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しおりを挟むクレールは、ギュスターヴにあれこれ言われるようになり、それが煩わしくなっていた。
「何なのよ。どこにも連れて行ってくれないし、私の欲しいものもくれないのに。文句ばっくり」
こんな時、ルイーザがいたら気晴らしに何でも貰えるのに。そのルイーザが留学から戻って来なくて、クレールはイライラしていた。
そんな時に我慢の限界となって、婚約破棄したいと言うと猪狩はあっさりと破棄することができた。
何だかんだ言っても、クレールのやりたいことをやらせてくれると思い始めて、ウキウキしていた。ルイーザがいないから、好きにさせてくれているのかも知れないと変な勘違いをしていた。
「婚約は破棄となった」
「なら」
新しい婚約者より、気分転換に新しい服が欲しいと強請りしようとした。
「婚約させる時に言った通りに母親のところに行くなり、自力で生きていくのかは知らんが、早々に出て行け」
「……え?」
マンディアルグ侯爵である義父にそう言われてクレールは目をパチクリさせた。
「とぼけるのはよせ。そういう約束で書面にしたのにサインしただろ」
「サイン……? え?! そんなことが書いてあったの!?」
クレールは、ルイーザが甘やかすままにろくに勉強をしてこなかったため、読める文字が限られていた。
読んでからサインしろと言われたが、読めるわけもなく、サインしないとギュスターヴと婚約できないと聞いてサインしたに過ぎなかった。
「何を言っているんだ? 読んでからサインするように言って、そうしたかと確認もしてだろう?」
「っ、」
クレールは、それに慌てふためいたが、出て行くしかなくなって、しょげながら実母のところに行こうとした。
「え? 引っ越した……?」
「そうよ。あなた、娘さんなんでしょ? 聞いてないの?」
「えっと、その……」
引っ越したなんて聞いていないクレールは、引っ越し先を聞こうとしたが、実の娘だと言っても信じてもらえず、実の娘なら知らない方がおかしいと言われて何も言えずに途方に暮れた。
「どうしよう」
ルイーザがマンディアルグ侯爵家にいれば戻って頼れたが、ここにはいない。
「そうよ! お義姉様のところに私が行けばいいんだわ」
クレールがルイーザの留学先に行くことにしたのは、すぐだった。もっとも、留学先の名前もろくに知らず、留学先に行きたいとしか言わないクレールにこの時期だから、こっちだろうと親切な人が馬車に乗せてくれたが、見当違いのところに着くとはクレールは思いもしなかった。
こうして、クレールはルイーザに助けてもらおうとして全然違うところに行き着くことになるとは、本人も彼女を知る者も思いもしなかった。
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