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シーラは、元婚約者から何か言われることはなくなった。それについて、ラーシュからもその母親からも謝罪は一切なかった。
姉妹からの罵詈雑言を浴びせかけられる日々をシーラは、そこから送ることになった。それに時々、父親もまじったが、シーラは学園でも家でも気が休まることがなかった。
あの留学生は、まだ留学期間がどころか。最初は試験も終わっていないというのに帰国してしまっていた。シーラは、留学してくる生徒の世話係の一人をしていたが、他の誰もが上手くいかずにシーラが任されることになったのだ。だが、色々と手一杯になってしまって、他の誰かに変わってもらおうと思って先生に相談しようとしたら、帰国した後だったことに首を傾げていた。
(まだ半年どころか、3ヶ月くらいしか経っていないのに。ご実家で、何かあったのかもしれないわね。それか、一番最初に話しかけたのが誰なのかに気づいて、ここにいられなくなったのかも知れないわね。そもそも、こちらでの評価なんて気にもしていなかったようだし……。何しに来ていたのかしらね? あんなにやる気のない留学生は、初めて見たわ)
シーラは、他に任せられる人が思いつかなくて、帰国したと聞いて、こんなことを思ってはいけないのだろうが、ホッとしてしまっていた。
ただですら、騒がせているのだ。常識のある人たちは、三姉妹とラーシュに巻き込まれたくないと思っているのは明らかだった。
シーラは、誰とも目を合わせないようにしていた。もとより、そんな人たちをシーラは巻き込む気は欠片もなかったが、留学生が帰国していなければそんなことも言ってはいられなかっただろう。
(元はと言えば、私の持ってる服を着れないように隠したのは二人なのに。でも、そのおかげで、伯母様がどうしてお葬儀に来てくれなかったかがわかるのだし、婚約も破棄になったのだもの。あとは、少しでいいから大人しくしていてほしいところだわ)
だが、わかったところで母の言っていたような人ではなくなっているのかも知れないとも思い始めていた。
シーラの心が疲れているせいだろう。母親を亡くしてから、散々なことばかりが多いせいだ。母に貰った物を壊され、捨てられたりしたのも大きかった。
(自分たちは、好き勝手に欲しい物を買っていたくせに。それも、私より高いものばかりを買っていたのにあんまりだわ)
それこそ、伯母がシーラの姉と妹のような人だったら……。
そこまで考えて、シーラは頭を左右に振った。
(そんなわけないわ! お母様が、言っていた通り優しい方に決まってるわ。……この人たちみたいに非常識な人が、早々いるわけないわ)
だが、それなら、どうして……?という気持ちになった。
その時にシーラは父のことを思い返していた。何となく、父の態度を見ていて、こんなことを思い始めるようにもなっていた。
(そもそも呼んでいなかったなんてことは、ないわよね……?)
シーラが思いつくなかで、それが一番しっくりきてしまったが、それも思い過ごしだとシーラは頭を振った。そこまで、非常識なことをしているわけがないとシーラは思いたかった。
そんな父親なのだと思いたくなかった。
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