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しおりを挟む星蘭の母は、夫の実家の正月の行事が苦手というか、気持ち悪いと思っていたらしく、末娘が行かないと言ってからは自分も実家で過ごすと言い出したのだ。
それより少し前から父は家に帰って来なくなった。理由は鑑定の仕事が忙しくなり、出張して回っているからだと星蘭たちには説明してくれた。
母は毎月きちんとお金が入って、夫の世話をしなくていいなら自分が自由に出来る時間が増えると喜んでいた。そのまま別居しているような状態となったが、決して喧嘩しているわけではなかった。
好き勝手できる時間が増えたせいで、母は散財をするようになり、それに便乗して妹も好きなものを買ってもらっていた。
「そうだ。あの蔵の中には、お宝が眠っているはずだわ。使い切れないみたいだし、私が使ってあげよう」
母は以前から蔵の中を気にしていて、溜め込むだけで、売る気のない骨董品を溜め込んでいるのを勿体ないと思っていたようだ。
「本当にいいのか?」
「大丈夫よ。あの蔵の中が、空っぽになっても、しばらくは気づきはしないわ。あそこの蔵は、数年に一度しか開けないのよ」
母は、その頃、仲良くしていた男とその仲間を連れ立って、蔵の中のものを祖父に気づかれないように少しづつ盗んで、売り払っていたのだ。
数ヶ月かけて、中身を空にした母たちは、そのお金で、贅沢三昧をしていたのだ。
それこそ、星蘭に祖父が話を振らなければ、中身が空っぽなのは、祖父が移動させたのだと思っていたことだろう。
だが、誰が盗んだのかと探すこととなり、母が首謀者だとわかり、そこから売り払ってしまった骨董品たちを探すこととなったが、全部を一辺に回収するのは難しかったのだ。
もちろん、そんなことをしでかした母と離婚することとなったが、警察に通報することはなかった。
難しかったとはいえ、付喪神のなり損ないとなった骨董品ばかりで、売られた先から事情を知った殆どが自ら戻って来たのだ。
自力で戻れない付喪神は、星蘭が探し当てて、回収することとなったのだが、そんなことをしている気は全くなかった。星蘭は、戻って来れたことを感謝する付喪神やそれに所縁のあるあやかしから、感謝されることとなったが、良くわかっていなかった。
(みんな、美男美女ばっかり)
見目麗しい容姿ばかりなのに話す口調やら服装が、今っぽくなかったりとそのギャップに星蘭はびっくりしていた。
それより、もっと驚くべきなのは、耳やら尻尾やら、中には浮いてたりするのにそこに突っ込みをいれなかったのだが、それこそ祖父や父から、あやかしや付喪神だと聞いて、すんなりとそういうものだと受け入れてしまったのだ。
何せ、正月に挨拶していた半分以上を星蘭は親戚だと思っていたが、あやかしと付喪神たちだったのだ。
今更、そこに驚くことはなかったのだ。
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