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しおりを挟む「っ、」
「危ないぞ」
「す、すみません」
「……やめろ」
「??」
シータは、留学先でも転びそうになったが、それを腕を掴まえて転ぶのを阻止してもらえた。
それはよかったが、掴まえて支えてくれた人物は何かに怒っていた。
それにシータは首を傾げた。それは、祖国でもよく足元を掠めていたものと同じだったが、まるでそれが何かを知っているかのように彼は、そちらを見て怒っていた。何もシータには見えなかったが。
「……もう、大丈夫だ」
「ありがとうございます」
「ずっと、あんなのに付きまとわれているのか?」
「? すみません。あんなのって?」
「転んでばかりいたのではないか?」
「確かにそうですけど」
シータは、何を言いたいのかがわからずに首を傾げるばかりだった。
ちょっと気味悪いところがあったが、長年ジャイニに色々誤解させるようなことをされてきたこともあり、彼を姉やそれまでいた周りのように何とも言えない顔をして見ることはなかった。
「もう、大丈夫だ。安心していい」
「はぁ」
よくわからないが、その人物の言う通りにシータが転ぶことは、それ以降なくなった。
「ドジが治った??」
だが、その代わりジャイニが転ぶようになったことをシータが知ることはなかった。
助けてくれたのは、この国の王太子であるアトゥルだった。その出会いによって、シータは興味を持たれて、婚約することになったのだが、なぜよく転んでいたのかを知っているであろうアトゥルにシータが、その辺のことを詳しく聞くことはなかった。
時折、鋭い視線を色んなところに向ける王太子を不思議そうにして見ていたが、何を見ているのかとシータが聞くことはなかった。
「……懲りないな」
シータは自分が呪われていたことも、隙をついて呪おうとされていることにも気づくことはなかった。
王太子は、それが誰からの呪いなのかに気づいていたが、シータに話すことはなかった。
そう、シータがよく転ぶようになった頃から、シータはジャイニに無意識に呪われていた。転びまくっているシータの側に自分がいられるようにするためにあんなことをしていたのだ。
そんなことをしているジャイニ本人も、自分がそんなことをしている自覚か欠片もなかったため、側にいるのに丁度よかったと思われている程度でしかなかった。
だが、それを見破られたことでジャイニ本人のところにその呪いが返っていることにジャイニは気づくことはなかった。
シータもそれをアトゥルがしていることを知ることもなかったのは、アトゥルがシータを怖がらせたくなかったのとそれを知ったら、シータが今度はジャイニに同じようなことをし始める可能性があると思ってのことだ。
婚約者にそんなことをさせるわけにはいかなかった。だから、必要ではないと判断して話すことはなかったのだが、シータが同じことをしそうもないと後々気づくことになって、シータのことを益々、アトゥルが気に入ることになることになるとは、この時は思いもしなかった。
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