王太子と婚約した幼なじみが、何の相談もしてくれないまま駆け落ちした相手は、私のことを嫌っている兄でした。愛の逃避行は儚すぎました

珠宮さくら

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ジュディスはというとアドルファスに腹違いの妹だと話した途端、拒絶されただけではなくて、気持ち悪いと言われたことにショックを受けずにはいられなかった。


「そんな大事なこと黙って駆け落ちするなんて、どうかしている!」
「私だって、ショックなのよ」
「だから、なんだ? 私は、王女と婚約するはずだったんだぞ」


薄汚れた格好をしているアドルファスは、ジュディスが物凄く傷ついた顔をしているのもなんのその。自分のことしか口にしなかった。


「お前にそそのかされていなけれは、今頃は王女と婚約していたし、こんな格好なんてしてもいなかった。勘当されることもなかったんだ。どうしてくれるんた!」
「どうして、私のせいになるのよ! 一番悪いのは不倫している人たちじゃない!」
「それを知っていて、黙っていたお前も似たりよったりだ。バレなきゃいいなんて、お前の母親そっくりだな」
「っ!?」


アドルファスにそんなことを言われるとは思っていなかった。

なぜ、そんなことを言われなければならないのか。ジュディスは、婚約していたのだ。王太子よりも、アドルファスを選んだのに。彼は自分のことばかりだった。

そんな男を好きになった自分が情けなくなっていた。

それにプリシラだ。何も言わずに彼女の兄と駆け落ちしたのだ。利用するつもりなどジュディスにはなかった。いつの間にか、アドルファスのことを好きになっていた。

でも、今思えば、兄のように慕っていただけだったのかも知れない。ここまで言われて情けない姿を見ると恋人どころか。兄としても、ほしくない。

プリシラが、怒鳴り散らすばかりのアドルファスを好きではなさそうにする理由が今ならよくわかる。

それにあの両親もだ。プリシラだけを嫌っていたが、一番まともだったから嫌っていたのかもしれない。誰にも似てはいないから。

気づけばアドルファスは、どこかに行ってしまっていた。風の噂では、プリシラのところに怒鳴り散らしに行って、親が不倫していたことを暴露して、双方の結婚生活を破綻させたようだ。

アドルファスは、母方の実家に行くも思う通りの扱われ方をされることはなく、貴族には戻れなかったようだ。

ジュディスは、それだけではなくて、素晴らしい未来があると言っていたのに王女は全く乗り気ではなかったことを耳にして、大笑いした。


「馬鹿みたいだわ」


そんな風にぼやいても、もう元には戻ることはない。

しかも、自分の母親のみが浮気していたのとは違い、アドルファスの両親はどちらも浮気していたらしく、それを聞いてプリシラが養子になってよかったのだと思えてならなかった。

きっと、プリシラには利用されたのだと思っているはずだとジュディスは思っていた。だから、会いに行こうとはしなかった。


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