私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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バレリアが浮かれていられたのも、大体数時間だったようだ。凄く浮かれていたバレリアは、散々な目にあうことになったのだ。


「そんなこともできないの?」
「っ、」


バルトロメの家で、彼の母親と彼の姉に何かと言われることになったのだ。それこそ、完膚なきまでに叩きのめす気のようだ。

多分、長居してほしくはないからだろう。


「何度も同じこと言わせないでほしいものだわ」
「っ、す、すみません」


流石のバレリアも、義理の母親になる人に教え方が悪いからだと悪態はつけなかったようだ。

するとバルトロメの姉は……。


「それに比べて、弟の婚約者は、すぐに覚えたわ。聞き返すなんてこともしたことなかったし、同じことも言うこともなかったわ」
「っ、」
「あの子と比べたら、悪いわよ。あの子の成績は、常に上位だもの。成績が悪くて名前も張り出されたことがない令嬢と一緒になんてできないわ」
「確かにそうね。比べる相手が、最悪最低なんだものね」
「っ、!?」


彼女たちの言うのは、バレリアの弟くらいの子息のことで、その婚約者の令嬢も、同じ年頃だった。

年上なバレリアが最低最悪なのだと平然と馬鹿にされることに苛立っていた。

バレリアは、そんなことを言われる毎日にイライラするようになったのも、すぐだった。


「バルトロメ様! 酷いんですよ!」
「悪いが、忙しいんだ。あとにしてくれ」
「バルトロメ様!」
「忙しいと言ってるだろ。花嫁修業でもしていてくれ。君の評判が最悪すぎるんだ。もっとマシになってくれ。じゃないと私が恥をかくだろ」
「っ、」


そんなことをバルトロメに言われて、バレリアがムッとしたのは、すぐだった。


「忙しいって、他の令嬢にお会いになることが、そんなに忙しいんですか?」
「は? 言いがかりはやめてくれ」


そこから、二人はギスギスし始めていくことになった。

バルトロメが、他の令嬢といる方が心安らぐようになってしまったのだ。もっとも、バレリアが弟の土産だと嘘をついて妹のものを勝手に持ち出して自慢していたことも、みんなにバレていて、そこから婚約者の彼も色々と言われることになっていた。

それなのにバレリアは、ルシアが告げ口したせいだと言い、家で花嫁修業を始めた途端、今度は母や姉弟が、バレリアの出来の悪さや要領の悪さをバルトロメに目も当てられないほどに酷いと言うのだ。

それをバレリアは、そんな彼女たちに意地悪されていると泣き叫ぶのだから、バルトロメは段々とどちらの話を聞くのも嫌になっていて、煩わしくない他の令嬢といる方が安らげるようになっていた。


「こんなことで、一々泣きつくな。できないなら、できるようになればいいだろ。大体、こんなのもできないなんて、おかしいのはバレリアだ」
「っ!?」
「この家に嫁ぐなら、もっとできてないと私が恥をかくんだぞ。弟の婚約者の評判ばかりがよくなっているんだ。それもこれも、お前より頭がいいからなことがわかっているのか? それだけで、私がどれだけ恥ずかしい思いをしていると思っているんだ!」
「は? 何よ、それ。私だって、あなたのことで恥ずかしい思いをしているのよ。弟の婚約者うんねんじゃなくて、ここの跡継ぎに向いていないとよく言われてるじゃない! あなたが、ここを継いでも先が思いやられると思われているのは、前々からなことを私のせいにしないでよ!」
「何だと!?」


言われたことにカチンときたバレリアは、そんなことを言い返して、バルトロメが怒りをあらわにした。

弟の方が出来がいいと言われることにコンプレックスがあるようだ。

そこから、二人はお互いの粗捜しをするようになり、お互いが我慢の限界だと言い出して、婚約破棄をしたいと言い出すのも、それから間もないことだった。


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