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「でも、君がここの学園に編入したって聞いて、今度は問い合わせが増えてるようだよ」
「え?」
王太子の言葉にシーラは意味がわからなかった。
(何で??)
きょとんとするシーラに王太子は、にこにこと笑顔になった。
「留学したら、君に会えるものね。王女も、君に会いたいから留学する権利を早めてもぎ取るって手紙が来てたよ。私には用はないらしいけど、君に何かあったら、……恐ろしいだろうね」
王太子は、笑顔なはずなのに目は寂しそうにしていた。それこそ、自分のことも気にかけてほしいのだろう。
これだけ、スヴェーア国のことをよく知っているのだ。王女だけが情報源ではないはずだ。王女のことを知りたくて必死なのだろう。
「そういうことだから、彼女にとやかく馬鹿げたことで煩わせないないでくれるかな?」
王太子が、周りに話すとみんな頷いて、失礼しますといなくなって行った。色々と話したのも、シーラが変な誤解をされたままだと都合が悪いからだろう。
残ったのは、ヴァジムとシーラと王太子だけとなった。
ヴァジムも、シーラとその場を後にしようと思っていたが、シーラが思案しているのに気づいて不思議そうにしていた。
(あれ? でも……)
シーラは、首を傾げていた。
それに王太子も、気づいて不思議そうにしていた。
「どうかした?」
「いえ、あの、留学については私は口実だと思います」
「ん?」
「留学生の言葉で苛立ってしまって、王女は留学する準備のために学園の授業にあまり出なくなっていたんです。でも、その準備が思いの外、上手くいってないようで、そっちに集中していて学園には来ておられなかったんですよ」
「……」
それを聞いた王太子は、噛みしめるように嬉しそうな顔をした。
「……彼女、僕に会いにも来てくれるってことか。そうか。嫌われてないようで安心したよ。教えてくれて、ありがとう。でも、うん。聞かなかったことにしとく。知られたら、かなり大変なことになりそうだからね」
シーラは、苦笑していた。ヴァジムは、王太子が婚約者に夢中なことは聞いていたが、ここまでとは思っておらず、インパクトの強すぎる王女の良さがいまいちわかっていなかった。
「手紙を出してあげられないかな? 私より、君からの手紙の方が喜ぶと思うんだ」
「わかりました。王太子殿下によくしていただいて、王女が来てくださるのを心待ちにしていると書いておきます」
「うん。それはいいね。留学生のことは、オブラートに包んでおいて」
「その辺は、来てからオブラートに話します。私の知ってる留学生と皆さんが知ってる留学生は、違うようなので」
王太子は、それを聞いて微笑んでいた。
「ヴァジム」
「はい」
「このことは、私は両親や叔父上に話しておくから、君のご両親にはきちんと伝えておいて」
「わかっています。幼なじみ同士の男の友情より、義妹になった家族を守ります。まぁ、友情があったかは、疑問ですが」
「そうか。守るべき相手を見つけると変わるものだね。それこそ、婚約者ができても、義妹の味方ばかりして、婚約者に愛想を尽かされないようにしないとどちらにも嫌われかねないよ」
嫌われると聞いて、シーラをバッ!と振り返った。
「うん。私が言うのも何だけど、程々にしときなよ」
シーラは、どんな表情をするのが正解なのかがわからなかった。
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