姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました

珠宮さくら

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しょんぼりするシーラにエルヴィーラだけでなくて、ヴァジムやボリスも焦ったのは、すぐだった。何か嫌なことを思い出させたのかも知れない。

少し前まで浮かれていた面々は家族だけでなく、使用人たちにも緊張が走った。


「い、嫌ならいいのよ。シーラの好きなことを……」
「ピクニックしたことないです」
「え?」


したことがない……?


そんな言葉を聞くことになるとは思わなかったエルヴィーラは、目をパチクリしていた。他の面々も、エルヴィーラに似たような反応をしていた。聞き間違いだろうかと思うほどだった。


「家族みんなで出かけるなんて、私が覚えている限りしたことないです」
「「「っ!?」」」


シーラは、いつも母といた。アルヴァとリネーアは、家にずっといるのを嫌がって友達のところや婚約者ができるとその子息と出かけてばかりいた。

シーラは、ふと思い返して、そんな思い出がないことに気づいてしまったのだ。


(あの頃は、お母様がいてくれたから、それで良かったけど、今思い返すと好き勝手なことしていたのよね。……お父様は、休みの日なんて家族サービスなんてするような人ではなかったし。家族みんな揃っても、父と姉妹が何かしらの不満やらを言うから楽しくないのよね)


沈むシーラにエルヴィーラが、明るめの声で話しかけた。


「シーラ。我が家のピクニックは、私が今までお弁当を作っているのだけど、シーラも手伝ってくれないかしら?」
「お弁当……? あの、私、お菓子なら作ったことはあるんですが……」
「あら、それって、あの子に教わったお菓子かしら?」


シーラは、こくりと頷いた。エルヴィーラは懐かしそうに遠い目をしていた。


「あの子のお菓子、よく食べていたわ。私は作るのは上手くなれなかったけれど、あの子はお母様に似ていたのよね。シーラも、その血を受け継いでいるのなら羨ましいわ」
「……昔は、よく作っていたな」
「え? 私は知りませんでした」


ヴァジムは、どうやら母のお菓子を食べたことがないようだ。ボリスは、遠い目をしていた。インガも、似たような顔をしていた。


「何度も、挑戦したんだけど、うまくできなかったのよね」
「……なら、料理をエルヴィーラが教えて、お菓子をシーラに教わったら、どうだ?」


ボリスの言葉にエルヴィーラは、目を輝かせた。


「!? そうね! 教えてくれる?」
「はい。私も、お料理ができるように教えてください」


エルヴィーラとシーラは、それで和気あいあいとしていた。お菓子の名前で、盛り上がっていた。

インガも、その名前を聞いた聞いたことがあると言っていたが、エルヴィーラがそこまで言うお菓子に興味津々なようだ。他の使用人たちも、どんなものだろうとエルヴィーラとシーラの話を聞いて、食べてみたいと思っていた。


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