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(本当に知らせてはいないとは思いたくなかったわ。……それに喪に服す期間も短いどころか。取る気がないし、普通にするだけでも、奇妙なのに。私の婚約破棄をあっさりと認めただけでなくて、妹との婚約を許すくらいだもの。古くさい以前にお母様のことを亡くしても、欠片も悲しんでいないのよね)
シーラは、そう思うと悲しくて仕方がなくなっていた。
それこそ、エルヴィーラが昔話をしてくれてシーラは母の小さい頃を聞いて目を輝かせつつ、エルヴィーラに母のことを話して聞かせていた。
それにエルヴィーラは、こらえきれずに泣き出していた。
「最期くらい見送りたかったわ。話すことができずとも、顔くらい見たかった」
痛いくらい伯母の気持ちがわかった。シーラが、手紙を出して、こんなに早く来てくれたのだ。訃報を知ったエルヴィーラなら、早馬に乗ってでも駆けつけて来てくれていただろう。
(どうして、お父様は知らせなかったのかしら?)
「私、あなたのお父様に嫌われているようなのよね」
「え?」
「何かした覚えはないのだけど、そのせいで私のことを呼びたくなかったんだわ」
「……」
そういえば、父親からシーラはエルヴィーラだと聞いたことがなかった。それどころか、母がエルヴィーラのことをシーラに話している時に父が現れると母は慌てたように話を中断していた。
(あれは、父が用事があって切り上げていると思っていたけど、伯母様のことを聞くのも嫌だとわかっていたからだったってこと……?)
そんなことを思ったシーラは、なぜ、そんなにも父が嫌っているのかと思って不思議に思っていた。
アルヴァやリネーアよりも、父よりも、ずっと常識人なのに。
(常識のなさは、姉と妹は父に似ていたのね。もしかするとそれが似てないから、私のことも気に入らないのかも知れないわね。姉と妹が何をしても、この間みたいに怒られるのは、私だけだもの)
婚約破棄になった時に父が物凄く怒っていて、面倒を増やしたとして、シーラにしばらく当たり散らしたのだ。
そんな風に怒られるのを見て、アルヴァとリネーアはニタニタした顔をしてばかりいた。シーラが色々言われるのを見て意地悪い顔をして喜んでいた。それを思い出してげんなりしてしまった。
エルヴィーラは、ここまで来たのだからとお墓参りをして、シーラの姉と妹と嫌われているであろう男と会うとなり、王妃や他の夫人たちに挨拶して帰ることになった。
(どうしたのかしら?)
シーラが、帰る前に王妃たちに挨拶に行ったら、和やかなお茶会の雰囲気ではなかった。
何があったのかシーラには全く分からなかったが、エルヴィーラは……。
「大人には、色々あるのよ。シーラは、まだ知らなくともいいわ」
「……」
そんな風に言われて、そういうものかとシーラは追求することはなかった。
それよりも、このまま帰ったら、どうなるかだ。
(一波乱ありそうよね。でも、その前に伯母様をお母様のお墓にお連れしないと)
それこそ、父に話さずにさっさと済まそうとしたのは、先程の話を聞いてしまっていたからだった。
そこで、エルヴィーラが一人で妹と過ごせるようにとシーラ
は馬車の中で待っていた。
あの家に一人で帰るより、エルヴィーラと行くことになって心強いと思っていた。
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