私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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両親が、ルシアとアドルフィトの言葉を聞いていて、不思議そうにしながら首を傾げたのは、すぐのことだった。


「どういうことだ?」
「そうよ。説明してちょうだい。アドルフィト、あなた、それを知っていながら、何で放置しているの?」
「誤解なんです。二人は、兄弟同然の幼なじみなだけで、勘繰るようなことは何もないんです。ルシア、いい加減にしろ」
「……」


同じことしか言わないアドルフィトにルシアは、自分だけではないことを伝えることにした。これでは、埒があかないと思ってのことだ。

それを兄に言い聞かせるのではなくて、両親に聞かせるために話したにすぎない。両親が関われば、まともな親ならルシアの味方をしてくれるはずだ。


(そうでなければ、他の手を考えなきゃいけなくなるけど……。この二人は、兄のような人たちではないと思うのよね)


そんなことを思って、ルシアは話し始めた。


「お兄様の周りからも、私のようにしつこく言われるからって、怒らないでください。私は、あなたの妹なんですよ? 知らないと思って、私にまで教えてくれようとしている方々がいるのにそのままでいても大丈夫だなんて、どうして言えるんですか? そもそも、兄弟同然だと言っても、わざわざ二人っきりになるようなところで会話する必要があるんですか? 婚約者の側でも、ご友人の側でも、疾しいことがないなら、そのまま話していればいいと思うのですが?」


アドルフィトにそんなことを言って、ルシアを珍しく怒った。

そうなのだ。再三に渡り言っても、この調子なせいで、ルシアは姉に続いて、兄もやっぱりハズレだったようだとまで言われ始めているのだ。

どんなに昔は頭がよくとも、婚約者のことになるとこんなにも駄目になるようでは、ルシアも期待できそうにないとまで言われ始めていた。

だが、マルティーナは姉が姉なのだから、ルシアも今が凄かろうとも、将来は大したことなさそうだと例の幼なじみと笑っていたのをルシアは耳にして、我慢の限界を迎えてもいたのだ。


(あの女、絶対、許さないんだから!!)


ルシアは、そのことで既に腸を煮えさせていた。兄を簡単に騙せても、ルシアはそんな二人に騙されてやるつもりはない。それどころか。二人っきりでいる理由が、アドルフィトとルシアを馬鹿にするのが大半だったことが許せなくて仕方がなかったのだ。

だが、そんな話をアドルフィトにしたところで、今の兄は欠片も信じたりしないだろう。

両親は激怒してくれるだろうが、その話を両親にする気はルシアにはなかった。馬鹿にされ続けた分、やり返すためにとりあえず両親におかしなことになっている話をすることにしただけなのだ。


「それは、お前たちのようなのが煩くするからだろ。一緒に話していても、なんだかんだと言っていたから、二人が隠れるように会わなくてはならなくなったんだ」
「……」


(そうね。隠れて会って、私たちのことを馬鹿にしまくっているのよ。そのために隠れて会っているのよ! どうして、それをされて私が我慢し続けなきゃならないって言うのよ!!)


ルシアは、そう怒鳴り返してやりたかったが、ぐっと堪えることにした。兄にもはや何を言っても通じないことが悲しいなんて通り越していた。どこが優秀だったのだろうかと思うばかりだった。


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