訳あり少女は、転生先でも散々な目に合う道を自ら選び続けて、みんなの幸せを願わずにはいられない性分のようです

珠宮さくら

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アンジェリーカは安眠を妨げられるたびにブチギレていた。これまでの人生もそうだったが、アンジェリーカはどうにも眠りを妨げられることが嫌いな性質なようだ。その辺りだけは、何度となく生まれて変わっても変わらないところの一つのようだ。

それでも、両親や親戚連中はそんな風にブチギレられたとしても、しばらく大人しくしていたかと思えば、何事もなかったように再びアンジェリーカをちやほやしに来るのだから、困ったものでは済まされない。アンジェリーカにとって迷惑でしかなかったが、やめる気があちら側には全くないようだ。


(相当な暇人ってことよね。その筆頭が、両親って、どうなのよ)


そんな面々は性懲りもなく、アンジェリーカの周りに集まって来ているというか。群がって来ているという方が正確なような状況が続いていた。そんな人たちはどうでも良かった。そんな人たちよりも、アンジェリーカに怯えられては困る人たちの方が気になって仕方がなかった。

両親は、好き勝手なことばかりしていて、娘の世話を使用人たちに任せっきりにしていて、相変わらず娘が何を望んでいるかに気づく気配はない。既にわかってもらおうとすることをアンジェリーカは諦めかけていた。会話ができるようになっても、アンジェリーカが思っていることが通じるとは思えないのだ。


(私の自慢に忙しくしていて、ちっとも私がどう思っているかを見てくれていないのよね。自慢できるなら、私でなくてもよさそうだしどうせなら、もっと理解してくれる親がよかったわ。……でも、この世界の親はみんなこんな感じのようね。貴族だけならいいけど、庶民の人たちも、こんな感じなら、この世界のことが好きになれそうにないわ)


そんなこともあり、自分のことが自分でできるようになるまでは、使用人たちにはこれからも世話をしてもらわなきゃならなかった。彼女たちにアンジェリーカは、嫌なことをしなければ無害だとアピールをしておくのを忘れることはなかった。


「か、可愛い!」
「やっぱり、機嫌が悪かっただけみたいね」
「そりゃ、寝ているのもお構いなしに起こされて触られていたら怒りたくもなるわよ」
「大人でも、寝不足が続くとそうなるものね」


(そうよ! それに香水やら体臭やらが酷くて、それも大変だったのよ! それに比べて使用人のみんなは、いい匂いしかしないから抱っこは大歓迎なんだから遠慮なく、抱っこして!)


使用人たちは、そんな話をしていた。それにアンジェリーカは頷きたかったができなかった。そのため、内心では首が取れそうなほどの同意をしておいた。使用人たちに大しては不満は殆どなかった。

香水も、濃いのが混ざり合うととんでもない匂いを発すると思い知ったのか。強めの香水を使用人たちがつけなくなったのは、アンジェリーカにはありがたかった。

だが、それを理解してくれない大人もいた。その筆頭が、アンジェリーカの両親だった。本当に何なのだろう。頭が痛くなる。


「あら、機嫌が直ったのね!」
「っ!?」
「なら、人を呼ぼう!」


(なんで、そうなる!?)


両親は、アンジェリーカの機嫌がよくなったと思ったようだ。アンジェリーカを見せびらかすべく、パーティーでもやろうと言い出したのは、すぐだった。

両親は、娘をダシにして人を呼んで周りに褒めちぎられる日々に優越感を覚えてしまい、それが快感となってしまったようだ。そんなことをされる人生をこれまで歩んで来なかったから余計に抜け出せなくなったようだ。

そんな両親に使用人たちが何か言ってくれる者はいなかった。みんな、二人を止めようとせず、アンジェリーカのことを困ったように見るばかりだった。

それはそうだろう。物申して、解雇されたら、他に雇ってくれるところがあるかもわからないのだ。公爵家でそんなことをして、タダで済むはずがない。

そうだとしても、味方してほしかった。いや、味方されて解雇されたら、そちらの方が心を痛めそうだから、自分でどうにかするしかないとアンジェリーカは、ムッとした顔をしたのも早かった。


(この二人を止められるのは、私だけってことね。よぉ~くわかったわ。自分で何とかしてやる。……できるかな? あんまり自信なくなってきたな)


使用人の1人だけが気遣わしげにアンジェリーカを見ていた。メイドの中で1番年若い女性だ。他の使用人たちは知らぬ存ぜぬな態度を貫いていて、それどころか。両親に賛同しておべっかを使っている者もいた。言葉では誰も守ってはくれないとわかり、アンジェリーカは内心で腹を立てていた。

だが、雇われている使用人たちが、顔色を伺うのも仕方がないと気づくのも、しばらくしてからだった。何度となく今回のような状況になってしまうことでアンジェリーカは、味方してくれる大人がいないことにげんなりしていた。

そのため、アンジェリーカは両親や親戚たちに好き勝手されるたびに鬱憤を晴らすかのように魔力を暴走させて暴れることにした。もちろん、本気で暴れるなんてことはしない。周りにいる人たちが暴走を止めようと必死になって、ようやく抑えられたと思うように仕向け続けたのだ。

あちらがそう思っていても、アンジェリーカとしては大して疲れることではなかった。まだまだ、アンジェリーカには余裕があったことを周りの誰も知らなかった。

そして、そんな余裕があることすらおかしいことに本人も気づいていなかった。


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