姉と妹の常識のなさは父親譲りのようですが、似てない私は養子先で運命の人と再会できました

珠宮さくら

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シーラは、散々なことを言われることになり、微妙な空気となる中で、声をかけて来た者がいた。


「シーラ! ここにいたのか」
「お義兄様」


そこにヴァジムが、幼なじみの子息を紹介しようとやって来たのだ。すっかり、ヴァジムは幼なじみが一目惚れした相手がシーラだということを忘れていたようだ。だが、それが役に立つこともあるようだ。


「シーラ嬢! 留学中は、何かと世話になった。覚えているよな?」
「……」


さも親しげに話しかけて来た人物を見て、シーラは無表情となった。

するとそれに気づいていないのかヴァジムが補足し始めたのだ。


「幼なじみのゲラーシー・ヴィトゲンシュタインだ。彼は、王弟殿下の子息なんだが、そうか。シーラは、会っていたんだったな」


シーラは、義兄の言葉に首を傾げた。


「私がお会いした方は、身分が低いとご自分でおっしゃっておられる方でした」
「え? 身分が低い……?」
「っ、」


ヴァジムは、シーラの言葉に驚いて、ゲラーシーを見た。周りの面々も、ことの成り行きを見届ける気のようだ。それこそ、先程シーラは誑かそうとしていたとまで言われていたのだ。自分が何か言われるのは、我慢できるが、この男性は許せないことをしているのだ。もはや留学生ではないため、我慢するのをやめただけにすぎなかった。


(留学生でさえなければ、もっと前にきっちり言っていたところよ。私でなくとも、周りの令嬢や子息たちは、自称身分が低い子息に物申したかったでしょうよ)


自称というのも、着ている普段着の身なりが良すぎたからだ。制服もオーダーメイドだった。喪服も、そうだ。


(見ればわかるのに、わからないと思って、あんなことを言っていたのよね。馬鹿にされたものだわ)


そんなこと知らない二人は、シーラの機嫌がいまいちなことに気づいていないようだ。

こんなんだから、婚約者がいないのだ。


「あ、いや、あれは、その、騒がれると困ると思って言っただけなんだ」


それを聞いていた令嬢たちは、眉を顰めていた。全然違う話を彼に聞かされていて、ナタリアと同じようにシーラが誑かしていたと思っていたのだ。


「あら、騒がれて迷惑していたと聞きましたけど?」
「っ、いや、それは、誤解だ」


ゲラーシーが、取り繕うとして言えば言うほど、周りで聞いていた面々が白けた顔をしていた。


「そうでしたか。だとしても、私が留学生の方に話しかけていたのは、私がお世話係をしていたからにすぎません。他の誰もやりたがらず、男子生徒もそりが合わないと苛ついてしまって、大変そうにしていたので、問題が起こっては困るからと先生に頼まれたからにすぎません。そもそも、身分が低く、つり合わないから話しかけるなどと言わなければ、皆さん留学生に親切だったはずなんですけどね。一番最初に王女殿下にそんなことを言ったせいで、私がお世話するしかなくなったようなものですし」
「お、王女……?」
「えぇ」


ゲラーシーは、顔色を更に悪くし始めていた。

ヴァジムは、ゲラーシーの話していたのと違いすぎることに眉を顰めながらも、成り行きを聞くことにしたようだ。


「でも、あなたは、王弟殿下のご子息なのでしょう? 同じ名前でも、別の方ですよね? そうでなければ、こんな矛盾だらけなことになるわけがありませんもの」
「っ、」


シーラは、にっこりとそんなことを言っていたが、その目は怒りに満ちていた。王女や学園にいた者を馬鹿にして、侮辱をしていたのだ。


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