姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました

珠宮さくら

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「まぁ! こんなに美味しくて美しいお菓子は初めて見ました」
「そんなことないわ。お母様の作ったものの方が、もっと綺麗で本当に美しいのよ」


インガだけでなくて、他の使用人たちも素晴らしいと言っていたが、シーラの言葉にこれよりも美しくて綺麗なんてと驚いていた。


「そうでしたか。……奥様のお作りになるものは、失敗ばかりでしたが、見た目だけ一度上手にできたことがあったんですが……」
「?」
「砂糖と塩を間違われていて、それを食べて以来、お菓子作りはなさったことがないんですよ」


インガの言葉にシーラは、絶句してしまった。

他の使用人たちは、それを聞こえないかのようにしていた。


「ピクニックのお料理も、最初は手を血まみれになさっていて、大奥様は包丁をあまり使わないで済むものを料理長と考えて奥様に教えて差し上げていたんですよ」
「……そんなに?」
「えぇ、ですから、包丁は……」
「シーラ! お菓子は……、あの、お菓子だわ!」


エルヴィーラは、用事があって手伝えないことを悔しがっていたが、インガが奥様がいない時に包丁を使うものにした方がいいというので、シーラは不思議に思っていたが、ちゃんとした理由があったようだ。


「この細工よ! 私は、教わっても全然できなかったのよね」
「「……」」


シーラとインガは、何とも言えない顔をしたが、味見をしてみてほしいと言われて、エルヴィーラの目が輝いた。


「いいの?!」
「はい」


(私としては、まだまだお母様のお菓子とはほど遠いと思っていることは、黙っていた方が良さそうね)


「っ!? これよ! 懐かしいわ」


実家の味であり、妹が作ったお菓子を思い出したのか、エルヴィーラは涙目になっていた。

それこそ、使用人たちも食べれるようにと多めに作って、もう試食済みだということを使用人たちは黙っていた。

その後、仕事から帰って来たボリスと夕食にみんなで、シーラが作ったお菓子を食べることになり、男性陣もその見事さと美味しさに笑顔となっていた。


「私も、一緒に作りたかったわ」


ボリスは、妻の呟きにシーラとインガを見た。妻が、包丁を使うものは駄目だということをよく知っているからだろう。

そんなことを知らないヴァジムは、そんな微妙なやり取りに気づくことなく、義妹のお菓子をパクパクと食べていた。

そんな感じとなったが、長期休暇も終わるのも、あっという間のことだった。







シーラの義兄になったが、数ヶ月しか違わないため義妹はヴァジムと同じ学年だった。


「そんなに緊張することはない。シーラなら、すぐに馴染める」
「そうだといいのですが……」


寮生活になることも初めてで、シーラは不安そうにしていた。

ここで、ヴァジムはシーラのことばかりに気を取られていたが、幼なじみがシーラに一目惚れしていることをすっかり忘れていた。

その上、幼なじみが他の令嬢たちにヴァジムが聞いたのと違う話をしているのも、この時まで知らなかったのだ。

それが原因で、1年ほど留学して少しはよくなることを期待されていた幼なじみが、たった数ヶ月で戻って来て、あることないことを吹聴して回っていることにも、彼は全く気づいていなかった。


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