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しおりを挟む「何、あれ」
「あの令嬢、お姉さんにそっくりみたいね」
「っ、」
カルニカは、周りから姉にそっくりだと言われて、悔しそうにしていた。それをまずいと思ったようだ。その辺は姉をはめようとするだけはある。
それを見ているプリシャは、何とも言えない顔をしていた。
「な、何よ! それなら、そう言ってよね。紛らわしいわよ」
プリシャが、さも勘違いさせたかのようにするのにすら、お姉さんそっくりだと思うだけだった。
この姉妹にとっては、プリシャはそういう令嬢だと思っていたようだ。
「何の話だ?」
「っ、!?」
「ラージ、お前、何でここに……?」
「留学から早めに戻って来た。プリシャ、悪かったな。従兄の案内を任せてしまった」
「いえ」
それこそ、戻って来ていて婚約者に従兄の案内を頼まれていたとわかり、更にカルニカは顔を赤くした。
そんなことどうでも良さげにして、サンジャイは口を開いた。
「それで、私は名乗ったが、そっちは名乗る気はないのか?」
2人は、サンジャイにそう言われて慌てて自己紹介をした。
プリシャは、何とも言えない顔をして、それを聞いていた。もはや幼なじみが遠い存在になっていた。幼なじみと言っても、もはや友達ではなくなっていた。カルニカに謝罪されても、前のように仲良くしたいとは思わなかった。
「それだけか?」
「「え?」」
「散々、好き勝手なことを言っていただろ? 従兄の婚約者が、私と浮気しているかのように責め立てていたではないか。それについて謝罪はないのか?」
サンジャイの言葉にラージは、眉を顰めた。
「何の話だ?」
「ご、誤解しただけです!」
「だとしても、謝罪すべきだと思うが?」
「そんな、プリシャとは幼なじみですし、許してくれるわよね?」
何とも軽く言われた。謝罪の言葉なんて、そこにはなかった。幼なじみなら、許してくれると本気で思っているようだ。だから、何を言っても許されるわけではないはずなのに。
「カルニカ。サンジャイ様にも、そんなことをしている子息と怒鳴りつけたようなものなのよ? そんな態度で、私が許したら、あなたと同罪になるわ」
「そんな、大袈裟よ」
プリシャは、幼なじみが別人に思えてならなかった。シーラと話している時と同じような感覚がしたのだ。元よりこういう性格をしていたのだとすれば、よく隠せていたものだ。
「どこが、大袈裟なんだ? 従兄が浮気しそうな顔なのはおいておいて、私の婚約者を侮辱しておいて、その態度はなんだ?」
「っ、ラージ様。ただの行き違いなだけです!」
「おいおい、浮気しそうな顔って、酷くないか? 私は、これでもフリーなんだぞ」
「え?」
「ん? どうした?」
「あ、いえ、婚約なさっているのかと思って」
「あぁ、最近までしていたが、あちらに本命ができたらしくて、あっさりフラレてしまった」
「っ、!?」
ジテンドラは、それに驚いていた。どうやら、まだ婚約していると思っていたようだ。
従兄弟たちは、それにアイコンタクトをしたがプリシャは何とも言えない顔をしたままだった。どうなるかなんてプリシャにはあまり興味なかった。ただ、幼なじみにこんな扱われ方をするのにいたたまれなくなっていた。
「カルニカ。君が、そんな令嬢だと思わなかった」
「え? ジテンドラ様……?」
「プリシャ嬢、すまなかった」
ジテンドラが謝罪してくれ、サンジャイたちにも彼は謝罪して、カルニカを見た。まともな子息がすることをしていた。でも、彼の頭の中は本命と幸せになるために必要なことでしかなかった。
「君とは、この場で婚約破棄する」
「っ、そんな、」
「こんなことをする令嬢だとは思わなかった。君は、お姉さんにそっくりすぎる。とても残念だ」
「なっ、あんなのと一緒にしないで!」
カルニカは、その後、喚き散らしていたが、その姿はシーラにそっくりだった。
だが、それを見てプリシャは何とも言えない顔をするのをやめられなかった。
左右の婚約者とその従兄は、ムッとしたまま楽しそうにしていて、これまた真逆な性格を物語っていたが、プリシャは見ていなかった。
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