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「そういえば、喪中だというのに娘の婚約を破棄させて、シーラ嬢から妹の令嬢と婚約させたと聞いたのですけど、本当なのですか?」
「あら、本当にしたの? 笑えない冗談だと思っていたのに」
「したそうよ」
それを聞いていた夫人たちも、王妃も眉を顰めずにはいられなかった。
婚約破棄なら、まだわかる。でも、婚約させるなんてどちらの家も常識がなさすぎる。
「……よく、許可をしたものね。破棄だけなら、まだしも破棄をさせてから、別の娘と婚約させるなんて」
「相手の家も、よくそんなことをする気になったものですわよね」
それこそ、大体のことを知っているであろう夫人たちは、さもよく知らないかのように話していた。それもこれも、王妃にちまたの話をわざわざ聞かせるためだ。
「ここで、帰されることになった夫人がなさったようですよ。恥をかかされたと息子に愚痴って、母親を侮辱するような令嬢とは破棄をすると言ったとか」
「恥……?」
不思議そうに首を傾げる夫人が多かった。あの夫人は、前々からズレたことを言っていたのだ。どれのことなのかと言いたいのだろう。
「それが、ここで着ていたシーラ嬢の服の色合いのことのようなんです」
「まぁ! それって、ご自分の知識のなさを反省するところではなくて?」
夫人の多くが頷いていた。自分だったら、恥ずかしすぎてそんなこと絶対無理だと言うものも多くいた。
「それで、さらなる恥をかいているのなら、目もあてられませんわね」
「それと婚約をさせたのも、その夫人が夫である当主の了解も得ずにしたそうですわ」
「それも、恥をかかされたからということね」
恥をかかされたことに腹を立てて、泣いて謝罪に来た令嬢にまんまと騙されたのだ。それによって、その夫人は息子の婚約者に末っ子が一番だと思ったようだ。どこからも総スカンをくらって、話し相手になって優しい言葉をかけられたせいで勘違いしたのかも知れない。
「しかも、新しい婚約者の令嬢が、流行りの格好を新調して婚約した子息の家に遊びに行って、それを見た当主がカンカンになったそうですわ」
王妃は、そんな会話を聞いても止めようとはしなかった。それどころか、素知らぬ顔をして一語一句漏らさず聞いていた。
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夫人たちは、まともな人が夫人の夫なことに安堵していいのやら、わからない複雑な顔をしていた。
「そんな家とお近づきにはなりたくないわね」
「えぇ、気をつけなくては、それこそ家の恥を広めてしまいますもの」
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