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王妃にすっかりシーラは気に入られていた。王妃の生まれた国では、喪中の時期にこの国とは真逆な色を用いることがある。こうした母や最愛の人を亡くして、その代わりに出席する時にのみ、許されることだ。
それを母から聞いて知っていたシーラは、地味な服を姉妹によって隠されたことで、仕方なく王妃ならばわかってくれる色で来たのだ。
しかも、それを母が最後に選んであつらえてくれていたことに王妃も、他の夫人たちも胸を打たれたようだ。母を思う娘と同じく娘を残して逝く母の気持ちが表れていると思ったのだろう。
(自分が死ねば、ここに呼ばれるのだもの。これを最後に用意してくれたのは、こうして着てほしかったのかも知れないわね。姉と妹にも用意していたはずだけど、流行りのデザインと色合いから少しでも明るめなものにでもしようとして、あれを選んだのかも知れないわね)
母が亡くなり、その家の娘が出席することを引き継ぐのも、一回だけで後は成人するか。嫁いでからしか、このお茶会に未成年の令嬢は出席し続けることはあまりない。
それが、次回以降も、シーラは参加していいとまで言われてしまったのだ。
それこそ、元々シーラの母親が王妃に気に入られていたのかも知れない。王妃の周りには、シーラの母をよく知る夫人たちが集まって、目を潤ませていた。
王妃だけでなくて、あの一人だけ帰された夫人以外は、シーラのドレスとアルヴァとリネーアたちの着ていた物を見て、どちらが常識外れで、ここにそぐわしくないかをわかっていた。
色味だけで、地味だからとこれでいいかと選んだ物は、王妃の主催するお茶会では物凄く失礼なものでしかなかったのだ。それこそ、隣国ではそんな格好をしていたら、いい笑いものにされることになるだろう。
この国では、そこまでなことはないはずだが、それがわからない夫人もいることに驚く者ばかりだった。
その中に母が仲の良い姉妹だったことを覚えている夫人がいた。
葬儀で見かけなかったが、悲しんでいたでしょうねと言ったのだ。よもやシーラが、まだその伯母と会っていないと思っていなかったのだろう。
「伯母様とは、お会いしていません」
「まぁ、そうなの?」
「お会いして、お母様の昔話を聞けると思っていたのですが、お忙しいのか何の連絡もなくて……」
何も連絡がないと聞いて、王妃たちは眉を顰めたり、首を傾げたりしていた。
「シーラ嬢の伯母と言ったら、隣国に嫁がれた侯爵夫人のことよね?」
「えぇ、そう記憶していますわ。シーラ嬢のお母様とは、それは仲が良くて、葬儀に間に合わずとも、着ているものと思っていましたわ」
「来れないにしろ。何かしらの連絡があるはずですのに変ですわね。そのことお父様にお聞きには?」
「……姉と妹がよく似ているんです。その、お恥ずかしい話ですが、母のお葬儀を終えて数日で、普通にしていいと言うような父で……」
「まぁ!」
そんなことを言うの?という顔をする夫人たちが大半だった。
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