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しおりを挟むゲラーシーがいなくなるのを見て、シーラはだいぶスッキリしていた。
あのナタリアという令嬢に色々と言われた時より、ゲラーシーを見たらおさえられなかったのだ。
王女がいたら、シーラのことを生ぬるいというところだろう。
(彼女がいたら、もっと凄いダメージを与えられたのでしょうけどね。私には、あれくらいしかできないわ)
だが、シーラはヴァジムが何とも言えない顔をして立っているのを見て、しまったと思った。
(彼から、私のことを色々聞いていたから、出来損ないだと思い込んだのよね。きっと)
そうシーラは思った。話半分で勝手に出来損ないだとヴァジムの脳内で変換されたとは思っていなかったのだ。全ての元凶はゲラーシーなのだと思っているシーラは、そんなのでも幼なじみだからと友達でいるような優しい人なのだと思って、こちらも誤解していた。
ずっと、留学生のせいであらぬ誤解をシーラはされていたのだ。家族のこと以外で、散々なことを言われていたことも黙っていた。
だが、その我慢も限界だった。やり返せるものなら、やり返したかったのだ。
「お義兄様、ごめんなさい。幼なじみなのに」
「いや、あれは、あいつが……。いや、そもそも、違う留学生の話だろ? 同じだったら、ちぐはぐになるわけないわけだし」
「ですが……」
違う留学生というのにも限界があるはずだ。
そこに別の人が乱入してきた。
「そうそう。シーラ嬢が、気にすることないって。あれを直させようとして、叔父上たちは留学させたようなものだし」
「王太子殿下」
「っ、」
シーラも、他の女生徒たちと同じくカーテシーをした。男子生徒は頭を下げた。
「ここは学園だから、堅苦しくしないでいいよ。シーラ嬢、ようこそ。私は、ダヴィット。さっきのが、従兄なんだ。色々と迷惑かけたでしょ?」
シーラは、苦笑するしかなかった。認めたら、留学生が彼だったことになる。違うと言っても、嘘になる。
「聞いてるよ。君の母君の葬儀に喪服を新調して参加したって。学生なんだから、制服で出席すればいいところだし、数回しか話してない令嬢の母君の葬儀で、そんなことすることなんて全くなかったのにね。そのことで、色々言われるだろうことは簡単に想像がつくよ。婚約者のいなかった妹さんの婚約者ではないかとかさ」
シーラは、それも耳にしていた。母の葬儀の時にあつらえた喪服で参列していて、そんな憶測が飛び交っていたのも事実だ。
しかも、喪に服すため、それから1年くらいは婚約は難しいから、アピールしていると思われていたのに帰国してしまったのだ。
更には、妹がシーラの元婚約者だった子息と婚約したことで、あの時に参列していたのはシーラの婚約者になるのではないかと言われてもいた。学園の生徒たちは、そんなことを話題にする両親にありえないと言ってくれたことで、それが広まってくれたからよかったが。
(思わず言い返したくなるような目に合わされていたのよね。しかも、こっちでも、好き勝手に一定、あの国をそんな風に言っているとは思わなかったわ)
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