欲しいものを手に入れようと必死になって足掻いて父と兄を巻き込みましたが、一番欲しいと思っていたものがそもそも違っていたようです

珠宮さくら

文字の大きさ
6 / 10

しおりを挟む

(やれやれ、思っていたより、上手くいったわ)


ルイーザは婚約破棄となってから、隣国に留学することにした。元婚約者とクレールにあれこれ言われることになるだろうから、あの家どころか。国から出ることにしたのだ。

元からギュスターヴと婚約したのも、クレールが欲しがるように仕向けてくっつけようとしたことが始まりだった。

ギュスターヴの弟が、できの悪い兄に意地悪いことをされてているのをたまたま見かけたことから、クレールをどうにかするのに使えると思ってしまったのだ。

するとギュスターヴの弟も、色々と起こりそうだからと両親に留学を勧められたようで、留学先で会った時にルイーザたちはびっくりしてしまった。


「あ、あなたは……」
「ルイーザ嬢も、留学それていたんですね」
「えぇ、巻き込まれたくなくて」
「私もです。両親が、面倒になるからと留学させてくれました」


ギュスターヴの弟の名前は、オーギュスト・バシュロン。兄に色々意地悪いことをされてきても、仕返しをすることをしない子息で、両親もそれを知っていて留学させたようだ。

ルイーザは、父親や兄、アンリエットが何か言う前に留学するつもりでいたが、オーギュストは逃げも隠れもする気はなかったようだ。


「あの、オーギュスト様。なぜ、ギュスターヴ様に言い返したりなさらないのですか?」
「あの人、言い返したところで、都合よくしか覚えていないんですよ。何をしても、しなくても変わらないから、そのうち何もする気にならなくなってしまって」


ルイーザは、それに目をパチクリさせた。オーギュストは、面倒くさくなって放置することにしたようだ。

それを聞いてルイーザも……。


(確かに都合よく覚えるから、中々クレールと婚約させるのに苦労したわ)


「ルイーザ嬢は、なぜ、あの人と婚約なんてしたんですか?」


オーギュストは物凄く不思議そうにしていて、ルイーザは明々後日の方を向きたくなった。


「義妹にピッタリだと思っていて、くっつけるために婚約しただけです。義妹は、欲しいものを父に直接言える子ではないので、私の持っているものじゃないとそう言えないんです」


嘘をつきたくなくて、ケロッとそんなことを暴露した。

するとオーギュストは、きょとんとした後で、大笑いし始めた。


「あなたは、優しい方ですね」
「……」


ルイーザは、一瞬嫌味だろうかと思ってしまったが、オーギュストは本気で優しいと思っているようだ。本当に優しかったら、とことん向き合い続けたはずだ。でも、ルイーザはそれをしなかった。


(あの2人が、いつ真実に気づくかよね)


クレールは養子のままマンディアルグ侯爵家にいるが、養子縁組をしているわけではないのだ。リンジーがマンディアルグ侯爵と離婚した時にクレールに説明していたが、覚えているかは定かではない。

ギュスターヴも、クレールがルイーザの義妹の妹だと言うことは知っていても、養子縁組をしていないことまで知らないのか。知っていても、その辺のことを詳しく知らないのか。何とも思っていないようだった。

彼の両親が散々確認していることにも、煩わしさしか感じていなかったようだ。

クレールと婚約したことで、跡継ぎから外す口実ができたことにもギュスターヴは気づいてもいないのだ。それに気づいても、どうにもならないことになっていることを2人が理解できるかの問題だけだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

行き遅れ王女、重すぎる軍団長に肉で釣られる

春月もも
恋愛
25歳、独身、第四王女システィーナ。 夜会でも放置されがちな行き遅れ王女の前に、ある夜突然現れたのは、ローストビーフを差し出す重すぎる第三軍団長だった。 形のない愛は信じない。 でも、出来立ての肉は信じてしまう。 肉に釣られ、距離を詰められ、気づけば下賜され、そして初夜へ。 これは、行き遅れ王女が重たい愛で満たされるまでの、ちょっとおかしなお話。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

モブの声がうるさい

ぴぴみ
恋愛
公爵令嬢ソフィアには、幼い頃より決まった婚約者がいる。 第一王子のリアムだ。 いつの頃からか、ソフィアは自身の感情を隠しがちになり、リアム王子は常に愛想笑い。 そんなとき、馬から落ちて、変な声が聞こえるようになってしまって…。

聖女をぶん殴った女が妻になった。「貴女を愛することはありません」と言ったら、「はい、知ってます」と言われた。

下菊みこと
恋愛
主人公は、聖女をぶん殴った女を妻に迎えた。迎えたというか、強制的にそうなった。幼馴染を愛する主人公は、「貴女を愛することはありません」というが、返答は予想外のもの。 この結婚の先に、幸せはあるだろうか? 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢に転生したので何もしません

下菊みこと
恋愛
微ざまぁ有りです。微々たるものですが。 小説家になろう様でも投稿しています。

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

処理中です...