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56 ゲラーシーのその後。
しおりを挟むゲラーシーは、跡継ぎから外されて、勘当されることになってからも懲りずに同じことをし続けていた。
平民となってからの彼は、その都度、内容がコロコロ変わるようなことばかり話していて、そんな話ばかりの彼の話をまともに取り合うものはいなかった。
「また、あいつかよ」
「適当に返事しとけ。元お貴族様だ。ありゃ、どっかおかしくしてんだ」
「おかしくしてるにしても、相手に合わせて都合のいいことばかり言うから、見た目がいいからって雇いたくないんだよな」
「客寄せにはいいんだが、話してる内容が信用なくすんだよな」
そんな風に思われて、色んなところで適当にあしらわれることになって、日雇いと仕事で何とか食いつないでいたが、それでも見目の良さで夫と上手くいっていない夫人に見初められ、浮気をするようになったようだ。
それこそ、働かずとも、その女性だけを満足させられれば着るものにも、食べるものにも、住むところにも困らないとわかってゲラーシーは彼女が喜びそうなことばかりを並べたて続けた。
それが、旦那にバレることになって、慰謝料を払えと訴えられることになったが、そんなことを言われても払える金はないから大丈夫だろうと呑気にしていた。
すると強制労働に行くことになって、そこの給料が慰謝料として払われることになったのだ。
「くそっ! 働いているのは、私なのに。何で給料が僅かしかもらえないんだ!!」
「んなの浮気する方が悪いに決まってるだろ。それに明らかにお前似の子供が生まれて、育ててもらえてんだ。養育費だと思えばいいだろ」
「え?」
ゲラーシーは、子供が生まれていることも、その時初めて知った。
浮気していた夫人は、離婚することになり、旦那に似てない子供を育てるなんて考えられないと言って我が子を置いて行ったようだ。
それに激怒したのは、元夫のみならず、その婦人の実家だ。産んだのは娘だからとその子を自分たちの養子にして娘を勘当したのだ。
ゲラーシーの慰謝料をそのまま元嫁の実家に渡しているのだ。
その上、ゲラーシーの素性を調べて、王弟のところにも連絡していてゲラーシーは勘当したとは言え、孫に罪はないからと名は開かせないが支援を惜しまないということも元夫は約束させたため、子供の将来は明るいものとなった。
そのことを王太子も、確かな情報網で把握していたが、それを妻にも話すことはなかった。ただ、子供がどう育っているかだけは、時折報告されるのを聞いて、マティアスには全く似ていないことにダヴィットはホッとしていた。
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