私は途中で仮装をやめましたが、周りはハロウィンが好きで毎日仮装を続けていると思ったら……?

珠宮さくら

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ユズカは、頼まれた仕事をこなしていた。それが、誰からの仕事だろうとも、手を抜くことは一切なかったし、特別扱いすることもなかった。

どんなに頑張っても、間に合わないと思う仕事は誰からの依頼であろうとも、絶対に引き受けることはなかった。

だが、社長はそれを見越してユズカのところに頼みに来ていたため、断る理由が現れたことは一度としてなかった。

それに気づいたユズカは、こんなことを思っていた。


(流石って思うところなのかな)


ユズカは、それこそ奥さんを最高に喜ばせて、着飾る美しい姿を見たいと思っている社長の想いもわかっていた。

それこそ、ユズカたちより先に結婚していたが、子供に恵まれずに奥さんがそのことで長らく悩んでいたのも、ユズカは色々と相談されていた。ジュラルから、奥さんを紹介されてからは、それは仲良くさせてもらっていた。

そのため、手助けできることなら、ユズカが協力を惜しむことは決してなかった。

そんな社長夫妻が、ユズカの作ったドレス1枚から着飾る妻の美しさに夜は盛り上がり、新しい生命を身籠ることになったのだ。そんなつもりで、作ったわけではなかった。元より、奥さんは物凄く美人なのだ。ユズカのデザインしたドレスがあろうとなかろうとも、関係はない気がしてならなかったが、夫妻はユズカのドレスのおかげだと信じて疑うことはなかった。

妊娠したことを報告されて、ユズカは素直に喜んだがデザインした物によって、そうなったと感謝されることには首を傾げたくなってしまった。


(絶対にドレスは、関係ない気がするは)


そんなことをユズカは何度も思ったが、社長夫妻のみならず、社長の父親である魔王からも、ユズカは感謝されてしまったのだ。それには、驚くなんて言葉では語り尽くせないものがあった。


(あの時は流石に腰が抜けたわ。魔王が、人間の私に礼を言うなんて、あり得ないことだもの)


危うくジュラルの父親が息子が脅威になったと思って全面戦争を仕掛けにきたのではないかと憶測が飛び交ってしまうほどユズカも驚いたが、その世界の者たちも肝を冷やした。

驚いていなかったのは、ジュラルと数名だけだった。ジュラルの妻とユーフォルとモルセラとユズカのおばあちゃんだ。

モルセラとおばあちゃんは、師弟関係だったようだ。


(モルセラさんの方が若くみえるけど、おばあちゃんの方が若いって未だに変な感じがするけど)


魔王のことで戦々恐々となるのを宥めるのが、大変だったかというとそうでもなかった。

魔王は孫が誕生することに上機嫌になっていて、ユズカは怖さで腰を抜かしたのではなかった。

何ともフレンドリーな魔王がいたものだと思ったのとアポ無しで、突然ユズカに話しかけてきたことに驚きすぎたのだが、それを知った社長は父親に物凄く怒ったようで、それすら取りなすことになったユズカは大変だった。


(あわや孫に会えなくなりそうで、半泣きになって縋られることになるとは思わなかったし)


魔王は、頼みの綱のようにユズカに孫に会えなくなるのは、困ると縋ってきたのだ。それにドン引きしたのは、ユズカではない。ユーフォルとおばあちゃんだ。


「あらあら、魔王も、孫は可愛いみたいだね」


モルセラは、楽しげに笑っていた。


(全然、笑えない)


ユズカは、縋られたのを無下にてまきるわけもなく大変だった。

まぁ、何はともあれ、魔王の息子夫妻のところは一人でも子供ができれば御の字だろうと周りから思われていたが、その後もユズカのドレスで盛り上がることに変わりはなかったようで、気づけばユズカの家より子沢山になっていて、社長一家は賑やかさを増す一方となった。

それだけではなくて、魔王である祖父大好きな孫たちもいて、両親と一緒に暮らすことより、祖父と暮らしたいと言い出す者も出ることになるとは思いもしなかったが。


(流石に我が子に泣きつかれたら、社長も駄目とは言えないわよね)


ジュラルは、父親に子供を取られた感じがしたのか。益々、魔王を嫌っているように思えてならないが、どちらの世界も滅ぶことにはなりそうはなかった。


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