姉の歪んだ愛情に縛らていた妹は生傷絶えない日々を送っていましたが、それを断ち切ってくれる人に巡り会えて見える景色が様変わりしました

珠宮さくら

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両親は、ジャイニのシスコンっぷりを目の当たりにして、必死になってシータを止めた。それは、今まで見たことがないほど、必死な態度にシータの方がたじろぐほどだった。


「え? でも……」


一緒にジャイニといるのは嫌だけど、この家との縁を切ることになる。それだけでも、めっけもんみたいに思っていたが、あちらはシータはどうでもよくても、ジャイニがこの家こら出て行かれることが心配でならないようだ。


「いいのよ。シータ、ここにいて、ちょうだい」
「そうだ。シータ。ここにいてくれ」
「……」


そんなことを言われたことのないシータは、気持ち悪いと思わずにいられなかった。そんな縋り付くような態度も、声音も初めてでシータは眉を顰めずに入られなかった。

そんなこと言われることはないだろうと思っていたのが、嘘のようにあっさりととこれまでと真逆にシータを引き止める姿に形振りに構っていられないのはわからなくもないが、これまでのことをまるで何もなかったかのようにする両親の態度に何とも言えない顔をしてしまった。


「あなたが、いてくれないと困るのよ」
「私たちのためと思って、ここにいてくれ」
「……」


両親は理解したのだ。ジャイニにとっての世界の中心が、シータなのだと。

だから、シータが行くところにジャイニはどこへなりとも着いて行く。それが、たとえ地獄であろうとも、シータの行くところなら、どこでもいいのだ。

でも、シータは急に優しくなった両親に何とも言えない顔をした。


「シータ。どうする?」
「えっと」


ジャイニは、シータがどうしたいかを聞いてきた。

両親は、目力でシータにこの家にいると言わせようとしていた。これは、初めてのことだった。物凄く気持ち悪いし、怖い。

それこそ、散々言いたい放題していた両親が、コロッと翻したのだ。それに何か言ってもいいところだが、シータはそんな令嬢ではなかった。そんなことして、ジャイニのいないところで、倍返しにあうだけだ。

ずっと考えて、着々と準備していたことをシータは口にすることにした。そう、修道院に心惹かれたが、家を捨てるよりも、もっとしっかりとこれまでのこともあったのだが、利用できるところは利用して過ごすことにした。


「……お姉様」
「なぁに?」

シータに名前を呼ばれて、ジャイニは嫌な顔をしたことは一度としてない。嬉しそうにするのだ。その顔すら、シータは嫌いだと思うようになっているとも知らず、姉は笑顔だった。

もう何をしても、姉のことを受け入れられそうもなかった。名前を呼ばれることにも、言葉を聞くのも、側に寄られるのも、ぞわぞわして気分が悪くなる。


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