姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました

珠宮さくら

文字の大きさ
8 / 57

しおりを挟む

王妃の主催するお茶会に到着すると姉と妹は、シーラからすぐさま距離を取った。知り合いの夫人に挨拶をして、眉を顰められていた。


(挨拶するなら、王妃様からにしなきゃいけないのに。それにお母様の代わりに来ているのだから、挨拶の言葉も態度も気をつけなきゃいけないのに。そんなことも知らないみたいね。話しかけられたご夫人は、物凄く困っているじゃない。なんて、迷惑なのかしらね)

シーラは、端の方に佇んでいた。


「何を考えているのかしらね」
「いくら、何でも、あの服でここに来るなんて常識がなさすぎるわね」


シーラは、王妃主催のお茶会につくなり色んな人たちにひそひそと噂されて、散々なことを言われていた。


(……やっぱり、これで来たのはまずかったかも)


シーラは、そんなことを思い始めていた。

やはり、いくら王妃の出身国でも、ここでは目立ちすぎる。何より、この国でそれをやるなんて、どうかしていると思われても無理はないのだ。


(でも、これしかなかったのよね)


シーラは、王妃の主催するお茶会で、そんなことをわざわざすることを色々と言われても、言い返せはしなかった。


「あの令嬢は?」
「子爵令嬢のシーラ様です」
「……あぁ、この間、母君を亡くした令嬢ね」


王妃は、そんなシーラのことをじっと見ていた。


「全く、喪中だというのに何を考えているのやら」
「全くですわ。姉と妹は、きちんとした服を着ているというのに」
「……」


一人の夫人の言葉に周りのご夫人たちは、は?とか、え?という顔をして、その夫人を見ていたが、見られている夫人は気づいていないようだ。


「王妃様のお茶会に出席できると浮かれたのね。あんなのが身内にいたら、恥をかくだけだわ」
「……」


王妃の近くにいる夫人たちの多くは、怪訝な顔をして、ペラペラと話す一人の夫人を見ていた。

それぞれが、この方は何を言っているのだと言う顔をしていたが、そんな周りの視線にも気づいていないようだ。


「あの子を呼んでちょうだい」
「かしこまりました」


王妃は、お茶会に来た面々にいつも通りに順番に挨拶を許す前に席につくなり、シーラを呼んだのだ。


「え? あの、私だけですか?」


呼びに来たメイドは小さく頷いていた。


(私だけ……? こういう時って、姉妹で呼ばれるもののはずなのに)


シーラは動揺しながらも、カーテシーをして頭を下げた。本来なら、長女のアルヴァが当たり障りのない挨拶を言うはずだが、シーラだけなのだ。自分がしなくてはと思ったのだが、その前に王妃の側にいた夫人に遮られてしまったのだ。


「王妃様の前で恥ずかしくないの?」
「っ、」
「他の姉妹が、恥をかくことくらいわからないのかしらね」
「……」
「嫌だわ。こんなのと息子が婚約しているなんて、私まで恥をかかせないでちょうだい。そのベールも何なの?」


(それを自分でわざわざ言うのね。相変わらずだわ。この髪の色を綺麗って言わない人なのよね)


シーラは、その声だけで婚約者の母親だとわかってしまって眉を顰めたくなってしまっていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

愛を騙るな

篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」 「………」 「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」 王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。 「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」 「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」 「い、いや、それはできぬ」 「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」 「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」 途端、王妃の嘲る笑い声が響く。 「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です

希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」 卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。 「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」 私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

処理中です...