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しおりを挟む「それとシーラ。いい加減にしろ。お前のやることなすことで、どれだけ私が迷惑しているのかが、わからないのか? お前のそういうところが、母親にそっくりで腹ただしいんだ。婚約が破棄になって、どうせ他に嫁ぐこともできそうにないんだ。家のために修道院にでも、さっさと入れ。そのくらい、思いついてもいいだろうが」
「っ、」
父の言葉にそんな風に思われていたのかとシーラは驚いてしまった。
だが、即座に反応したのはエルヴィーラだった。
「修道院ですって?! シーラをそんなところにいれようだなんて、信じられないわ。なら、私の家の養子にするわ」
「伯母様」
「はっ、勝手にしろ」
売り言葉に買い言葉とは、このことではなかろうか。
エルヴィーラは、腹立つ男を睨みつけてからシーラを見た。
「シーラ。この家にいたい?」
エルヴィーラの言葉にシーラは、首を横に振った。いたいなんて思うわけがない。居場所なんて、はなから残されていないのだ。
「養子になってくれる?」
シーラが頷くのを見て、エルヴィーラはニッコリと笑った。
「すぐに旦那様に手紙を出すわ」
「そいつを養子にしたいなら、書類なんて後でいい。さっさと連れて行け。目障りだ」
「……シーラ。荷造りしてくれる?」
「わかりました」
アルヴァとリネーアは、侯爵家の養子になるチャンスだと思ったのか。エルヴィーラに色々言っていたが、エルヴィーラは無視していた。
シーラの荷造りは、あっさりとしたものだった。
「……それだけなの?」
「他に思い入れはないので」
「……」
姉と妹に壊され、隠されしていて、持ち物なんて大したものがなかったのだ。
「そう。じゃあ、行きましょう」
シーラは、父や姉妹に挨拶するも、3人ともシーラにさっさと出て行けと言わんばかりの態度だった。
アルヴァとリネーアも、媚を売るのに失敗してエルヴィーラに気に入られたシーラを無視していた。父親に嫌われたら、好きなものを買ってもらえなくなるから、わざわざそんなことをしたくないのだろう。
(まさか、こんな風にこの家を出て行くことになるとは思わなかったわ)
馬車で、移動して元々エルヴィーラが手配していた宿屋に泊まることになったシーラ。そんなことになったことをエルヴィーラは謝罪してきた。
「伯母様が謝ることではありません」
「どうにも我慢ならなかったのよ。私のことを気に入らないなら、まだ我慢できたけど、あなたにまであんな態度を取っているのを見たら……」
エルヴィーラは、母も同じように扱われていたと思ったようだ。
「それにしても、私だけでなくて、妹も、あなたのことも気に入らないなんて、あの男は常識がない自分と似てないのを僻んでるのかしらね」
「……」
シーラは、それを聞いて何とも言えない顔をしてしまった。
(それなのに自分は常識人だと思っているとしたら……)
「滑稽ね」
「っ、」
エルヴィーラと同じことを思っていたようだ。シーラは、吹き出しそうになってしまった。
「あ、ごめんなさいね。あなたのお父様なのに」
「いえ、私も、同じことを思っていたので」
「あら、そうなの。あなたの姉妹も、あの男にそっくりなようね」
「えぇ、とてもよく似ています」
「それじゃあ、いらぬ苦労をしてきたわね」
物凄く同情的な目をエルヴィーラから向けられてシーラは苦笑するしかできなかった。
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