私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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そんなことがあってから、歳の離れた姉は益々妹のことを嫌うようになっていた。

みんながみんなルシアの心配ばかりするようになったからのようだ。それに友人知人も、妹が大怪我を負ったのを目の当たりにしながら、婚約者と外に出かけに行ったことを知って以来、人が離れていっているようだ。

もっとも、元から性格に難がありすぎて、近い友達なんて一人もいなかったようだが、その辺のこともルシアは詳しくは知らなかったが、バレリアを改めて思い返すとあの性格からして友達がいたら、家にずっといたりせずに出かけていた気がする。

もしかすると婚約者と出かけることを楽しみにしていたのかも知れない。それが、たとえ妹が死にかけるようなことがあった後であろうとも、異性と出かけてみたかったのかも知れない。

それこそ、そんな日に出かけたことが知れ渡って何でもない日に出かけるたびにひそひそと囁かれることになろうとも、構わないくらいに出かけてみたかったとすれば、ルシアは何となくわかるような気はしてきた。本当に何となくではあったが。

だが、そんなことを深く理解してわかろうとすることもないのかも知れない。非常識なことに間違いはないのだから、離れていくことになるのも無理はないはずだ。


(そんなのと友人だと思われたら、何を言われるかわからないものね。……というか、お姉様の私に対してやることなすことを覚えているけど、それを思い返す限りは、元々友達なんていたのかも疑問なのよね。一回り近く歳の離れた妹におんなにも大人げない態度を取るような姉だもの)


今は7歳だが、ルシアはそんなことを思ってしまっていた。ルシアが原因なだけでなくて、やらかしたレベルの度を越しすぎた結果に過ぎないと思うのは、ルシアだけではないはずだ。

そこに行き着かないところが、これまた婚約した二人はそっくりなようだ。

姉の婚約者のバルトロメも、周りが離れて行ったのも、ルシアのせいだと思っているようなのだ。ただの顔合わせのはずなのに散々なことになり、仕切り直そうとして、その日の予定を他にあてただけに過ぎなかっただけなのに信じられないことをした人でなしのように言われることになったのだ。

もっとも、別の日に仕切り直して、自慢話と同じように最初から変わり映えしないことを言うつもりだったようだ。それこそ、彼の自慢できる話の持ちネタなんて、その程度しかなかったのだ。

彼は両親が理解してくれると思っていたようだが、息子を理解するどころか。怒鳴りつけられたのだ。姉と弟からも、ボロクソに言われることになり、バルトロメはふてくされることになるのも、すぐだった。


「全く、自己紹介も済ませずに土産を自慢して、医者でもないからと帰ろうとするとはな」
「別に自己紹介などしなくとも、私のことを知らない者なんていませんよ」
「そういう問題ではない」
「大体、用意した服を着ないで、あんな格好で行くなんて……」
「丁度よかったんですよ。あの後でバレリアと出かけることになったんですから」


そのせいで、目立ちまくることになり、バレリアの妹が大怪我を負ったのに楽しげに出かけている姿を多くの者に目撃されることになったのだ。

バルトロメが目立つ格好をしていなければ、ここまでにはならなかったことに彼は全く気づいていなかった。元より自分が目立つ格好をしているせいで、嫌でも印象に残るだけであって、他に大した特徴がそもそもないのだ。それに彼は気づいてはいなかった。

そのため、何度となくバルトロメは両親や姉と弟に散々なまでに言われることになったのだが、その意味合いをちゃんと彼が理解できることはなかった。欠片も何を言われているのかがわからないほど、何が悪かったのかを察せない男だった。

バルトロメの家は、息子がとんでもないことをしたことを知って、ルシアへ見舞いの品を送ってくれていた。

そして、少し経ってから丁寧にわざわざ来てくれて、ルシアは謝罪までされることになったが、バルトロメはそんなことをなぜするのかと不満そうにしているのを隠そうともしていなかった。

どうやら、不満な態度を隠すこともできない人のようだ。


(大人げないな。そんなのが、跡継ぎなのね。もう一人息子がいるようなのに。どうして、そのままにしてるんだろ?)


ルシアは、姉の婚約者で、この家より格上なところだからと大人の対応をする気はなかったが、7歳児の令嬢でもできることが一回り近く違う面々が全くできないことに何とも言えない顔をしていた。


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