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シーラは、幼い頃から母から伯母のことを聞かされていて、とても優しい方なのだと思っていた。
いつか会いたいと思っていたが、母が亡くなったことで会いたかったわけではなかった。
でも、伯母はそのお葬式に姿をみせてはくれなかったのだ。
(お母様のお葬式に来てもくれなかった)
母の葬式で、伯母に会えると思っていた。でも、来なかったのだ。それにシーラは、物凄くショックを受けてしまった。手紙も、花すら届かなかった。駆けつけられずとも、手紙や花くらいは届くものと思っていたが何もなかったのだ。
シーラが通う学園の生徒たちも大勢が葬儀に来てくれていた。その中に学生服ではなく、しっかりした喪服で現れた留学生もいたが、来てくれたのだからととやかくシーラが思うことはなかった。
その前に彼が、とある方を侮辱したり、他の令嬢たちにも同じことをしたりしていたが、そんな方とできれば関わりたくなかった。でも、先生に頼まれたのと留学生のお世話係として仕事をしなくてはならなくて、シーラは困っている時に彼に数回話しかけた程度でしかなかった。
なのに留学生が、あつらえた喪服で現れたことで色々と言われることにはなったが、彼は三姉妹が学園に再び通うようになった頃には、留学を切り上げて帰国してしまっていて、なぜ、あんな風にきっちりとしすぎた格好で参列したかはわからずじまいだった。
それよりも、シーラは伯母が現れることを心待ちにしていたが、結局きてくれなかったのだ。
シーラの父は、それ以外に妻の姉からの花もないことに何も言うこともせず、まるで何のリアクションも期待していないかのようにしていた。
シーラが、ショックを受けていることは、他にもあった。
「今日から普通にしていいぞ」
「え?」
父が、娘たちにそんなことを言ったのだ。母が亡くなってまだ数日なのに喪に服す格好をしなくてもいいと言ったのにシーラは、驚いていた。
この世界で、喪に服す期間は最低でも半年なのだ。それでも、病気で亡くなった最愛の人や両親などへの深い悲しみを表す人たちは、13ヶ月は喪中として地味な色を着て過ごす。
隣国では、その色合いにも明確な細かい決め事があるが、この国でもきちんとした喪中の過ごし方は古くからあった。
(何を言っているの……?)
それなのにあっさりと普通にしていいと言うのだ。驚きすぎて、父にどういうことかを聞く前にいつものように用は済んだとばかりに部屋からいなくなってしまった。
するとシーラと姉のアルヴァと妹リネーアは……。
「やった! この服、ダサいし、婚約者と出かけると目立つから嫌だったのよね」
「友達が、流行りの服を着てるのにこんな服着て出かけたら、恥ずかしくて仕方がなかったからよかったわ」
「……」
喪に服すことを姉と妹は、やめられることを素直に喜んでいた。
それをシーラは、複雑な顔をして聞いていた。そんなシーラを見て、姉と妹は……。
「何よ。シーラ、あなただって、そう思ってるんでしょ?」
「二人共、お母様が亡くなって数日なのよ? それなのに普通だなんて……」
「お父様が、そうしていいって言ってるのよ。それに逆らうつもりなの?」
「逆らうとかの問題じゃないわ」
「何、それ。いつも、シーラはそうよね。いい子ぶってればいいわ」
「っ、」
(いい子ぶるって何? お母様が亡くなったのにお姉様も、リネーアも、お父様も、悲しくないの?)
それに伯母も、そうだ。シーラは、誰も母の死を悲しんでいない気がして、夜になると泣いてばかりいた。
喪中の期間の地味な格好は、最愛な人を亡くして深く悲しんでいて、新しい流行りの服を喪中の間に購入することも、全く悲しんではいないことを表すから、この期間に服のことを気にする姉妹に理解ができなかった。
(こんなのってないわ。あんまりよ!)
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