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。 ふふっ、これからが楽しみだわ。

必要とされなくても、私はここにいます

あう
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスのもとへ嫁ぐことになったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、理想の妻になろうとも、誰かの上に立とうともしなかった。 口出ししない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 ただ静かに、そこにいるだけ。 そんな彼女の在り方は、少しずつ屋敷の空気を変えていく。 張りつめていた人々の距離はやわらぎ、日々の営みは穏やかに整いはじめる。 何かを勝ち取る物語ではない。 誰かを打ち負かす物語でもない。 それでも確かに、彼女がいることで守られていくものがある。 これは、 声高に愛を叫ばなくても伝わる想いと、 何も奪わないからこそ育っていく信頼を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。 三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。 だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。 レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。 イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。 「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。

婚約者の家に行ったら幼馴染がいた。彼と親密すぎて婚約破棄したい。

佐藤 美奈
恋愛
クロエ子爵令嬢は婚約者のジャック伯爵令息の実家に食事に招かれお泊りすることになる。 彼とその妹と両親に穏やかな笑顔で迎え入れられて心の中で純粋に喜ぶクロエ。 しかし彼の妹だと思っていたエリザベスが実は家族ではなく幼馴染だった。彼の家族とエリザベスの家族は家も近所で昔から気を許した間柄だと言う。 クロエは彼とエリザベスの恋人のようなあまりの親密な態度に不安な気持ちになり婚約を思いとどまる。

気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。 「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」 ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。 本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。

愛する人のためにできること。

恋愛
彼があの娘を愛するというのなら、私は彼の幸せのために手を尽くしましょう。 それが、私の、生きる意味。

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。