双子の妹は、この世界の主人公は自分だと思い込んで邪魔な姉を利用しようとしていましたが、異常な行動をしていたのは他にもいたようです

珠宮さくら

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レオノーラは、1年越しに留学することになった。

オリヴァーとか言う伯爵子息に上から目線で色々言われることになったが、あまりに腹が立って物申した。

もっとも、彼が伯爵子息だとか知らなかったから、後からやってしまったと後悔していたが、色々言って来たのが隣国の伯爵と聞いてびっくりしてしまったのを今も覚えている。

父はレオノーラから何があったかを聞いて激怒して、伯爵がすっ飛んで来てオリヴァーと一緒に謝罪して、息子を連れて帰って行った。

どうやら、留学して来ていた子息の従兄だったらしいが、レオノーラはその人物のことをそういえばそんなのがいたな程度までしか思い出すことはなかった。

そして、侯爵夫妻は娘が留学したがるのを止められずに心配そうに見送ってくれたのが、レオノーラは、不思議でならなかった。

叔母である公爵夫人がレオノーラのことを出迎えてくれて、そこから学園に通うことになった。

学園の門番がレオノーラを見て、ちょっと驚いたような顔をしていたが、レオノーラはなぜなのかがわからないまま、着たくてたまらなかった学園に通うことになって嬉しそうにしていた。

だが、そこにいたオリヴァーの言っていた留学生だったリーヴァイが、レオノーラのことを留学してから何かと見ていたことで、彼の婚約者の令嬢が誤解するには十分な視線を向けていた。


「え? 婚約解消したい?」
「はい」
「な、なぜ?」


リーヴァイは突然、婚約者からそんなことを言われてぎょっとした。彼には、心当たりなんてなかった。


「なぜと私に聞かれるのですか?」


何やら物凄く悲しげでいて、怒っているように見える婚約者にリーヴァイはムッとした。


「言ってくれなければわからない」
「……なら、無意識ということですね」
「?」


無意識に見てしまうほど、レオノーラのことを好きなのだと勘違いして彼女は、婚約を解消したいと言い続けることをやめることなく、そこからよく口論するようになった。

レオノーラは、そんな2人のことを不思議そうに見ていた。


「また、やっているみたいね」
「あんな求婚したのにわからないものね」
「あんな求婚?」


レオノーラは、そこでリーヴァイたちがしばらく前まで仲睦まじくしていて、羨ましがられていたと聞いても想像できなかった。

レオノーラの知っている2人は、いつも言い争っていたからだ。それにオリヴァーと似た子息に嫌なことを思い出しそうで、関わらないように距離を置いてばかりいた。

指輪をラフール国に留学しに行ってまで買ったという話にレオノーラが思ったのは、こんなことだった。


「留学している間にそんなことしている子息と婚約したいとは思わない。そんな不純な動機で留学している時に買ったものを貰ったものなんて私なら、ちっとも嬉しくない。指輪を買いたいがために留学するなんて論外だけど、ここでは違うのね」
「「「「「……」」」」」


レオノーラの言葉に令嬢たちは、無言になった。


「どうかした?」
「ううん。あの、レオノーラ様の言う通りだなと思って」
「?」
「あの時は、留学しに行っていたことより、わざわざ隣国に買いに行ったと思ってしまったけど」
「よく考えたら、不誠実もいいところよね」
「そうよね。それを羨ましがるなんて、どうかしていたわ」


みんな、レオノーラの言葉にリーヴァイを見る目が変わっていった。あの令嬢を羨んでいたのが嘘のように可哀想な目を向けるようになるまで、そんなに時間はかからなかった。

それも相まってか。2人の婚約は解消ではなくて、破棄されることになった。

リーヴァイの方は、令嬢が心変わりしたのだと思って解消ではなくて破棄にしたのだが、彼女がどんな思いで婚約を解消したいと言ったのかまでわかっていなかった。


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